閲覧前に必ずご確認ください
この小説を読んでいて不快な気持ちになった方は、即座にブラウザバックすることを推奨致します。
✦
クラスに、転校生が来た。
「こんにちは。私はメイリンって言います。梅に林で、[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]。」
日本人と中国人のハーフで、小さい頃から日本と中国を行き来していた女の子。
塩顔で、黒髪で、ちょっとだけクール。結構、仲良くなれそうだと思った。
「メイリンちゃん。よろしくね!あたしは芽衣!」
「芽衣ちゃん!よろしくね。」
休み時間に勇気を出して話しかけたら、日本人のあたしより綺麗な日本語で、スラスラ答えてくれた。
中国語も話せるみたいで、カッコイイなと思った。
彼女は、なんか、落ち着いていて……えっーと、ヤマトナデシコって感じだった。
例えるならそう、お金持ちのお嬢様。礼儀正しくて、いっつも冷静。
しばらくは上手くやっていけてた。
……けれど、なんだか失敗なんてしない彼女を見ていたら、段々と面白くなくなってきた。
テストで100点取ってたのはあたしだけだったのに。
クラスで1番頼れるリーダーはあたしだったのに。
1年生に逆上がりを教えるのはあたしの役目だったのに。
まるで、あたしの自慢の仕事を、ぜーんぶ奪われたみたいな気持ちだった。
そんな自分の気持に気付いてから、彼女と居るのは苦痛になってきた。
「…衣ちゃん、芽衣ちゃんってば!」
「あ、ごめんごめん!あたし、ちょっと考え事してた!」
後ろからメイリンに肩を叩かれて、目がぱっちりと覚める。
……やば、今一瞬記憶とんでたな。
「芽衣ちゃんだよ、次の番。」
そうだった、なんて思い出す。
今は道徳の授業で、親から聞いてきたことを発表する時間。
お題は、自分の名前の由来。
がたりと椅子を引いて立ち上がる。
昨日お母さんとお父さんに教えてもらったことを書いた、プリントを見る。
メイリンに起こされた恥ずかしさを紛らわすために、いつもより大きい声をだす。
「あたしの名前の由来は植物と羽衣です。
”芽”は、植物の芽のように、すくすくと育ってほしい、
”衣”は、羽衣のように、人を優しく包み込むような温かさを持ってほしいからでした。」
あたしの発表が終わると、周りから小さな拍手が鳴る。
その拍手が、ほんのちょっぴり誇らしかった。自分の名前の由来って、こんなにも素敵なんだなと思う。
次は、後ろのメイリンの番だ。メイリンが立ち上がる。
「私の名前の由来は、私が[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]ばいりん[/ふりがな]で生まれたからです。終わりです。」
そう一言だけ言ってメイリンはまた座る。
拍手はやっぱり鳴ったけど、あたしはなんだか、悲しかった。
帰り道、あたしはメイリンに聞いた。
「……ねえ、本当に名前の由来ってあれなの?」
「うん。」
メイリンは静かに答えた。
けれど、その声はあまりにも泣きそうで、
[小文字]「……羡慕。」[/小文字]
「え、なんて?」
メイリンは中国語で呟いたのかな、あたしには何にも聞き取れなかった。
……でもね、[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]。なぜか、あたしには分かるよ。
[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]はさ、あたしが羨ましかったんでしょ?
