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君代

#3

第一章「悪夢で瑞夢」第二話《儚い》

次の日の放課後、僕は対談室に行った。そこには生徒会長が先に座っていた。
「ごめんね、急に呼び出して」
「いえ、その」
「すみませ―」
そう謝ろうとしたら、会長は僕の言葉を遮った。
「別にいいよ」
会長は、優しく微笑んでいた。これから説教をするような顔じゃなかった。
「まぁ、まずそこに座ってよ」
椅子へと促される。言われたままに座ると、会長も僕の目の前の席に座った。
「単刀直入に聞くね」
机の上に手を置き、真剣な表情で話す。
「君、いじめられてる?」
「っ……」
「え?」
そんな言葉、言われるだなんて思っていなかった。また、救ってくれないのかと、言い出せないのかと思った。
いじめられてます。大声で言いたい。でも、また、また言えない。
「僕、は」
「……」
「無理に話さなくてもいいよ、言いにくいだろうし、」
「君が話したくなるまで、何日でも待つよ」
「どう、して」
「どうしてって、」
「この学校の、生徒会長だからだよ」!!!
会長は明るい太陽のように微笑んだ。今まで言い出せなかった黒い物体を全部溶かしてくれた。
「僕は、いじめ、られてます」
その後、ゆっくりと話した。これからどうしてほしいか。親に相談するか、明確ないじめが始まったのはいつか、主な人間は誰か、等僕のペースに合わせてゆったりと話を聞いてくれた。
「そっか、よく頑張ったね、ごめんね、もっと早くに気づけなくって」
「いえ、ありがとうございます」
僕の目からは、今まで吐き出せなかった黒いものが、涙として流れ出ていた。
「これからについては話を聞いて、親には相談しない、でいい?」
「はい、親に言うのは、少し、気がひけるというか」
「わかった、このことについては先生には言わないから、うまく合わせてね」
「ありがとう、ございます」
そう、お辞儀をした。その後、少しだけ他のことについても僕は聞いた。
「なんでいじめられてるって思ったんですか?」
「うーん、まあ水曜日は上履き履いてたのに木曜日スリッパなのっておかしいし、あと、一日のうちに色んな人に聞いたらそれらしいのが出てきたからさ」
「あの、話し合い、あるんですよね、僕なんかにそんな時間かけていいんですか?」
「いいのいいの! 生徒会長たるもの、学校の生徒の笑顔を保全しなきゃだからね」
そう笑って会長はピースした。本当に、底なしに明るい人だ。
その日の帰り道で見た空は、とても明るくて、きれいで、輝いていた。
次の日も、いじめは無くならなかったし、先生も、見て見ぬふりだったけれど、少しだけ、気持ちは楽だった。
そんな感じで、一週間に一回くらい会長と話す機会を設けてもらって、学校がそれほど苦しくはなくなってきた。
「安奈さん」
「勇くん、どう、調子は?」
「だいぶ、楽になりました、人に話せるって、こんな楽なんですね」
「そっか、それならよかった」
安奈さんは、また微笑んだ。なぜ、この人の笑顔はこんなに輝いてるんだろう。なぜ、この人の言葉はこんなにも、優しいのだろう。
「でも、いいんですか、ちゃんと寝てるんですか?」
「うーん、まぁ、それなりには」
とはぐらかそうとするので、僕はすぐに切り込んだ。
「何時間ですか?」
「いやー、えっとーその、」
「五時間から徹夜まで」
「話を聞いてくれるのはありがたいですけど、安奈さんも眠ってください」
「ありがとう、勇くん」
そこからも、最近のいじめについてや、軽い雑談をした。会長のことを、安奈さんと呼べるくらいには親しくなった。安奈さんも、僕のことを勇くんと呼んでくれるようになった。
僕は、こんなに幸せになっていいのかな
「こんなに、幸せに……」
安奈さんにも、迷惑をかけてる。僕が、相談できなかったせいでこうなったのに。
自然と肩が落ちた。だめだ。また、自責思考になってしまう。それは、もっと安奈さんに迷惑をかける事になる。
深呼吸をして、心を落ち着かせる。
「マジあいつきも」
「それなー」
いじめの言葉も、前ほど苦しくない。大丈夫、大丈夫。
段々と、幸せを取り戻していった。安奈さんに救われて、ちょうど五ヶ月がたった時、安奈さんは休んだ。
「休み、のライン」
家族の都合で当分来れないそうだ。そうか……残念だな。
「ねぇ、止まんないでくんない? 邪魔」
「てか、最近調子乗ってんじゃねぇの?」
「……すみません」
そう言って逃れようとするが、しつこく迫ってくる。
「マジ調子のんなよお前」
「先生に言うよ?」
その後も、ずっとなにか言っていたけど、よく聞こえなかった。
「ふんっ」
満足したのか、何も言わない僕に飽きたのか、女子たちはどこかへ行ってしまった。
しかし、それから更に過激化した。僕が掃除当番の日、わざとバケツを倒したり、ゴミを落としたりするのだ。
このことは、安奈さんには話せない。
「……苦しい」
掃除当番
で一人だけの教室にその言葉は響いた。そして、ラインの通知音も響いた。
「明日の休み、ここに来れる?」
そこに載せられていた住所は、病院だった。
「安奈、さん?」

2025/12/22 18:03

創子 神
ID:≫ 7biyqFmPYXcF2
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