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◆
青い空に黄緑色の草木。涼しい風が頬を掠めた。
「ああもう遠すぎて嫌になるわ。」
あまりにも遠すぎやしないか、彼の住処。
お陰様でもう夜が明けてしまった。
...やっと七匹の仔山羊の家が見えてきた。
こんなに時間をかけて来てやってるんだから、それに見合った収穫がなかったら どうしてやろうかしら、本当に。
ガチャ、木製の扉を開けた。
「七匹の仔山羊、いるんでしょ。......相変わらず、ここは掃除のし甲斐がないわね。」
壁にはズラッと並べられた銃火器たち。
次の瞬間、部屋の奥から弾かれたような気配がし、目にも止まらぬ速さで人影が飛び出してきた。
「俺の家へようこそ、灰被り。
なんでわざわざ俺のところなんかに?」
先ほどまで銃のメンテナンスをしていたであろう油汚れも気にせず、彼は心底幸せそうに顔を綻ばせる。
彼が詰め寄るより早く、魔法の杖で彼の額をぴしゃりと押さえる。
「仕事よ。"狼"について貴方が知ってること全部教えて。
貴方、一週間前、そこの構成員を数人片付けたでしょう?」
私がそう言うと彼は「あぁ、あれね」と興味なさそうに、けれど愛おしげに首を傾げた。
「うん、適当に遊んであげたよ。みんな『何も知りません』なんて見え透いた嘘をつくから、つい楽しくなっちゃって。
...でも、一人だけ面白い子がいたかな。
死ぬ間際まで『自分は何も持っていない』って言い張ってたけど、あれ、最高の嘘だったよ。」
「戦闘の話はどうでもいいわよ。
今日...いやもう昨日の話だったわ。
昨日、御伽噺保全委員会の数人を呼んで狼の隠れ家を襲撃したのよ。」
「え、俺も呼んでくれれば良かったのに。」
「けど隠れ家に私達が...特に 貴方と赤ずきんが探している あの二匹のボス狼は見当たらなかったわ。
だからそのボス狼の居場所に心当たりはない?」
あー、なんて言って七匹の仔山羊は何かを考えている。
「俺、昔の居場所なら知ってんだけどね。
今はもう分かんないな、あいつらすぐ隠れ家変えるし。」
「そう。...ぶん殴るわよ、貴方のこと。」
折角ここまで来たのに、"分からない"なんて言われたら誰でもこう思うでしょ、普通。
「ちょっと待ってよ、"今の隠れ家の場所"は知らないだけで"それを知ってるやつ"を知らないとは言ってないよ俺。」
「...そうならそうと早く言いなさい。」
危ない、本当に彼のことをぶん殴る一秒前だった。
「あいつら、えーっと 紅薔薇 と 赤い靴 だったかな?
多分こいつらは何かしらは知ってると思う。」
紅薔薇と赤い靴ね...。
あの二人が狼について知ってるとは予想外だった。
「ありがとう、助かったわ。」
「いやいや、こちらこそ。わざわざ俺のとこまで来てくれてありがと。
ところで今日俺の家泊まってかない?」
いつもなら断っていた...が、さすがの私も長時間の移動で、今日は疲労困憊である。
「...ありがたく泊めさせてもらうわ。」
「やった。任せて、俺、張り切っちゃうから。
...あ、あと狼についてなんか分かったら、俺にすぐに連絡してね。
すぐにぶっ殺しに行くから。」
さすが七匹の仔山羊の末裔。狼に対する殺意が尋常じゃない。
「ええ分かってるわよ。そんなことより早くベッドを貸して。
私、眠すぎてもう今にも倒れそうよ。」
「はは、了解了解。」
そう言ってベッドルームに案内される。
部屋に入った瞬間、ベッドに寝転んだ。
ああ疲れた、今頃あの人達はちゃんと狼の隠れ家潰せたかしら。
「おやすみ、灰被り。」
