文字サイズ変更

本当にあった怖い話

#2

かげおくり


【体験者】K県在住Yさん




◆◆◆



 【かげおくり】って皆さんご存知でしょうか? 

 晴れた日に自分の影を10秒間見つめた後、空を見上げるとその影が空に映し出されるという例のアレです。
 要するに残像が瞳に映し出されているだけに過ぎないのですが、それにまつわる不思議な体験談をお話しします。



 [漢字]遡[/漢字][ふりがな]さかのぼ[/ふりがな]ること20数年前。まだ私が小学3年生だった頃、【かげおくり】はちょっとしたブームになっていました。何かにつけては【かげおくり】をして、その不思議な現象を皆んなで楽しんでいたのです。
 その日もやはり、Mちゃんと遊んでいた私はどちらからともなく【かげおくり】を始めました。


「「い~ち、に~、さ~ん──」」


 横並びになって手を繋いだ状態でカウントをし始めた私達は、足元にある自分達の影を見つめました。


「「──きゅ~う、じゅー!!」」


 勢いよく空を見上げた私は、そこに浮かび上がった自分達の姿を見て、その嬉しさから歓喜の声を上げました。


「ねぇ! 私達まるで空を飛んでるみたいだねっ!」

「…………」


 黙ったまま空を見続けているMちゃんを不思議に思い、私はMちゃんに向けて口を開きました。


「Mちゃん、どうしたの?」


 私のその声に反応してゆっくりとこちらを振り返ったMちゃん。


「……Yちゃんじゃない」

「え……?」

「Yちゃんじゃなくて、大きなおじさんと手繋いでた」

「……? ふ~ん。そうなんだ」


 そう答えながらも、意味の分からなかった私は小さく首を[漢字]捻[/漢字][ふりがな]ひね[/ふりがな]りました。


「私、今日ピアノのレッスンがあるからもう帰るね」

「うん。またね、Yちゃん」

「また明日遊ぼうねっ。ばいば~い」


 そう告げてその日はMちゃんと別れたのですが、その翌日以降、私は二度とMちゃんと顔を合わせることはありませんでした。
 その日の夜に行方不明者として捜索願いが出されたMちゃんは、翌日になっても戻ってくることはなかったのです。

 何の手掛かりもないまま20数年の月日が経った今でも、私は時折あの時Mちゃんが言っていた言葉を思い出します。


『大きなおじさんと手繋いでた』


 あの時Mちゃんが見たものとは一体なんだったのでしょうか──? 私には、どうしてもそれが無関係には思えないのです。





─完─

2024/10/17 22:18

天音ろっく@暫くお休み中
ID:≫ 29AUQfmipv/.k
コメント

この小説につけられたタグ

短編集実話体験談

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は天音ろっく@暫くお休み中さんに帰属します

TOP