君と僕、私とあなた。─三年前、僕の前から消えた彼女が「忘れないで」と笑っていた理由─
#1
1話 瀬戸悠真─現在
眩しい夕焼けが差し込む教室の中で、窓際の席に座り部活動に励む同級生たちを眺めている時だった。
それは、突然に起きた。
『あんたまだ私のこと引きずってるの?』
僕の目の前に、あの夏死んだはずの僕の彼女‘一ノ瀬凛‘がいた。
「凛!?」
慌てて凛に手を伸ばす。
その手は虚しく空を切った。
「は…?」
僕が驚いていると凛が言った。
『悠真ねぇ。バカなんじゃないの?あれから三年よ?何をそんなに驚いてるのよ。』
凛こそバカなんじゃないかと思う。
「だってずっと君のことを待っていて…!」
凛は窓の外を眺めていて返事をしない。
よく見ると凛は三年前のままの姿だ。
「今までどこにいたんだ?」
『さぁね?あんたこそ、部活は?』
「入ってないさ。中学時代と同じでね。」
皮肉たっぷりに言い返すと
『あっそ。』
小さな返事だけが返ってきた。
「……」
どうしよう。彼女なのに気まずい。
「あはは!それな!?わかる〜!」
部活終わりの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
凛の姿を見たら…!
慌てて凛の方を見るとそこにもう彼女はいなかった。
「ねー! あ。」
楽しそうなギャルグループが僕を見て足を止める。
「あー。瀬戸?1人で何してんのー?」
ギャルグループの中でも僕に話しかけてくる日向葵だ。
「何か悪いか。…日向。」
友達に何かを伝えるとこちらへ歩いてきた。
「あたし別になんも言ってないじゃーん。」
ふざけているのか素かはわからないが、肩を組んできた日向が言う。
「瀬戸ってー部活入ってないでしょー?1人時間邪魔してごめんなー」
イライラしてきて振り払う。
「僕が放課後を好きなように過ごして何が悪い。」
「はー。冷めてんねー」
ため息をつくと先ほどまで凛のいた場所に日向が立つ。
「おぉ!!ここめっちゃ夕日キレー!」
脳のないやつなのか?
「はぁ…」
ため息をつき鞄を掴む。
「えー帰んのー??」
騒がしい日向を無視して廊下に出る。
日が差し込んでいた教室と違い薄暗い。
「まるで僕の気持ちみたいだな…」
考えをかき消すように歩き出す。
学校の旧校舎。
人気のない音楽室。
僕だけの秘密の場所だ。
古くて開きの悪い扉を開けると、
「なんで…」
そこには、凛がいた。
『遅かったじゃない。待ってたのよ。』
ピアノに腰をかけて笑っている。
「おい…!ピアノの上に座るなとあれほど…!」
駆け寄ると凛が僕の頬を叩く仕草をする。
『あんたが嫌だって言ったからでしょ?』
「でもピアノは!」
凛はピアノから降りて不満げに歩くと生徒用の席に座った。
何か言いたいような顔をしている。
「…何だ」
『ほら、早く弾いて?』
なんだよ。
ピアノはもう嫌だって言ったろ…
「いやだけど。」
『何よ。三年前に死んだ元カノを引きずってるくせに。』
その話を聞くの今日何回目だよ。
「はぁ…。わかったよ。」
ピアノの前に座る。
1鍵1鍵丁寧に鳴らす。
調律そんなに狂ってないな。
流石にここまでは鳴らないか。
「何を弾けばいいの。」
凛は『うーん』と悩むと言った。
『じゃあさ!前弾いてたやつ!なんかチャラララーンみたいな!』
いや、分かんないだろそれじゃあ。
あれか?最後に弾いた曲か?