七匹の仔山羊のその言葉を耳に私はベッドに沈んでいった。
◇
青い空に黄緑色の草木。涼しい風が頬を掠めた。
「ああもう遠すぎて嫌になるわ。」
あまりにも遠すぎやしないか、彼の住処。
お陰様でもう夜が明けてしまった。
...やっと七匹の仔山羊の家が見えてきた。
こんなに時間をかけて来てやってるんだから、それに見合った収穫がなかったら どうしてやろうかしら、本当に。
ガチャ、木製の扉を開けた。
「七匹の仔山羊、いるんでしょ。......相変わらず、ここは掃除のし甲斐がないわね。」
壁にはズラッと並べられた銃火器たち。
次の瞬間、部屋の奥から弾かれたような気配がし、目にも止まらぬ速さで人影が飛び出してきた。
「俺の家へようこそ、灰被り。
なんでわざわざ俺のところなんかに?」
先ほどまで銃のメンテナンスをしていたであろう油汚れも気にせず、彼は心底幸せそうに顔を綻ばせる。
彼が詰め寄るより早く、魔法の杖で彼の額をぴしゃりと押さえる。
「仕事よ。"狼"について貴方が知ってること全部教えて。
貴方、一週間前、そこの構成員を数人片付けたでしょう?」
私がそう言うと彼は「あぁ、あれね」と興味なさそうに、けれど愛おしげに首を傾げた。
「うん、適当に遊んであげたよ。みんな『何も知りません』なんて見え透いた嘘をつくから、つい楽しくなっちゃって。
...でも、一人だけ面白い子がいたかな。
死ぬ間際まで『自分は何も持っていない』って言い張ってたけど、あれ、最高の嘘だったよ。」
「戦闘の話はどうでもいいわよ。
今日...いやもう昨日の話だったわ。
昨日、御伽噺保全委員会の数人を呼んで狼の隠れ家を襲撃したのよ。」
「え、俺も呼んでくれれば良かったのに。」
「けど隠れ家に私達が...特に 貴方と赤ずきんが探している あの二匹のボス狼は見当たらなかったわ。
だからそのボス狼の居場所に心当たりはない?」
あー、なんて言って七匹の仔山羊は何かを考えている。
「俺、昔の居場所なら知ってんだけどね。
今はもう分かんないな、あいつらすぐ隠れ家変えるし。」
「そう。...ぶん殴るわよ、貴方のこと。」
折角ここまで来たのに、"分からない"なんて言われたら誰でもこう思うでしょ、普通。
「ちょっと待ってよ、"今の隠れ家の場所"は知らないだけで"それを知ってるやつ"を知らないとは言ってないよ俺。」
「...そうならそうと早く言いなさい。」
危ない、本当に彼のことをぶん殴る一秒前だった。
「あいつら、えーっと 紅薔薇 と 赤い靴 だったかな?
多分こいつらは何かしらは知ってると思う。」
紅薔薇と赤い靴ね...。
あの二人が狼について知ってるとは予想外だった。
「ありがとう、助かったわ。」
「いやいや、こちらこそ。わざわざ俺のとこまで来てくれてありがと。
ところで今日俺の家泊まってかない?」
いつもなら断っていた...が、さすがの私も長時間の移動で、今日は疲労困憊である。
「...ありがたく泊めさせてもらうわ。」
「やった。任せて、俺、張り切っちゃうから。
...あ、あと狼についてなんか分かったら、俺にすぐに連絡してね。
すぐにぶっ殺しに行くから。」
さすが七匹の仔山羊の末裔。狼に対する殺意が尋常じゃない。
「ええ分かってるわよ。そんなことより早くベッドを貸して。
私、眠すぎてもう今にも倒れそうよ。」
「はは、了解了解。」
そう言ってベッドルームに案内される。
部屋に入った瞬間、ベッドに寝転んだ。
ああ疲れた、今頃あの人達はちゃんと狼の隠れ家潰せたかしら。
「おやすみ、灰被り。」
七匹の仔山羊のその言葉を耳に私はベッドに沈んでいった。
◇