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マスターブルー~完全版~

#37

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チューリップ畑に囲まれた小学校に
ティムは体育館に向かった。内戦の反市民団体からの講義の依頼だ。
多くの人間が、自分の体験談を聞きたがっている。
ティムは車を小学校の体育館の運動場に止めて、
体育館に入った。
多くの戦争への政府批判者と多くの大学の生徒たちが、ティムの話を聞くために集まっていた。本が好評で小学校の体育館でティムを迎えることとなった。
「ノーマンロイスです。牧場の仕事をしています。貴方の講演を楽しみにしていた」
「キャサリンです。私も嬉しい」と歳のいった人や若者も多く様々だ。ティムに握手を求めた。
小学校に入った、道を抜けて、体育館に入る。ティムは何度も自分の講義の練習を一人で口ずさんでいた。
体育館に入ると拍手で迎えられた。
ティムは、少なめの数の人達に頭を下げた後、台のミネラルウオーターを少し飲み、
静かに話しはじめた。
「今、僕がウスティオ内戦に言えることは、いままでのウスティオはベルカなしでは考えられなかった。
今、ウスティオは独立を達成して、新しい国になりつつあります。
経済や資源も安定していて、天然ガスはウスティオの大切な資源です。
今、ウスティオの政治は変わりつつあります。
ウスティオ独自の運営できる力を持っているため、ベルカの経済は今、恐慌状態にあり、独立当時、豊かだったウスティオもその影響が激しい。
今、ウスティオは内戦下にありますが、ウスティオを独立を記念すべき時、古くなった主義を根底から生まれ変わらす必要があります。
ウスティオは、大国の干渉をつねに受けている。大国からの利益を中心とすれば、腐敗しやすい。大国を理想としない。
それは、ベルカの失敗から学んだ事だし、ウスティオの国力もそうではない。では大きな国でない良さと、新しい国として、
十分にやっていける力を持っています。工学的な近代化に遅れても、
先進的な文化国として、豊かで良き国を目指したい。今、それが出来る機会に恵まれている。
ベルカの理想とする、古き超大国は時代遅れだ。それで失敗した。今、ウスティオは変わる必要がある」
椅子に座り、聞いていた人間から、一人手を挙げた少女がいた。
ティムと人達は、その少女を見つめた。
「質問があります」
「ハイ、教えてくれ」ティムは、少女を見た。
眼鏡をかけた、痩せ型の身長の高い少女だ。
「貴方の理想をもっと知りたいです。貴方が内戦で学んだ事は、どんな事だったのですか?
貴方の兄は政府軍らしいですが」
ティムは少し沈黙して目をそらせ、ふたたび少女の方へ向きなおると、語りはじめた。
「内戦は、いろいろな人達との出会いだった。いろんな人間と様々な思い出を作れた。
兄は政府軍だ。子供の頃からいい兄だった。僕は父を亡くした。
父も戦闘機乗りだった。それよりも兄は空が好きだった。
僕達は、父の事を尊敬していたし、優秀だった。そんな父も戦争で死んだ。
この内戦とは違うが。
兄は僕達を育てるため、幼い頃から父の代わりをしてくれた。
そんな、兄とこの戦いで共にベルカに立ち向かう事になるなんて、思いもしなかった。
兄は軍人として、国の正義を信じている。
弟の僕が、思想的に間違っていて、思想的に理解しずらかったし、直接、兄弟が戦争で戦うわけでもないから、
軍の味方を兄はしているだけです。
敵意があるわけじゃない。兄は軍のため戦う事を選んだのも、自分の軍人としての誇りがあったのでしょう。
軍人としてのプライドと反政府の思想を理解したくないから。実際は人間的に優れています。
ティムが講演を終えると、体育館中は拍手で包まれた。
ティムは、「ありがとう。ありがとう」と、講演を聞いている人達に握手した。
