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人工的な涼しさ、地獄、そして絵の具

「ぁ、あつい…これって日焼け止め機能するのかな…」




8月前半、猛暑日。

朝9時前には玄関から出て、靴を履いて_学校へ向かう。







家から2分ほどすると商店街に入り、薄くはあるが屋根がついている為少しだけ過ごしすく感じられる。




私は、そんな屋根の下で愚痴を吐きつつ歩いていた。










そこから10数分歩いて、ようやく校門前に辿り着いた。
まるで拷問だ…私が何をしたって言うんだ。








夏休み中は校門前に先生は立っておらず、誰も居ない。なんなら校門が閉まっているので隣に設置されている意外と重い扉を使わなければいけない。






太陽が出始めてから熱されていた鉄製の扉に手をかける。一応部活がある日は毎日しているけれど、この熱さにはまだ慣れない。









まだほとんど何もしていないのに、もう既に汗だくだ。











そうしてなんとか学校内に入り、廊下を抜け、お目当ての美術室に入る。





[小文字]「えーっと、私の番号はー…ああそういえばここか」[/小文字]










「おはようございまーす」





「あ、おはようー」










冷房はいつからついていたのだろうか。美術室の中はまるで冷凍庫だった。


涼しい風が一気に体中を駆け巡り、汗がすっと引いていくのを感じる。








とりあえず鞄を置き、既に来ていた先輩たち数人と作業に取り掛かった。













「先輩すみません!ここって何色でしたっけ!」

「え、何色だっけ。ごめーん部長!ここって何色!?」


「あ、その筆じゃ塗りにくいでしょ。この筆あげる」

「え!ありがとうございます」



そこからゾロゾロと人が入ってきて、一応全員揃ったみたいだ。

話し声で賑わい、極寒だったはずの美術室はあたたかい。






_だが数人は燃え尽きていた。
現在、美術部全生徒で取り掛かっているのは体育祭にむけた横断幕の制作。だが、それの合間にコンクールに応募するポスターも描かなければならないのだ。



そしてその数人の中に私も入るのである。















_「みんなー、もう時間だから準備はじめてねー」




必死に横断幕の一部を塗っていると、不意に先生の声が聞こえてきた。

部活は9時から…確か12時までだったはずだから、3時間も経っているということになる。





あまり寒いと思うことがなく作業に集中していた自分が少し怖く感じた。


だがそれとは裏腹に体は寒いということをきちんと感じていたらしく、二の腕は鳥肌が立ちまくっている。







ただ、帰るということはつまり_朝の様な地獄をまた感じなければいけないということ。


それは嫌だ。…誰がどう見たって嫌だ。激しい嫌悪を抱かずにはいられない。












ただ運動部じゃあるまいしそんなに活動時間が長いわけでもない。






時計の針が12時を指した瞬間。…私は諦めることを決意した。












「さようならー」

「さようなら、気を付けて」



「さよならーー」

「さようなら、あんたは勉強しなさいね」






先輩たちも段々と別れの挨拶を顧問と交わしていく。ああ、もうこの天国とお別れということか…。









「さようなら、先生」


「はーい、さようなら」











その言葉を交わし、ドアを開ける。



熱気が覆いかぶさったかのような、激しい息苦しさ。気温も高ければ湿度も高いのか。









先程までの天国は何処へ行ったのか_またこの地獄を歩いていく。





蒸し暑い。








とは言ったものの、明日も明後日もその次も。土曜日と日曜日以外ほとんどある部活に入ったおかげで、また暫くは天国と地獄を行き来することになる。













ふと手のひらを見てみた。





結局洗う時間がないまま手に残った鮮やかな赤色の絵の具が、手汗で溶けそうになっていた。




少しグロいなあと思いつつも、私はまた地獄を歩いている。

人工的な涼しさ_そう、いわば天国を目指す、地獄を。

作者メッセージ

美術部所属・醉夢まちゃ。です!こう見えて絵を描くことは結構すきです。

今回、久しぶりにノンフィクションに属するお話を書きました。美術室がほんとに寒いんですよ。
ついでに書こうと思ったきっかけは、つい先日の部活の時に春なのにめっちゃ冷房がきいてた経験(?)からですね。普通はやくても6月とかじゃない??

2026/04/16 18:55

醉夢まちゃ。
ID:≫ 4sDvBSaOEcmHM
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