”芽衣”なんて名前が。”芽衣”なんて由来が。
だってあたしが[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]を羨ましいって思ってたときも、ずっとそんな声だったもん。
『類は友を呼ぶ』って言うもんな、なんて少し心が軽くなる。
「ごめん。」
誤りたくなって、[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]にそっとそう言う。
「……私もごめんね。」
[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]も消えそうなぐらいの小さな声で言った。
「…[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]!あたしの親友はね、」
お葬式みたいな雰囲気が嫌で、思わず明るい声をだす。
[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]がこっちをゆっくり見る。
「バイリンガルで、[漢字]梅林少女[/漢字][ふりがな]バイリンガール[/ふりがな]だよ!」
そう言って、あたしと[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]は、とびっきりの笑顔で、笑いあった。
✧
クラスに、転校生が来た。
「こんにちは。私はメイリンって言います。梅に林で、[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]。」
日本人と中国人のハーフで、小さい頃から日本と中国を行き来していた女の子。
塩顔で、黒髪で、ちょっとだけクール。結構、仲良くなれそうだと思った。
「メイリンちゃん。よろしくね!あたしは芽衣!」
「芽衣ちゃん!よろしくね。」
休み時間に勇気を出して話しかけたら、日本人のあたしより綺麗な日本語で、スラスラ答えてくれた。
中国語も話せるみたいで、カッコイイなと思った。
彼女は、なんか、落ち着いていて……えっーと、ヤマトナデシコって感じだった。
例えるならそう、お金持ちのお嬢様。礼儀正しくて、いっつも冷静。
しばらくは上手くやっていけてた。
……けれど、なんだか失敗なんてしない彼女を見ていたら、段々と面白くなくなってきた。
テストで100点取ってたのはあたしだけだったのに。
クラスで1番頼れるリーダーはあたしだったのに。
1年生に逆上がりを教えるのはあたしの役目だったのに。
まるで、あたしの自慢の仕事を、ぜーんぶ奪われたみたいな気持ちだった。
そんな自分の気持に気付いてから、彼女と居るのは苦痛になってきた。
「…衣ちゃん、芽衣ちゃんってば!」
「あ、ごめんごめん!あたし、ちょっと考え事してた!」
後ろからメイリンに肩を叩かれて、目がぱっちりと覚める。
……やば、今一瞬記憶とんでたな。
「芽衣ちゃんだよ、次の番。」
そうだった、なんて思い出す。
今は道徳の授業で、親から聞いてきたことを発表する時間。
お題は、自分の名前の由来。
がたりと椅子を引いて立ち上がる。
昨日お母さんとお父さんに教えてもらったことを書いた、プリントを見る。
メイリンに起こされた恥ずかしさを紛らわすために、いつもより大きい声をだす。
「あたしの名前の由来は植物と羽衣です。
”芽”は、植物の芽のように、すくすくと育ってほしい、
”衣”は、羽衣のように、人を優しく包み込むような温かさを持ってほしいからでした。」
あたしの発表が終わると、周りから小さな拍手が鳴る。
その拍手が、ほんのちょっぴり誇らしかった。自分の名前の由来って、こんなにも素敵なんだなと思う。
次は、後ろのメイリンの番だ。メイリンが立ち上がる。
「私の名前の由来は、私が[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]ばいりん[/ふりがな]で生まれたからです。終わりです。」
そう一言だけ言ってメイリンはまた座る。
拍手はやっぱり鳴ったけど、あたしはなんだか、悲しかった。
帰り道、あたしはメイリンに聞いた。
「……ねえ、本当に名前の由来ってあれなの?」
「うん。」
メイリンは静かに答えた。
けれど、その声はあまりにも泣きそうで、
[小文字]「……羡慕。」[/小文字]
「え、なんて?」
メイリンは中国語で呟いたのかな、あたしには何にも聞き取れなかった。
……でもね、[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]。なぜか、あたしには分かるよ。
[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]はさ、あたしが羨ましかったんでしょ?
”芽衣”なんて名前が。”芽衣”なんて由来が。
だってあたしが[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]を羨ましいって思ってたときも、ずっとそんな声だったもん。
『類は友を呼ぶ』って言うもんな、なんて少し心が軽くなる。
「ごめん。」
誤りたくなって、[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]にそっとそう言う。
「……私もごめんね。」
[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]も消えそうなぐらいの小さな声で言った。
「…[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]!あたしの親友はね、」
お葬式みたいな雰囲気が嫌で、思わず明るい声をだす。
[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]がこっちをゆっくり見る。
「バイリンガルで、[漢字]梅林少女[/漢字][ふりがな]バイリンガール[/ふりがな]だよ!」
そう言って、あたしと[漢字]梅林[/漢字][ふりがな]メイリン[/ふりがな]は、とびっきりの笑顔で、笑いあった。
✧