少女の頭を撫でて、「ウスティオは君のような若者を必要としているんだよ」と言った。
その時、停電が起き、体育館が1舜真っ暗になった。その後、体育館にベルカ軍の空襲を伝えるサイレンが大きく鳴った。
「若い人達を非難させてくれ」と口々に言い、皆、急いで体育館を列を作って離れだした。
ティムも子供達を率先して導く。
少女に、「安全な所を早く行くんだ」とティムは、頼りない子供に、少し怒りっぽく言う。
サイレンの音は、休みなく大きく響く。
「この空爆は激しそうだ」とティムは言う。
体育館を裏から出て、空を見ると、遥かかなたに爆撃機の連隊がかすかに確認できた。
空は、暗くなっていた。
「さあ急ぐんだ、まだ時間はある」と大声でティムは言った。周りの人間も、
サイレンが響いているのに、ゆっくりとしているのをティムは苛立った様子で、
「さあ、早く逃げないと大変な事になる」と促した。
皆々、車に乗り込み、その場を離れていく。
そんな中、一組の姉妹が、慌てているのを見て尋ねた。
「何している?空爆を受けて、火だるまになっても知らないぞ!」
「ここまで、貴方の講演を聞くために、徒歩できました。もうおしまいかもしれない」と姉妹は言う。
ティムは手招きして、
「じゃあ早く僕の車に乗れ!急いで安全な所へ行く」
ティムは姉妹を乗せて、車のエンジンをかけて発進させた。
道路には誘導灯を持った人が空爆からへの避難を仲間達を誘導していた。
幸い小学校の場所は中心部でなく山間の所だったので、容易にその場所へたどり着く事はできた。
町を抜けて、山間の場所で車を止めて、外に出た。
そこは、山間のシェルターで鉄製の板を2重に張った構造になっていて、
住民の避難場所になっている。
近くに川が流れて、ティムの達の他に数人の人間が避難していた。
爆撃機はもうすぐそこまできていた。
ティムはそこに来ると、姉妹の方を見て、急げと手招きした。
「早く、早く来るんだ」
空爆の轟音で、鼓膜が潰れるかの錯覚を受け、全身にピリッとした衝撃がはしり、耳をふさぎながら言った。
その声は、爆撃機の轟音にかき消されていた。
空爆のたびに大地が揺れた。
その時、空爆の大爆撃とともに、近くの建物を破壊した。
ティムは、ふたたび耳をふさいだ。
轟音とともに爆撃機は飛び去った。
後は山のように散乱する瓦礫が残っていた。
ビルも破壊され、道端には死人が転がっていた。
道端で老人達が泣き叫んでいる。
自分はその現状を見て、自分が情けなくなる。
この悲惨な現状は、よく戦場でも見受けられない。
爆撃により、片足を失った青年や、倒れている死体が目に付く。空爆で死者が出たそうだ。
自分が今日、普段、肌身離さず持っているカメラを持っていないのに、少し落胆した。
砂埃の立ちこめる中、
「生きていたか?」知り合いがティムを探して声をかけた。
「ベルカの空爆で反政府は浮き足だっている。」仲間の一人が言う。
「だいぶ、混乱も落ち着いてきたようじゃないか」
ティムはすぐは質問に答えず、瓦礫に包まれた景色を見つめた。
綺麗だった町が跡形も無い。
風が少し吹き始める。
「また、政府軍の空爆があるか、心配だ」
その後、姉妹の方に目を向ける。
その顔には助かった安堵の表情が見られた。
「空爆はやんだようね・・・」
おそるおそる姉妹が出てきた。
一安心したか、姉妹の妹が泣き出した。
「ひととおり町の方を見てこよう」ティムは言った。
散乱した瓦礫を一通り見て、町を丘を下って、見渡す。
その後、瓦礫の下敷きになった男を助ける。
ティムは丘に向かい、町を見渡した。
廃墟が広がり列を作っている。ティムはその足で町の保険局に向かった。
その後、廃墟になっている町をうろついた。
ティムが自転車で角を通りすぎていく、少年を見かける。
少年は瓦礫を肩に吊っていて運んでいた。
ティムが通りすぎると、ティムの事を遠くからじっと見ていた男が、異変に気ずき、
