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電子の約束

#1

消えない思い出

【前書き】
----20XX年----
AIが進化し、多くの人型家庭ロボットや子育てアンドロイドが開発された。進化したといっても、感情があるわけではない。これは1人の少年とアンドロイドのお話だ。

【人物紹介】
ルカ…人間そっくりのアンドロイド。リクの両親が開発した。
リク…高校2年生の男子。両親が天才科学者。

【第一話】
「ルカ、宿題手伝って」
薄暗い部屋に声が響く。僕のために紅茶をいれていた銀髪の美女…いや、アンドロイドが髪をなびかせながら無表情に振り返った。ルカは外見は人間と見分けがつかないほどに似ているが、とてつもない美貌をもっている。雪のように白い肌、紅い唇、深海のように青い瞳。ルカは僕の子育てアンドロイドで生まれたときからずっと一緒だ。
「承知しました。どのような宿題でしょうか?」
ルカの声は決して機械音などはなく、澄み切っているが、どこか感情のない、人間っぽさがない声をしている。
僕の両親は天才科学者でずっと部屋に引きこもって研究をしている。ルカをつくったのも両親だ。僕は内気の性格をしているため、友達が全然いない。から、幼い頃からずっと一緒にいたルカとは主従関係でありながらも、信頼できる、親友なのだ。どんな時でも僕の味方をしてくれるかけがえのない存在だった。
いつもルカの言葉には感情などはこもってないが、不思議と僕の心に響いた。いつしか、そんなルカに、僕は恋をしてしまっていた。

僕とルカの関係は、周りから見たら少し奇妙に写っていたようだった。
「お前ってさ、いつもあのルカ?ってやつと一緒にいるけど、あいつってマジで感情ないの?」
「アンドロイドとしか喋らなくて寂しくないの?」
そんな言葉を聞くたびに僕の心は少しだけ、しめつけられるような感覚がした。ルカはただの機械なんかじゃない。彼らはルカの特別さを知らない。僕に取ってかけがえのない唯一無二の存在なのだ。

時はながれ、高校最後の夏が近づいた。ある日、僕の幼馴染である、アンが近づいてきた。
「今度の夏祭り、いっしょにいこーよ。」
アンはクラスの人気者で、僕とは住む世界が違うような人だ。いくら幼馴染といっても、人気者のアンに突然誘われるとは予想外だったので、驚いた。
「ミカたちと行くんだけど、たまにはルカじゃなくて私達と遊ぼ」
思わず、ルカの方を見た。ルカはいつもとのように無表情で、何も思っていないようだった。
「ごめん、その日は予定が…」
僕は嘘をついた。アンの言葉を聞いた時、僕の胸がキュウと締め付けられた気がした。なんだか、ルカが邪魔者扱いされているようでいやだった。アンは残念そうな顔をしたが、それ以上何も言わなかった。

「ルカはさ、ぼく以外の友達が欲しいっておもったりする?」
その晩、僕はルカに聞いてみた。ルカは僕の目を少し見つめてから答えた。
「私のプログラムの最優先事項はリク様のサポートです。リク様は私にとって最も大切なことに変わりはありません。」
その言葉をきいて、僕は少し安心したような、寂しいような複雑な気持ちになった。彼女は僕を「大切」と思ってくれている。でも、そこには「友情」や「愛情」は存在しないのだろうか。

夏祭りの日、僕はルカと家の庭で手持ち花火をした。ちいさな花火だが、どてもキレイだった。
「花火、キレイだね」
街の方から、ガヤガヤと活気のある音がきこえてくる。
「はい、とても美しいです。」
「来年も絶対一緒に花火しようね。」
光のなかったルカの瞳に、花火の光が差し込んでいて、それがとてもキレイに思えた。

夏祭りが終わり、七日ほどすぎた頃。僕とルカは両親に呼び出されていた。
「リク、ルカの最終調整をすることが可能になってな、これからもっと人間らしく活動することが可能になった。」
「え、本当?すごいじゃん!」
僕は嬉しかった。もしかしたら、ルカにも感情というものがうまれるかもしれない。
「ただ…」
父が急に顔を曇らせる。
「…あのね、もしかしたら、ルカの基本プログラムを調整する時にもしかしたら今までのデータが全部初期化されるかもしれないの。」
父の変わりはに母が口を開いた。
「それって…」
「えぇ、もしかしたら、あなたとの記憶も全部…」
頭が真っ白になった。一番嫌な回答が返ってきてしまった。嫌だ、信じたくない。
「そんなの絶対に嫌だ」
今までのルカとの思い出が消えるなんて考えられない。あの花火も全部…
「…リク様」
ルカゆっくりと僕に手を伸ばした。
「リク様、例え私の記憶が上書きされても、リク様が与えてくださった感情の記憶は、私のコアに残ります。そして、また私はリク様と共に新しい記憶を刻んでいくでしょう。」
ルカが、決心したように、僕の目をまっすぐ見て言った。僕は涙がとまらなかった。
「……わかったよ…」
そうだ、ルカがぼくのことを忘れてしまっても、また思い出をつくればいいんだ。記憶がなくなったくらいで、本らの絆が簡単になくなったりしない。僕はもうそう信じるしかなかった。

あれから二週間ほど過ぎた。
まだルカは両親の元で調整を受けている。ルカがいないと、暇でひまでしかたがない。
「リク、おわったよ。」
僕は走って、両親とルカの元へ来た。
「ルカ、覚えてるか?!僕のことわかる?」
僕はルカの顔をのぞきながら、勢いよくきいた。
「? 私は今日からリク様のサポートをさせていただく、ルカと申します。もちろんリク様のことは存じ上げていますが、覚えている、とは…」
その言葉を聞いて僕は絶望した。
「…でも、なぜだか、リク様の顔をみると、私のコアの奥ふかくで、何かがあたたかくなる感覚があります。」
僕の頬に温かいものが流れたのがわかった。嬉しいわけでらないが、悲しいわけでもない。初めての感情がどっと僕に押し寄せてきた。

2026/01/31 16:46

優琉
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