⚠注意⚠
前回の話が誰視点だったか分かってしまう描写があります。知りたくない方は、読まないことを強く推奨致します。
「クッソ、あのガキ。なんとかならんか⁉」
ガン!というジョッキを乱暴に置く音と共に広島が叫ぶ。
「まあまあ」
そう言ってなだめるのは岡山。少し困ったような笑みを浮かべ、仲裁に回る。
ここは広島県内のとある居酒屋。第1回全国会議が終わり、そのお疲れ会(愚痴大会)を開いているようだ。
「おおかた、あがいなの会議もクソもねえじゃろ!」
「まあねぇ」
そう言って、唐揚げにすだちをかけながら広島に同調するのは徳島。その隣では香川が無言でうどんをすすり、山口がフグの唐揚げを頬張っている。
「そんなが、気にすんなよ!」
高知がマスで酒を飲んでいるせいか、顔を赤くして豪快に笑う。横に座っている愛媛は、高知に肩を叩かれ迷惑そうに彼を見る。
「…」
「…」
隅の方では島根と鳥取がそんな喧騒の外で酒を酌み交わしていた。
「しっかし、岡山。あのガキによう言いかえしたな!感動したでぇ」
「感動した…?それより、大きい声で名前を呼ぶな。ここは外だぞ」
「ん?ああ、わりぃ」
珍しく素直に広島が謝る。
彼らは普段、ふつうの人間として各都道府県に住んでいる。岡山は岡山県に住んでいるし、広島は広島県に住んでいるのだ。そんな彼らには絶対に破れないルールがある。それは、他人に自分たちが擬人化都道府県だとバレないこと。バレると色々面倒なのだ。
「[大文字]なんやあああああ![/大文字]」
突然、店の奥の方から叫び声が聞こえてきた。何故関西弁?と岡山は思う。答えはすぐに出た。
「店主さん!ワイはお好み焼きを頼んだんや!何で『広島風お好み焼き』が出てくんねや!」
奥の方から大阪が出てくる。何故ここに大阪が?1人を除いて、中国・四国地方の全員が思った。だが、バン!とテーブルを激しく叩く音がその疑問を消し去った。
「『広島風』じゃと?聞き捨てならんな」
「お、落ち着けって」
慌てて岡山が仲裁に入る。しかし、広島は大阪の方へ歩き出す。
「何でここにあんたがおんの?」
向かってくる広島に気が付いた大阪が心底驚いた表情で問いかけてきた。広島が彼の胸ぐらを掴む。
「こっちのセリフじゃボケ!ここは広島県じゃぞ!」
大阪は広島の剣幕に一瞬ひるんだが、すぐに気を取り直して言い返した。
「他にも居酒屋はあるだろって意味や!」
「落ち着いてくださいよ」
「そうだ。周りのお客さんに迷惑をかけるなよ」
岡山と温厚な和歌山が2人を止めに入る。
「「うるせえ!」」
「ごめんなさあい!」
少し涙目になった和歌山が近畿勢のもとに帰っていく。残された岡山は2人を止めようと必死になっている。
「だめだこれ」
「こうなると手が付けられないからなあ」
滋賀と三重が呆れたように呟く。そんなカオスな空間からは離れたい京都と奈良が、島根と鳥取のいる隅っこに身を寄せる。
「何で、ここに近畿の人々が?」
徳島が隣にいた兵庫に話しかける。
「ほら、全国会議で大阪が東京のやつに言い負かされていただろ?」
「そういえばそうだったね」
愛媛も会話に加わる。
「それで、愚痴大会を開こうということになったんだ」
「大阪府でやればいいじゃん」
香川が横から口を出す。
「そう思うだろ。最初はそういう予定だった。けどこの時期、居酒屋がいっぱいでな」
「それで人のいなさそうなこっちに来たと」
高知がまだ酒を飲みながら納得したように頷く。
「けど、何で広島なの?」
山口がお腹いっぱいで満足したのか、話に参加する。
「広島におすすめの居酒屋を紹介してもらったから、そこに行こうって話になった」
「岡山の方が近いのに」
三重がぽつりと言う。
「岡山かわいそう」
必死に2人を止める岡山を横目に滋賀が呟く。
「まさかいるとは思わなかった」
「凄い偶然だね」
徳島が相槌を打つ。ふと会話が止まった。静かになると、大阪と広島のケンカの内容が聞こえてくる。
「お好み焼きはこっちが本場じゃ!」
「いいや、ワイの所やな。そっちは広島風な」
「んじゃと⁉」
「頼むから1回席に座ってくれ!」
岡山の悲鳴も聞こえる。
「騒がしいなぁ」
「なぁ」
酒を酌み交わしていた島根と鳥取があまりのうるささにぽつりぽつりと会話をする。
「落ち着きがないですね」
「ええ。そうですね」
お茶を優雅に飲んでいた京都と奈良もひとこと交わし、窓の外を見た。夜が今、明けようとしていた。