大声を数人と一緒にティムに向かって張り上げた。
ベルカの町では、スハルスキー像が撤去に町は忙しかった。
鳩が周りに寄ってきて、子供達が、巨大なスハルスキー像の撤去工事を見守っていた。
「おい、倒れるぞ!」
空爆とともに崩れかけていたスハルスキー像の撤去を見つめていた、ティムに声が届く。
スハルスキーの像が倒れた。
その途端、民衆から歓声があがった。「おいそこの人、上が崩れるぞ」
ティムは上を見上げる。
そうする内、上の大きな建物の一部がまるで砂城が崩れるかのように、ぱらぱらと建物の破片が崩れてきた。
「危ない」ティムがそう自覚すると、
建物が音をあまり発せず、崩れだした。
数秒後、音もなく建物は崩れ落ち、周りは砂埃に満ちた。
多くの人間が、「あぶない。あぶない」と口々にティムに言った。
多くの国内のテレビ局も空爆の死者とスハルスキー像の顔が道に倒れこんだ写真を撮り、報道していた。
市民の一人がテレビからインタビューをうけている。多くのカメラが回っていた。
たいへん多く市民が広場に集まっていて、多くの人がこの歴史的日を見ようとつめかけていた。
ティムは、それから逃れて少し建物がない広場に出ていた。
ティムはそれから、腕時計の時間を確認した。
その日は冬だが、太陽が熱く照っている一日だった。
それからティムは来た道を車で引き返した。
姉妹の妹が、抗議活動を聞きに来ただけで政府軍の爆撃に遭うなんてついてないね。
命がいくつあってもたまった物じゃないと嘆く。反政府軍はこの地域の爆撃については、
情報の認識は軽いようだ。反政府もこんな田舎町が空爆されるとは気にもしてないのだろう。
妹が泣き止まないので、ティムは、
姉妹を車の後ろの席にのせて仕方ないから家まで送ってあげようと親切をした。
姉妹の妹は泣きじゃくり、ティムを困らせた。
山間部のシェルターで姉妹の家族の事をティムは色々と聞いた。ティムも自分の家族の事を話した。
色々とシェルターの場所を聞いて送りとどけていると日も更けてきた。
シェルターの前まできて、姉妹が本当にありがとうとティムに言う。
何か恩返しをしたい。シェルターで夕食をごちそうしたいと姉は言ったが、
食料の値段も上がっているのにいいとティムは言った。それでも貴方がいないと私達は死んでいた。
姉は無理やりにティムをシェルターの奥に招きいれて、豪盛な夕食と温かいスープを振る舞ってくれた。
ティムは腕時計を見ながら、「この腕時計少し壊れているんだ。時間が少し違って。
でもこの時計は子供の頃に母が買ってくれた思い出があってなかなか捨てられない。町へいくといくらでも安い時計が手に入るんだが、この時計のせいでいい時計をつけてたくてね」
それを聞いた姉が帰り際に、「少し待って」と言って、姉は10分程するとシェルターから出てきて、
ティムに、綺麗な金色の腕時計をティムに手渡して、
私がこれは大切にしていた物だけど、貴方にあげると手渡してくれた。
そして「また講演はありますか?」と言った。
「ええ。もう2ヶ月ぐらいしたら自分の町でしようと思う」とティムは言う。
「その時また聞きに行くわ」と姉は言った。
戦争が終わるようとティムの事を祈った。
その後、別れを告げる。
それから3時間も長い暗い夜道のハイウェイを車を走らせて、元の町へ急いだ。
途中、車を止めて、ティムは呼吸を落ち着かせて、
その間、運転席のハンドルに頭をもたれこんで、大きなため息を吐いた。
「はぁ・・・散々な日だったな・・・。まだ生きてるか?」と自分に言い聞かせた。
その後、アクセルを踏み直し、暗いハイウェイの道をラジオをかけて急いだ。

2024/03/18 06:19

しんたろう
ID:≫ 1eytETH/W5xF6
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