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偽マスの消されたあとの物語。

#27

26話

「……そうだ、その絶望に染まった顔が見たかった」
るとは崖の上から、冷酷な眼差しで眼下の惨劇を『記録(レコード)』し続けていた。
改造されたワイバーンの蒼炎が、勇者パーティの退路を断ち、空間ごと焼き尽くす。戦士のカイルは大剣を砕かれ、魔法使いのリナは魔力枯渇で倒れ、聖職者のセシルもまた、仲間の治癒に全力を出し切り、膝を突いていた。
そして、勇者の少年——。
かつて白銀に輝いていた『正義の刃』は、主の心の揺らぎに呼応し、今や錆びついた鉄屑のような鈍い色に変色していた。
「ガ、ハッ……!?」
ワイバーンの鋭利な爪が、少年の脇腹を深く抉る。騎士副団長級の身体能力を持つ個体の攻撃だ。防具ごと肉を裂き、内臓にまで達する致命的な一撃。
少年は血の海に沈み、荒い呼吸を繰り返す。
視界は赤く染まり、耳元では仲間たちのうめき声と、死を告げる龍の咆哮だけが響く。
「(……いいぞ。正義、信念、希望。そんな薄っぺらなメッキが剥がれ落ちた、その先にある『本質』を見せてみろ)」
るとは、指先でフェニックスの『不滅』の余波を弄んでいた。
そのまま死なせるつもりはない。だが、一度「死の淵」を完全に覗かせる。魂が摩耗し、自己という殻が砕け散る瞬間にこそ、最高の「情報の萌芽」が生まれるからだ。
ワイバーンがトドメを刺すべく、その巨大な顎(あぎと)を開く。
その牙には、リヴァイアサンから奪った『空間切断』の波動が纏わされている。噛み砕かれれば、存在そのものが消滅する。
勇者の指先が、ぴくりと動いた。

2026/02/15 13:50

ゆっくりると
ID:≫ 15ZZhWW60Fvc2
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