◇
まずいまずいまずい!
あの御伽噺保全委員会の奴ら、とうとう仕掛けて来やがった!
震える足で階段を駆け上がる。兎に角一刻も早く、マダム達に今の状況を伝えなければ!
「マダム!?」
ギイ、耳障りな音を立てて扉が開く。
城の最上階。広々とした部屋のどこを見渡しても マダム達の姿は見当たらなかった。
...あれ、どうした、どこへ行った?
「今は前線に...?......は、」
そう窓から下を覗こうとしたときだった。
「......体が、動かない......?」
ふと目線を下ろせば、視界に入ったのはしわくちゃの腕。
なんだ、何が起こった。私は見習いの魔女。まだ戦闘方法すら初期の魔法を覚え始めたばかり。
なのに何だ?この熟練の魔女の腕は。
「......助かったよ。丁度アタシの身代わりを探してたんだ。」
「...マダム・ドルシア?これはどういう、」
魔女の中でも特に強い七賢人の一人、マダム・ドルシア。
中でも彼女はかなりの戦闘派で、戦闘魔法でマダム・ドルシアの右に出るものはいない。
そんな彼女が戦わずに、一体何を...?
「しー、静かにしな。アイツらに聞かれてたら溜まったもんじゃない。
簡単な話さ。アタシ達はこれから逃げる。その時間稼ぎにアタシ達の誰か一人を模した身代わりが欲しい。
そしたらアンタが居た。ただそれだけだよ。」
あのトチ狂った兄妹なんか顔も拝みたくないからね、なんてマダムは続ける。
「この魔法は 普通程度の人間だったら気づかないだろうよ。
戦えなくったって多少の違和感はあるがそう簡単にはバレやしない。
......じゃ、頼んだよ。名前は...なんてったけ、アンタ?......ま、なんでもいいさ。」
「待って下さい!マダム!私、」
必死にマダム・ドルシアを止めようと手を伸ばすが、足が動かない。
私の声が聞こえたのか、彼女は振り向いた。マダムが口を開く。
「ギャハハハ!こりゃとんだ傑作だね!
悪いがアタシは仲間思いな魔女じゃない。精々アタシのために頑張ることだね!」
そう言ってマダム・ドルシアは窓辺から箒に乗って飛び立って行った。
部屋に残されたのは私ただ一人。
これから起こるであろうことに怯えながら、私は掠れた声を漏らすことしかできなかった。
◆
同時刻、城の庭園。
ヘンゼルが鋭い斧を振り回し、グレーテルの熱々のチョコレートが魔女たちの頭に降りかかる。
そこはまさに、地獄絵図だった。
「中々やんちゃなものね、最近の若者は。」
私が言うと、隣にいた人魚姫が言った。
「そうね、シンデレラちゃん!因縁の相手というのも相まって、いつもより磨きがかかってるみたいね!」
そう言う人魚姫の顔には、魔女だったであろう大量の泡がついている。
ナイフから海水を出し、触れたものを泡にする___なんとも物騒な能力である。
「私も、あの憎しみが久しぶりに喉から込み上げてくるわ!」
我慢出来ない、そんなことを言いたげな彼女の笑顔を見て、私は苦笑した。
◇
まずいまずいまずい!
あの御伽噺保全委員会の奴ら、とうとう仕掛けて来やがった!
震える足で階段を駆け上がる。兎に角一刻も早く、マダム達に今の状況を伝えなければ!
「マダム!?」
ギイ、耳障りな音を立てて扉が開く。
城の最上階。広々とした部屋のどこを見渡しても マダム達の姿は見当たらなかった。
...あれ、どうした、どこへ行った?
「今は前線に...?......は、」
そう窓から下を覗こうとしたときだった。
「......体が、動かない......?」
ふと目線を下ろせば、視界に入ったのはしわくちゃの腕。
なんだ、何が起こった。私は見習いの魔女。まだ戦闘方法すら初期の魔法を覚え始めたばかり。
なのに何だ?この熟練の魔女の腕は。
「......助かったよ。丁度アタシの身代わりを探してたんだ。」
「...マダム・ドルシア?これはどういう、」
魔女の中でも特に強い七賢人の一人、マダム・ドルシア。
中でも彼女はかなりの戦闘派で、戦闘魔法でマダム・ドルシアの右に出るものはいない。
そんな彼女が戦わずに、一体何を...?
「しー、静かにしな。アイツらに聞かれてたら溜まったもんじゃない。
簡単な話さ。アタシ達はこれから逃げる。その時間稼ぎにアタシ達の誰か一人を模した身代わりが欲しい。
そしたらアンタが居た。ただそれだけだよ。」
あのトチ狂った兄妹なんか顔も拝みたくないからね、なんてマダムは続ける。
「この魔法は 普通程度の人間だったら気づかないだろうよ。
戦えなくったって多少の違和感はあるがそう簡単にはバレやしない。
......じゃ、頼んだよ。名前は...なんてったけ、アンタ?......ま、なんでもいいさ。」
「待って下さい!マダム!私、」
必死にマダム・ドルシアを止めようと手を伸ばすが、足が動かない。
私の声が聞こえたのか、彼女は振り向いた。マダムが口を開く。
「ギャハハハ!こりゃとんだ傑作だね!
悪いがアタシは仲間思いな魔女じゃない。精々アタシのために頑張ることだね!」
そう言ってマダム・ドルシアは窓辺から箒に乗って飛び立って行った。
部屋に残されたのは私ただ一人。
これから起こるであろうことに怯えながら、私は掠れた声を漏らすことしかできなかった。
◆
同時刻、城の庭園。
ヘンゼルが鋭い斧を振り回し、グレーテルの熱々のチョコレートが魔女たちの頭に降りかかる。
そこはまさに、地獄絵図だった。
「中々やんちゃなものね、最近の若者は。」
私が言うと、隣にいた人魚姫が言った。
「そうね、シンデレラちゃん!因縁の相手というのも相まって、いつもより磨きがかかってるみたいね!」
そう言う人魚姫の顔には、魔女だったであろう大量の泡がついている。
ナイフから海水を出し、触れたものを泡にする___なんとも物騒な能力である。
「私も、あの憎しみが久しぶりに喉から込み上げてくるわ!」
我慢出来ない、そんなことを言いたげな彼女の笑顔を見て、私は苦笑した。
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