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偽マスの消されたあとの物語。

#42

41話

「……名前? 俺の名前か」
地べたに座り込み、土埃にまみれた姿でレイ(ると)は顔を上げた。
自分を見下ろし、靴の先で小突こうとしている高慢な上位ランカーの少年――名はゼクス。王道的な『炎の剣』の能力を持ち、るとが設定した初期ステータスでも上位50位以内に入る、いわば「エリート予備軍」だ。
レイは怯えたように肩を震わせ、わざとらしく視線を泳がせた。
「……レイ。……ただの、レイだ」
声は小さく、頼りない。周囲からは「名乗るのにもビビってるよ」と失笑が漏れる。
「レイ? 苗字もなしか。やはり、マスターが気まぐれにどこの馬の骨とも知れぬゴミを拾ってきたわけだ」
ゼクスは鼻で笑い、掌に真っ赤な炎を灯した。その熱気が、レイの頬を撫でる。
「いいか、レイ。この学園は力がすべてだ。無能な分際でこの神聖な訓練場に居座るな。……ほら、その濁った目で見ろよ。これが、選ばれた者にしか宿らない『本物の力』だ」
ゼクスが威圧的に炎を突きつける。
だが、レイの瞳――『因果観測(トレース・アイ)』の深淵では、ゼクスの魔力回路の欠陥、炎の揺らぎの癖、そしてその傲慢さの裏にある脆弱な精神構造までが、すべて剥き出しのデータとして「記録」されていた。
(「本物の力」、か。……くく、滑稽だな。お前のその炎の種火を創ったのが、目の前の『ゴミ』だとも知らずに)
レイは震えながらも、心の底でこの最高に「安っぽい」優越感に浸る少年を観察し、歓喜していた。神の座では味わえない、この生々しい「悪意」の感触。
「す、すみません……。でも、ここ……僕の指定席……だって……」
「あぁ!? 歯向かうのかよ、最下位の分際で!」
ゼクスの怒りに火がつく。
彼は炎の拳を振り上げた。周囲の生徒たちは面白がって円陣を組み、ミラの教官も(るとの指示通り)あえて無視を決め込んでいる。

2026/02/15 13:58

ゆっくりると
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