前回の話が誰視点だったか分かってしまう描写があります。知りたくない方は、読まないことを強く推奨致します。
「クッソ、あのガキ。なんとかならんか⁉」
ガン!というジョッキを乱暴に置く音と共に広島が叫ぶ。
「まあまあ」
そう言ってなだめるのは岡山。少し困ったような笑みを浮かべ、仲裁に回る。
ここは広島県内のとある居酒屋。第1回全国会議が終わり、そのお疲れ会(愚痴大会)を開いているようだ。
「おおかた、あがいなの会議もクソもねえじゃろ!」
「まあねぇ」
そう言って、唐揚げにすだちをかけながら広島に同調するのは徳島。その隣では香川が無言でうどんをすすり、山口がフグの唐揚げを頬張っている。
「そんなが、気にすんなよ!」
高知がマスで酒を飲んでいるせいか、顔を赤くして豪快に笑う。横に座っている愛媛は、高知に肩を叩かれ迷惑そうに彼を見る。
「…」
「…」
隅の方では島根と鳥取がそんな喧騒の外で酒を酌み交わしていた。
「しっかし、岡山。あのガキによう言いかえしたな!感動したでぇ」
「感動した…?それより、大きい声で名前を呼ぶな。ここは外だぞ」
「ん?ああ、わりぃ」
珍しく素直に広島が謝る。
彼らは普段、ふつうの人間として各都道府県に住んでいる。岡山は岡山県に住んでいるし、広島は広島県に住んでいるのだ。そんな彼らには絶対に破れないルールがある。それは、他人に自分たちが擬人化都道府県だとバレないこと。バレると色々面倒なのだ。
「[大文字]なんやあああああ![/大文字]」
突然、店の奥の方から叫び声が聞こえてきた。何故関西弁?と岡山は思う。答えはすぐに出た。
「店主さん!ワイはお好み焼きを頼んだんや!何で『広島風お好み焼き』が出てくんねや!」
奥の方から大阪が出てくる。何故ここに大阪が?1人を除いて、中国・四国地方の全員が思った。だが、バン!とテーブルを激しく叩く音がその疑問を消し去った。
「『広島風』じゃと?聞き捨てならんな」
「お、落ち着けって」
慌てて岡山が仲裁に入る。しかし、広島は大阪の方へ歩き出す。
「何でここにあんたがおんの?」
向かってくる広島に気が付いた大阪が心底驚いた表情で問いかけてきた。広島が彼の胸ぐらを掴む。
「こっちのセリフじゃボケ!ここは広島県じゃぞ!」
大阪は広島の剣幕に一瞬ひるんだが、すぐに気を取り直して言い返した。
「他にも居酒屋はあるだろって意味や!」
「落ち着いてくださいよ」
「そうだ。周りのお客さんに迷惑をかけるなよ」
岡山と温厚な和歌山が2人を止めに入る。
「「うるせえ!」」
「ごめんなさあい!」
少し涙目になった和歌山が近畿勢のもとに帰っていく。残された岡山は2人を止めようと必死になっている。
「だめだこれ」
「こうなると手が付けられないからなあ」
滋賀と三重が呆れたように呟く。そんなカオスな空間からは離れたい京都と奈良が、島根と鳥取のいる隅っこに身を寄せる。
「何で、ここに近畿の人々が?」
徳島が隣にいた兵庫に話しかける。
「ほら、全国会議で大阪が東京のやつに言い負かされていただろ?」
「そういえばそうだったね」
愛媛も会話に加わる。
「それで、愚痴大会を開こうということになったんだ」
「大阪府でやればいいじゃん」
香川が横から口を出す。
「そう思うだろ。最初はそういう予定だった。けどこの時期、居酒屋がいっぱいでな」
「それで人のいなさそうなこっちに来たと」
高知がまだ酒を飲みながら納得したように頷く。
「けど、何で広島なの?」
山口がお腹いっぱいで満足したのか、話に参加する。
「広島におすすめの居酒屋を紹介してもらったから、そこに行こうって話になった」
「岡山の方が近いのに」
三重がぽつりと言う。
「岡山かわいそう」
必死に2人を止める岡山を横目に滋賀が呟く。
「まさかいるとは思わなかった」
「凄い偶然だね」
徳島が相槌を打つ。ふと会話が止まった。静かになると、大阪と広島のケンカの内容が聞こえてくる。
「お好み焼きはこっちが本場じゃ!」
「いいや、ワイの所やな。そっちは広島風な」
「んじゃと⁉」
「頼むから1回席に座ってくれ!」
岡山の悲鳴も聞こえる。
「騒がしいなぁ」
「なぁ」
酒を酌み交わしていた島根と鳥取があまりのうるささにぽつりぽつりと会話をする。
「落ち着きがないですね」
「ええ。そうですね」
お茶を優雅に飲んでいた京都と奈良もひとこと交わし、窓の外を見た。夜が今、明けようとしていた。