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偽マスの消されたあとの物語。

#53

52話

神界の静寂の中、返り血を浴びて立ち尽くすレン。るとはその絶望の象徴である少年の顎を、白手袋をはめた指先で冷酷にクイと持ち上げた。
「……さて、唯一の生存者(生き残り)。ひとつ聞かせろ」
るとの瞳には、慈悲など微塵もない。あるのは、自分が作り上げた「最高傑作」の反応を愉しむ、観測者としての飽くなき好奇心だけだ。
「俺のことをどう思う? 師であり、友であり、救世主を演じ……そしてお前の仲間を塵に変えた、この創造主(マスター)を」
レンの瞳に宿っていた光は、すでに泥のように濁っている。しかし、るとの問いかけに、その奥底でドロリとした「負の感情」が爆ぜるのが見えた。
「……どう思う、だと?」
レンの拳が、みしみしと音を立てて握りしめられる。その身体からは、るとが与えた闇神とアレスの残滓が、黒い蒸気となって溢れ出した。
「あんたは……神なんかじゃない。ただの、最低で、最高に悪趣味な『偽物』だ」
レンは血の混じった唾を吐き捨て、るとの目を真っ向から射抜いた。
「レイなんて奴はどこにもいなかった。俺が信じた友情も、あいつらが生きようとした足掻きも、全部あんたの掌の上での『お遊び』だったんだろ? ……あんたは、世界を喰らって、形を変えて、飽きたら壊すだけの……空っぽのバケモノだ」
憎悪。殺意。そして、どうしようもないほどの絶望。
それらが混ざり合ったレンの言葉を聞き、るとは一瞬の静寂の後、腹の底から突き上げるような狂笑を上げた。
「はははは! いいぞ、レン! 最高の答えだ!」
るとはレンの肩を強く叩き、その耳元で勝ち誇ったように囁く。
「そうだ、俺は空っぽだ。だからこそ、お前のような『本物の感情』を詰め込んでおかないと、退屈で死んでしまうんでね」
るとは、ラウナに目配せをし、レンをさらに深い神域の檻へと案内させるよう命じた。
「嫌い抜くがいい。呪い続けるがいい。……その憎しみが消えない限り、お前は俺を殺すために強くなれる。俺の『本物』としての地位は、お前のその殺意によってのみ証明されるんだからな」
るとは、震えるレンを背に、再び黄金の玉座へと戻り、ゆったりと腰を下ろした。

2026/02/15 14:06

ゆっくりると
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