ポーン♪
「ふぅ。こんなもんか。」
案外覚えてるな。
『おぉ〜!すごー』
拍手しながら凛が言う。
『やっぱ好きじゃん。ピアノ。』
答えられない。
「やっぱり、ピアノは嫌いだ。」
『ふーん。』
僕は凛に訊きたい事があるのを思い出した。
「なぁ、凛。君に聞きたい事があるんだ。」
『何?』
「……あの日何であんなことを言ったんだ。あと、なんでいきなり現れた。」
凛は頬杖をついたまま口を開こうとした時だった。
キーンコーンカーンコーン
『さて、なんででしょう?』
そう言うと凛は煙のように消えた。
凛のいた場所に手をつく。
騒がしい蝉の声。
状況も知らずに僕らを照らし続ける太陽。
血だらけの君。
周の救急車を呼ぶ声。
愕然としている僕に君は言った。
『私のこと忘れないで。あんたは笑って生きて。』
絶対に見つける。
「凛があの日言った言葉の意味を。」
それは、突然に起きた。
『あんたまだ私のこと引きずってるの?』
僕の目の前に、あの夏死んだはずの僕の彼女‘一ノ瀬凛‘がいた。
「凛!?」
慌てて凛に手を伸ばす。
その手は虚しく空を切った。
「は…?」
僕が驚いていると凛が言った。
『悠真ねぇ。バカなんじゃないの?あれから三年よ?何をそんなに驚いてるのよ。』
凛こそバカなんじゃないかと思う。
「だってずっと君のことを待っていて…!」
凛は窓の外を眺めていて返事をしない。
よく見ると凛は三年前のままの姿だ。
「今までどこにいたんだ?」
『さぁね?あんたこそ、部活は?』
「入ってないさ。中学時代と同じでね。」
皮肉たっぷりに言い返すと
『あっそ。』
小さな返事だけが返ってきた。
「……」
どうしよう。彼女なのに気まずい。
「あはは!それな!?わかる〜!」
部活終わりの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
凛の姿を見たら…!
慌てて凛の方を見るとそこにもう彼女はいなかった。
「ねー! あ。」
楽しそうなギャルグループが僕を見て足を止める。
「あー。瀬戸?1人で何してんのー?」
ギャルグループの中でも僕に話しかけてくる日向葵だ。
「何か悪いか。…日向。」
友達に何かを伝えるとこちらへ歩いてきた。
「あたし別になんも言ってないじゃーん。」
ふざけているのか素かはわからないが、肩を組んできた日向が言う。
「瀬戸ってー部活入ってないでしょー?1人時間邪魔してごめんなー」
イライラしてきて振り払う。
「僕が放課後を好きなように過ごして何が悪い。」
「はー。冷めてんねー」
ため息をつくと先ほどまで凛のいた場所に日向が立つ。
「おぉ!!ここめっちゃ夕日キレー!」
脳のないやつなのか?
「はぁ…」
ため息をつき鞄を掴む。
「えー帰んのー??」
騒がしい日向を無視して廊下に出る。
日が差し込んでいた教室と違い薄暗い。
「まるで僕の気持ちみたいだな…」
考えをかき消すように歩き出す。
学校の旧校舎。
人気のない音楽室。
僕だけの秘密の場所だ。
古くて開きの悪い扉を開けると、
「なんで…」
そこには、凛がいた。
『遅かったじゃない。待ってたのよ。』
ピアノに腰をかけて笑っている。
「おい…!ピアノの上に座るなとあれほど…!」
駆け寄ると凛が僕の頬を叩く仕草をする。
『あんたが嫌だって言ったからでしょ?』
「でもピアノは!」
凛はピアノから降りて不満げに歩くと生徒用の席に座った。
何か言いたいような顔をしている。
「…何だ」
『ほら、早く弾いて?』
なんだよ。
ピアノはもう嫌だって言ったろ…
「いやだけど。」
『何よ。三年前に死んだ元カノを引きずってるくせに。』
その話を聞くの今日何回目だよ。
「はぁ…。わかったよ。」
ピアノの前に座る。
1鍵1鍵丁寧に鳴らす。
調律そんなに狂ってないな。
流石にここまでは鳴らないか。
「何を弾けばいいの。」
凛は『うーん』と悩むと言った。
『じゃあさ!前弾いてたやつ!なんかチャラララーンみたいな!』
いや、分かんないだろそれじゃあ。
あれか?最後に弾いた曲か?
ポーン♪
「ふぅ。こんなもんか。」
案外覚えてるな。
『おぉ〜!すごー』
拍手しながら凛が言う。
『やっぱ好きじゃん。ピアノ。』
答えられない。
「やっぱり、ピアノは嫌いだ。」
『ふーん。』
僕は凛に訊きたい事があるのを思い出した。
「なぁ、凛。君に聞きたい事があるんだ。」
『何?』
「……あの日何であんなことを言ったんだ。あと、なんでいきなり現れた。」
凛は頬杖をついたまま口を開こうとした時だった。
キーンコーンカーンコーン
『さて、なんででしょう?』
そう言うと凛は煙のように消えた。
凛のいた場所に手をつく。
騒がしい蝉の声。
状況も知らずに僕らを照らし続ける太陽。
血だらけの君。
周の救急車を呼ぶ声。
愕然としている僕に君は言った。
『私のこと忘れないで。あんたは笑って生きて。』
絶対に見つける。
「凛があの日言った言葉の意味を。」