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◇
石畳の路地裏に、革靴の音が響いた。
うちを取り囲むように重装備を纏った十数人の追跡者たちが立つ。
...そんなに装備を固めても、うちの前じゃ無意味やで。
「逃げ場はないぞ、笛吹きの末裔!」
隊長らしき男が怒号を飛ばしてきた。
どうやら相手はうちが末裔だから追ってきていたらしい。
うちはうちやのに。「末裔」とかいう枠に収められるの好きじゃないねんな。
「きみら、ほんまにしつこいなぁ。
うち、計算とか苦手やから、何人おるか数えるだけで頭痛うなってきたわ。」
うちはポケットから一振りの笛を取り出す。
輝くその笛には、うちだけが解放できる魔法の力が籠もっている。
「は、笛なんか取り出してどうした?降参か?」
クスクスと相手らから笑い声が聞こえる。
「五月蝿いねん、黙っとき。」
笛に唇に寄せた。
仲間が居なくてよかったわ、これなら思いっきり笛を吹ける。
男たちがうちに攻撃しようとした次の瞬間、
ピィィィ_____
「が、あ......っ!?」
先陣を切った男の体が、ふっと透き通った。
そして他の男達も次々と消えていく。
剣を振り下ろそうとした腕が粒子となり、叫びを上げようとした口が夜の闇に溶ける。
「そんなに顔を歪めてしもて、威勢の良いあれはどこへいったんや。」
笛を吹きながら、うちは軽やかにステップを踏んだ。
...久しぶりに笛を吹いた。やっぱり音楽ってええなあ。
一人、また一人と、重武装の男たちが虚空へ霧散していく。
耳を咄嗟に塞いでいたのか、最後に残った隊長の男が、恐怖に顔を染めて膝をついた。
笛を唇から離して男の前で止まる。
「お願いだからやめてくれ、すまない、俺が悪かったからッ...!」
なにか喋りだしたと思たら命乞いか。
男は期待した目でこちらを見つめてきた。
「...でもな、生憎うちは指図されるんが大嫌いなんよ。
次はもうちょっと静かな時に会おうな。......あ、次はないんか。計算、間違えてもうたわ。」
男の額からだらだらと汗が流れた。
「最後に一曲どうや、指揮者さん?」
まあ「聞く」以外に選択肢は無いんやけど。
そしてうちは最後の一吹きを鳴らす。
ピィィィ_____
男の体が夜空に溶けていく。
一瞬の静寂。
路地裏には、誰一人としていなくなった。
「ふぅ。さて、絵でも描きに帰ろかな。」
うちは鼻歌混じりに、誰もいなくなった闇の先へと歩き出す。
今日の夕飯は何やろか、なんて考えながら 静寂に包まれた路地裏を後にした。
◆
一曲どうだい?マエストロ
◇
石畳の路地裏に、革靴の音が響いた。
うちを取り囲むように重装備を纏った十数人の追跡者たちが立つ。
...そんなに装備を固めても、うちの前じゃ無意味やで。
「逃げ場はないぞ、笛吹きの末裔!」
隊長らしき男が怒号を飛ばしてきた。
どうやら相手はうちが末裔だから追ってきていたらしい。
うちはうちやのに。「末裔」とかいう枠に収められるの好きじゃないねんな。
「きみら、ほんまにしつこいなぁ。
うち、計算とか苦手やから、何人おるか数えるだけで頭痛うなってきたわ。」
うちはポケットから一振りの笛を取り出す。
輝くその笛には、うちだけが解放できる魔法の力が籠もっている。
「は、笛なんか取り出してどうした?降参か?」
クスクスと相手らから笑い声が聞こえる。
「五月蝿いねん、黙っとき。」
笛に唇に寄せた。
仲間が居なくてよかったわ、これなら思いっきり笛を吹ける。
男たちがうちに攻撃しようとした次の瞬間、
ピィィィ_____
「が、あ......っ!?」
先陣を切った男の体が、ふっと透き通った。
そして他の男達も次々と消えていく。
剣を振り下ろそうとした腕が粒子となり、叫びを上げようとした口が夜の闇に溶ける。
「そんなに顔を歪めてしもて、威勢の良いあれはどこへいったんや。」
笛を吹きながら、うちは軽やかにステップを踏んだ。
...久しぶりに笛を吹いた。やっぱり音楽ってええなあ。
一人、また一人と、重武装の男たちが虚空へ霧散していく。
耳を咄嗟に塞いでいたのか、最後に残った隊長の男が、恐怖に顔を染めて膝をついた。
笛を唇から離して男の前で止まる。
「お願いだからやめてくれ、すまない、俺が悪かったからッ...!」
なにか喋りだしたと思たら命乞いか。
男は期待した目でこちらを見つめてきた。
「...でもな、生憎うちは指図されるんが大嫌いなんよ。
次はもうちょっと静かな時に会おうな。......あ、次はないんか。計算、間違えてもうたわ。」
男の額からだらだらと汗が流れた。
「最後に一曲どうや、指揮者さん?」
まあ「聞く」以外に選択肢は無いんやけど。
そしてうちは最後の一吹きを鳴らす。
ピィィィ_____
男の体が夜空に溶けていく。
一瞬の静寂。
路地裏には、誰一人としていなくなった。
「ふぅ。さて、絵でも描きに帰ろかな。」
うちは鼻歌混じりに、誰もいなくなった闇の先へと歩き出す。
今日の夕飯は何やろか、なんて考えながら 静寂に包まれた路地裏を後にした。
◆
一曲どうだい?マエストロ
◇