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偽マスの消されたあとの物語。

#7

6話

次元の深淵へと続く薄暗い断崖。その踊り場で、るとの行く手を阻むように巨大な影が立ち塞がった。
体長五メートル。腐った泥のような皮膚と、節くれだった大樹のような四肢を持つ異形の巨人——デザスター・トロールだ。通常のトロールとは異なり、この次元の毒を吸い続けたその肉体は、岩石をも容易に噛み砕く禍々しい変異を遂げている。
「グルゥ……アァッ!」
地響きと共にトロールが巨大な拳を振り下ろす。騎士副団長級の反射神経を持つるとは、紙一重の差で真横へと跳んだ。直後、彼がいた地面はクレーターのように爆ぜ、土砂がタクティカルウェアを叩く。
「パワーは合格点。……だが、動きが直線的すぎるな」
るとは着地と同時に、脳内の記憶を検索する。呼び出したのは、かつて画面越しに憧れた『超速の剣客』の身のこなし。
『事象再現(リプレイ)』。
身体能力の限界を強引に引き出す魔力の加速。るとの姿が残像となり、トロールの側面に回り込む。
手元には、先ほど倒した魔獣の牙を媒介に再現した、一振りの漆黒の小刀。
「まずは、その再生能力を『記録』させてもらう」
閃光。
トロールの太い脚を、魔力を乗せた一撃が断ち切る。凄まじい絶叫が響くが、驚くべきはその直後だった。切り裂かれた傷口から、ドロドロとした肉芽が瞬時に盛り上がり、一秒にも満たぬうちに傷跡さえ消え失せたのだ。
「期待通りだ。超高速再生……これは潰しが利く」
るとの脳内のライブラリに、細胞単位の拍動と魔力循環のパターンが刻み込まれる。
トロールは怒りに狂い、周囲の空間ごと圧殺せんばかりの薙ぎ払いを放った。回避不能の広範囲攻撃。だが、るとは避けない。
「次は、こっちの番だ。——『爆ぜろ』」
彼は、先ほど別の魔獣から記録した「熱線」の魔力構成を指先に再現する。さらに、アニメで見た『極大魔法のポーズ』を完璧に模倣し、ハッタリ(演出)としての威圧感を上乗せした。
指先から放たれた圧縮魔力の弾丸が、トロールの胸部で爆発する。
再生が追いつかないほどの熱量。肉が焼け、骨が砕ける音。巨体は断崖の壁面に叩きつけられ、その動きを止めた。
るとは悠然と歩み寄り、消えゆくトロールの残滓から、その「不屈の生命力」の真髄を完全に自分のものとした。
「再生能力、確保。……さて、この調子でどんどん行こうか」
一国の騎士団であれば壊滅を覚悟するような化け物を「教材」程度に扱い、るとはさらに深い闇へと足を進める。
【現在の習得スキル】
超高速再生(トロール由来)
次元の熱線(魔獣由来)
縮地・極(アニメ剣客の再現)

2026/02/15 13:36

ゆっくりると
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