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【参加型】花束、あるいは屍【命短し暴れろ主役】【スピンオフ】

#6

一曲どうだい?マエストロ





石畳の路地裏に、革靴の音が響いた。

うちを取り囲むように重装備を纏った十数人の追跡者たちが立つ。
...そんなに装備を固めても、うちの前じゃ無意味やで。

「逃げ場はないぞ、笛吹きの末裔!」

隊長らしき男が怒号を飛ばしてきた。
どうやら相手はうちが末裔だから追ってきていたらしい。
うちはうちやのに。「末裔」とかいう枠に収められるの好きじゃないねんな。

「きみら、ほんまにしつこいなぁ。
 うち、計算とか苦手やから、何人おるか数えるだけで頭痛うなってきたわ。」

うちはポケットから一振りの笛を取り出す。
輝くその笛には、うちだけが解放できる魔法の力が籠もっている。

「は、笛なんか取り出してどうした?降参か?」

クスクスと相手らから笑い声が聞こえる。

「五月蝿いねん、黙っとき。」

笛に唇に寄せた。
仲間が居なくてよかったわ、これなら思いっきり笛を吹ける。

男たちがうちに攻撃しようとした次の瞬間、

ピィィィ_____

「が、あ......っ!?」

先陣を切った男の体が、ふっと透き通った。
そして他の男達も次々と消えていく。
剣を振り下ろそうとした腕が粒子となり、叫びを上げようとした口が夜の闇に溶ける。

「そんなに顔を歪めてしもて、威勢の良いあれはどこへいったんや。」

笛を吹きながら、うちは軽やかにステップを踏んだ。
...久しぶりに笛を吹いた。やっぱり音楽ってええなあ。
一人、また一人と、重武装の男たちが虚空へ霧散していく。

耳を咄嗟に塞いでいたのか、最後に残った隊長の男が、恐怖に顔を染めて膝をついた。
笛を唇から離して男の前で止まる。

「お願いだからやめてくれ、すまない、俺が悪かったからッ...!」

なにか喋りだしたと思たら命乞いか。
男は期待した目でこちらを見つめてきた。

「...でもな、生憎うちは指図されるんが大嫌いなんよ。
 次はもうちょっと静かな時に会おうな。......あ、次はないんか。計算、間違えてもうたわ。」

男の額からだらだらと汗が流れた。

「最後に一曲どうや、指揮者さん?」

まあ「聞く」以外に選択肢は無いんやけど。

そしてうちは最後の一吹きを鳴らす。

ピィィィ_____

男の体が夜空に溶けていく。
一瞬の静寂。
路地裏には、誰一人としていなくなった。

「ふぅ。さて、絵でも描きに帰ろかな。」

うちは鼻歌混じりに、誰もいなくなった闇の先へと歩き出す。
今日の夕飯は何やろか、なんて考えながら 静寂に包まれた路地裏を後にした。







一曲どうだい?マエストロ



作者メッセージ

如雨露様、リクエストありがとうございました〜!
関西弁女子って良いですね。
余談ですがこの話は1000文字ぴったりになりました。
テンション上がりました。

2026/01/29 18:51

おさかな
ID:≫ 1.50.uy/2UmR2
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