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偽マスの消されたあとの物語。

#35

34話

新世界の玉座に深く腰を下ろしたるとは、自らの内に満ちる万能感に、かつてない高揚を覚えていた。
「……ふっ、ははは! 見ろ、ラウナ。もう誰も俺を『偽物』とは呼ばせない。俺こそがこの世界の理、唯一無二の本物のマスターだ!」
その声は新しく構築された宇宙の隅々にまで響き渡り、星々の運行さえも彼の歓喜に共鳴して震える。かつてハッタリと虚飾で塗り固めていた「マスター」の肩書きが、今や全次元を統べる絶対的な真実へと書き換えられたのだ。
だが、歓喜の絶頂にあっても、るとの瞳の奥に宿る冷徹な光が消えることはなかった。
「……だが、喜びすぎるのも毒だな」
るとは不敵な笑みを浮かべたまま、すっと視線を鋭くする。
「創造神(あいつ)を喰らい、座を奪ったのは俺だ。ならば、いつか俺の首を狙って、同じように這い上がってくる『偽物』が現れないとも限らない。……この座は、油断した瞬間に瓦礫に変わる」
るとは、隣に控える不死の半身、ラウナに冷徹な視線を向けた。
「ラウナ、全次元に『監視の目』を放て。俺の創る新世界の理を乱すノイズ、俺の座を夢見る不届き者、そして……俺自身の『影』すらも記録(レコード)し続けろ。本物のマスターには、休息など必要ないのだからな」
「御意、我が主。……たとえ運命の糸一本であっても、あなたの許しなく動くことはございません」
るとは、手に入れたばかりの『新世界の設計図』を指先で弄びながら、次なる防衛策、あるいはさらなる実験のアイディアを練り始める。
「本物になったからこそ、次は『完璧』を目指すとしようか。……さあ、ラウナ。退屈な平和が訪れる前に、この世界の『真の終末』へのカウンタープログラムを仕込んでおくぞ」
喜びを力に変えつつ、最悪の事態すら「再現」して封じ込める。

2026/02/15 13:54

ゆっくりると
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