◇
「それじゃあ、作戦開始は今夜。準備を整えておいて」
私が席を立つと、三人はそれぞれの武器や道具を手に取り、音もなく部屋を後にした。
最後に残った私は、机に広げた古ぼけた紙をじっと見つめる。
魔女集会___。
彼女達はただ純粋に、自らの欲望と魔術の探求のために、何世紀にもわたって無数の人生を狂わせてきた。
「......今回こそ、その傲慢な椅子から引き摺り下ろしてあげるわ。」
私は魔女に恨みがある彼らが待つところへ足を進めた。
◆
扉を開けると、私以外は全員揃っているようだった。
「あ、灰被りさん!ようやくいらしたのね。」
白雪姫が私に手を降ってくる。
どうやらかなり待たせてしまっていたようだ。
「遅れて失礼。少し前の会議が長引いてしまったわ。」
そう言い私は席に座る委員達をまじまじと眺める。
白雪姫、ヘンゼルとグレーテル、ラプンツェル、人魚姫ことアリア・マイレード、茨姫ことシュラフェン・ドーメン、兄と妹こと角鹿鏡舞。ここに居る全員が魔女に何かしらの恨みがある者である。
「それで話は何?
私、ヘンゼルを傷つけた魔女に早く復讐をしたいの。」
「そうだよ。僕だってグレーテルを汚した魔女を早く切り殺してやりたい。」
そうヘンゼルとグレーテルが口々に言い出す。
彼らの隣をちらりと見れば、茨姫は相変わらず寝ているようだった。
「ぬぅ...私だって...恨みくらい....ぬぅぅぅ...」
「そうだと思って私、今回は作戦を一切練っていないわ。」
私の言葉に、会議室の空気が一瞬で凍りついた。
「...作戦を、練っていない?」
兄と妹がメモをしていた手を止め、困惑したように首をかしげる。
人魚姫とラプンツェルに至っては、今にも椅子を蹴り飛ばさんばかりの勢いで身を乗り出した。
「冗談はやめてよ。相手はあの狡猾な魔女たちなのよ?」
「無策で突っ込めば、ボクたちは...」
「落ち着きなさい。」
私は冷徹な声で二人を制した。その響きに、うつらうつらとしていた茨姫の肩がびくりと跳ねる。
「作戦を練っていないのは、あなたたちに役割を与える必要がないからよ。
今回、あなたたちに求めるのは戦略じゃない。ただの発散よ。」
私は机の上に、魔女たちの居城へと続く裏道の地図を叩きつけた。
「アラジン、雪女、笛吹きの三人が、すでに表門で派手に暴れ回る予定よ。」
「......つまり、裏はガラ空きってこと?」
人魚姫のアリアが、鋭い視線で地図を覗き込む。
「その通り。貴方達には、この裏道から最深部の祭壇まで一気に駆け抜けてもらう。
罠も、結界も、使いも...道中に立ち塞がるものは、すべてその積年の恨みで叩き潰しなさい。
連携なんて不要。ただ、目の前の宿敵を、自分が受けた苦しみの分だけ攻撃すればいい。」
私の言葉に、ヘンゼルの口角が歪に吊り上がった。グレーテルの瞳には、どす黒い何かが宿る。
兄と妹が静かに声を出した。
「...最高じゃん。作戦がないのが作戦、ってわけか。」
「私の毒林檎、あの魔女達の口に無理やり詰め込んで差し上げるわ。」
白雪姫が、愛らしい顔に似つかわしくない冷酷な笑みを浮かべる。
「あぁ...やっと、やっとだよ...。
お母様のことを馬鹿にしたあいつらをようやく潰せる。」
ラプンツェルが、髪を愛おしそうに撫でながら呟いた。
「さあほら、出発よ。」
私は立ち上がり、勢いよく扉を開けた。
◇
「それじゃあ、作戦開始は今夜。準備を整えておいて」
私が席を立つと、三人はそれぞれの武器や道具を手に取り、音もなく部屋を後にした。
最後に残った私は、机に広げた古ぼけた紙をじっと見つめる。
魔女集会___。
彼女達はただ純粋に、自らの欲望と魔術の探求のために、何世紀にもわたって無数の人生を狂わせてきた。
「......今回こそ、その傲慢な椅子から引き摺り下ろしてあげるわ。」
私は魔女に恨みがある彼らが待つところへ足を進めた。
◆
扉を開けると、私以外は全員揃っているようだった。
「あ、灰被りさん!ようやくいらしたのね。」
白雪姫が私に手を降ってくる。
どうやらかなり待たせてしまっていたようだ。
「遅れて失礼。少し前の会議が長引いてしまったわ。」
そう言い私は席に座る委員達をまじまじと眺める。
白雪姫、ヘンゼルとグレーテル、ラプンツェル、人魚姫ことアリア・マイレード、茨姫ことシュラフェン・ドーメン、兄と妹こと角鹿鏡舞。ここに居る全員が魔女に何かしらの恨みがある者である。
「それで話は何?
私、ヘンゼルを傷つけた魔女に早く復讐をしたいの。」
「そうだよ。僕だってグレーテルを汚した魔女を早く切り殺してやりたい。」
そうヘンゼルとグレーテルが口々に言い出す。
彼らの隣をちらりと見れば、茨姫は相変わらず寝ているようだった。
「ぬぅ...私だって...恨みくらい....ぬぅぅぅ...」
「そうだと思って私、今回は作戦を一切練っていないわ。」
私の言葉に、会議室の空気が一瞬で凍りついた。
「...作戦を、練っていない?」
兄と妹がメモをしていた手を止め、困惑したように首をかしげる。
人魚姫とラプンツェルに至っては、今にも椅子を蹴り飛ばさんばかりの勢いで身を乗り出した。
「冗談はやめてよ。相手はあの狡猾な魔女たちなのよ?」
「無策で突っ込めば、ボクたちは...」
「落ち着きなさい。」
私は冷徹な声で二人を制した。その響きに、うつらうつらとしていた茨姫の肩がびくりと跳ねる。
「作戦を練っていないのは、あなたたちに役割を与える必要がないからよ。
今回、あなたたちに求めるのは戦略じゃない。ただの発散よ。」
私は机の上に、魔女たちの居城へと続く裏道の地図を叩きつけた。
「アラジン、雪女、笛吹きの三人が、すでに表門で派手に暴れ回る予定よ。」
「......つまり、裏はガラ空きってこと?」
人魚姫のアリアが、鋭い視線で地図を覗き込む。
「その通り。貴方達には、この裏道から最深部の祭壇まで一気に駆け抜けてもらう。
罠も、結界も、使いも...道中に立ち塞がるものは、すべてその積年の恨みで叩き潰しなさい。
連携なんて不要。ただ、目の前の宿敵を、自分が受けた苦しみの分だけ攻撃すればいい。」
私の言葉に、ヘンゼルの口角が歪に吊り上がった。グレーテルの瞳には、どす黒い何かが宿る。
兄と妹が静かに声を出した。
「...最高じゃん。作戦がないのが作戦、ってわけか。」
「私の毒林檎、あの魔女達の口に無理やり詰め込んで差し上げるわ。」
白雪姫が、愛らしい顔に似つかわしくない冷酷な笑みを浮かべる。
「あぁ...やっと、やっとだよ...。
お母様のことを馬鹿にしたあいつらをようやく潰せる。」
ラプンツェルが、髪を愛おしそうに撫でながら呟いた。
「さあほら、出発よ。」
私は立ち上がり、勢いよく扉を開けた。
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