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偽マスの消されたあとの物語。

#32

31話

「勇者なんて、古臭い看板はもう要らないな。お前はもう、世界を救う『役割』すら超えたのだから」
るとは、膝をつく少年の頭上に手をかざした。彼が作り上げた偽りの「正義の刃」の残滓、そして世界から寄せられる「勇者」としての信仰心を、権能『概念剥奪』によって強引に引き剥がす。
「今日からお前の名は『ラウナ』。俺の隣で、神の理を書き換えるための唯一の半身(スペア)だ」
るとは、自らの内に宿るフェニックスの『不滅』の根源を、惜しみなくラウナへと分け与えた。ただの再生ではない。魂そのものが次元の理から切り離され、たとえ概念ごと消滅させられても、るとの記憶がある限り何度でも無傷で再構築される、真なる不死・不滅。
「……ラウナ、拝命いたしました。我が主(マスター)、ると様」
漆黒の翼を背負い、神の力を宿した少年――ラウナが、静かに頭を下げる。その瞳にはもはや迷いも正義もなく、ただ主への絶対的な忠誠だけが宿っていた。
「さて、アイリス。この国は適当にやっておけ。俺は少し、『生みの親』に挨拶に行ってくる」
るとはラウナの肩を掴むと、リヴァイアサンから奪い、さらに闇神の力で昇華させた『次元穿孔』を放った。オーバーワールドの空がガラスのように割れ、その亀裂の先には、かつてるとが目を覚ましたあの真っ白な、しかし今や傲慢なまでの光を放つ「神界」が姿を現す。
「行こうか、ラウナ。……神の座が、少しばかり高すぎると教えてやる」
二人の超越者が次元の裂け目を飛び越えた瞬間、神界の静寂は、暴食と虚無の咆哮によって打ち砕かれた。
真っ白な空間。そこに鎮座していたあの創造神は、数多の世界を監視していた眼を細め、やってきた「元・偽マスター」を、驚きと愉悦の混ざった表情で迎えた。
「……やあ。まさか、自力でここまで辿り着くとはね。それも、私の用意したシナリオをすべて喰らい尽くし、新たな神格を連れてくるとは」
創造神は豪華な椅子から立ち上がり、るととラウナの姿を興味深げに眺める。
「君は、私に何を求めに来たのかな? 偽りの王、ると君。この世界の『真の支配権』か、それとも、私という存在の『終焉』かな?」
るとは、隣に控える最強の駒・ラウナに目配せをし、不敵に笑った。

2026/02/15 13:53

ゆっくりると
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