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偽マスの消されたあとの物語。

#56

55話

ドォォォォォォォォン!!
千年の呪詛を纏い、虚無の底から這い上がってきたレンが、るとの玉座の間を爆砕した。
その肉体は千年にわたる死闘の結果、もはや人の形を辛うじて保った「殺意の塊」へと変貌し、一歩踏み出すごとに新世界の理がひび割れるほどの圧を放っている。
「……る、と……!! 貴様を殺すために……あの地獄を……千年間、一秒も休まずに……!!」
血を吐くような咆哮。レンの右腕、かつてのアレスと闇神の融合体がさらに変異した『終焉の爪』が、るとの喉笛を目がけて次元ごと引き裂きにかかる。
だが、るとは動かない。
黄金の玉座に深く腰掛けたまま、右手の指先を軽やかに踊らせていた。
「…………?」
レンの爪が、るとの鼻先数センチで止まる。正確には、るとの指先で超高速回転する一本のペンが発生させた、『因果を逸らす真空の渦』に阻まれたのだ。
るとは、音速を超え、今や光の輪と化したペンを優雅に静止させると、心底退屈そうに欠伸を漏らした。
「ああ、お帰りレン。千年もかかったのか? 意外と遅かったな」
「貴様……何を……」
るとは、手元のペンをひょいと空中に放り投げ、再び指先で回しながら、慈しむような、そして最高に人を馬鹿にした笑みを浮かべた。
「お前がさ、あっちの暗い場所で、血反吐を吐きながら化け物相手に死ぬ気で頑張っていた時間あるだろ? あの千年間さ」
るとは一度ペンを止め、レンの真っ赤に充血した瞳を覗き込む。
「俺、ずっとここでペン回しの特訓してたんだよね」
「…………は?」
「いや、マジで。見てくれよ、この滑らかな指捌き。千年もやり続けると、ペン一本で銀河の軌道を書き換えられるようになるんだぜ? お前が必死に腕を振ってた間、俺は指を回してた。……滑稽だと思わないか?」
静寂。
レンの思考が、あまりの屈辱と虚脱感に一瞬停止する。
自分が千年の地獄を耐え抜き、魂を削って磨き上げた「殺意」が、目の前の男にとっては「ペン回しの練習時間」と同価値でしかなかったという残酷な事実。
「……あ、ああ……。ああああああああああああああッ!!!」
レンの精神が、怒りを超えた絶望で再崩壊する。
るとはそんな「最高に壊れた」レンの反応を特等席で見つめながら、再びペンを回し始めた。
「さあ、始めようか。お前の千年の成果と、俺の千年のペン回し……どっちがより『本物』か、試してやろう」

作者メッセージ

ペン回しで煽るというパワーワード

2026/02/15 14:08

ゆっくりると
ID:≫ 15ZZhWW60Fvc2
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