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ヤメロ

#3

3 ★グロ描写注意

 廃ビルの中を必死に逃げ惑う女性。そんな女性の姿を追い掛けるカメラに時折チラリと映り込むのは、斧を持った男性のものらしき右腕。
 転げながらも必死に逃げ惑う女性は、ついにその距離が縮まった事でハッキリと姿を現した──その刹那。画面右側から勢いよく振り下ろされた斧。

 劇場内に響き渡る、女性の泣き叫ぶ声。

 そんな緊迫した映像を前に、ドクドクと早鐘を打つ俺の心臓。その鼓動が一際大きくドクンと跳ね上がった──その時。
 俺の口からポツリと小さな声が漏れ出た。


「……っ、え? み……ほ……?」


 俺の瞳の中に映る、スクリーン上の女性。それは間違えようもなく美穂の姿で、この状況がうまく飲み込めない俺は小さく口元を震わせた。


(なんで……、美穂が映画になんて出てるんだ……?)


 そんな疑問と共に頭に浮かんできたのは、連絡のつかない携帯と先程スクリーン上で見た見覚えのある建物。
 そう──あれは美穂の家からそう遠くない場所にある建物なのだ。


【これは、実際の殺人映像である】


 毎回オープニングで流れる、そんな一文が頭を過ぎった。


「っ……嘘……、だろ……?」


 ネットでまことしやかに囁かれる、これは紛れもなく本物の殺人映像なのだという噂。そんな噂を思い返した俺は、スクリーン上に映し出される美穂の姿を見つめたまま、ガタガタと大きく震え始めた。
 斬りつけられた背中は大きく切り裂かれ、ドロリとした赤黒い鮮血を流しながら泣き叫んでいる美穂。それでもなお、止まらない斧の動きはその小さな身体を次々と傷つけてゆく。


「やめ……って、くれ……っ」


 俺の口から溢れ出た声は、酷く震えて情けないものだった。
 スクリーンに映し出されているのは、血に塗れて泣き叫んでいる美穂の姿。そんな姿から、視線を逸らすことができない。


(お願いだから……っ。もう……っ、やめてくれ……)


 [漢字]深傷[/漢字][ふりがな]ふかで[/ふりがな]を負いながらも必死に逃れようとする美穂の姿を見つめながら、俺はその耐えがたい光景に顔を歪めると涙を流した。


(やめ、ろ……っ。やめろ……! ヤメロ!!!)


[大文字]「ヤメローーーーッッ!!!! 」[/大文字]


 スクリーンに向かって絶叫した──その時。力強く振り下ろされた斧は、美穂の頭に深くめりこんだ。グニャリと歪んだ顔からは眼球が飛び出し、ヒクつく口元からは『ァ゛ガッ……ガッ……』と声にならない空気が漏れる。
 俺は堪らず嘔吐すると、ドサリとその場に崩れ落ちた。床についた[漢字]吐瀉[/漢字][ふりがな]としゃ[/ふりがな]物まみれの手で必死に上半身を支えると、床に向かって大きく泣き叫ぶ。


(嘘だ……っ。嘘だっ!! 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……っっ!!!!!)


 まるで今しがた目にした信じ難い光景を払拭するかのようにして、狂ったように頭を掻き[漢字]毟[/漢字][ふりがな]むし[/ふりがな]る。そんな俺の頭上にフッと突然影が差し、それに気付いた俺はゆっくりと顔を上げた。
 突然できた影の正体であるその見知らぬ男は、カメラ片手に無言でこちらを見つめると、その口元にゆっくりと弧を描いた。


「…………え?」


 俺の口から小さくそんな声が溢れた──次の瞬間。

 右手に持った斧は、俺の頭上めがけて勢いよく振り下ろされた。





──────


────






「……っ、あ〜! 今回の映画も凄く良かったねぇ!」

「うん、そうだね! 斧でグシャッとなるのなんて、本当に本物みたいだったよね!」

「あっ! そうそう。あの噂、知ってる?」

「噂…… ?」

「実はね、この【スナッフフィルム】って映画。本物の殺人映像らしいよ」







─完─

2024/10/01 20:43

天音ろっく@暫くお休み中
ID:≫ 29AUQfmipv/.k
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