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恋愛短編集。【390閲覧感謝‼︎】

#28

映画館ごっこ。(1)

今日の外はあいにくの雨。
「暇だねぇ」なんて言いながら、愛はリビングの真ん中でせっせと「城」を築いていた。

寝室から持ってきたモコモコの羽毛布団に、お気に入りの分厚いブランケット、さらには大きなクッションまで。自分の周りをぐるりと囲むように配置して、その中心にすっぽりと収まっている。

「……何してんの、お前」
佑が呆れ半分、愛おしさ半分で話しかけると、布団の山からひょこっと顔を出した愛が満足そうに笑った。

「見てよ佑、これ。すっごい落ち着く。こうやって何かに包まれてるの、大好きなんだよね」

ミノムシのように布団にくるまって、幸せそうに目を細める愛。その姿は、学校で見せる「蓬城先生」の威厳など微塵もなく、ただただ可愛い。

(……俺がいざとなれば、いくらでも包んであげるのになぁ)

佑は心の中で独りごちた。布団なんかより、俺の腕の中の方がずっと暖かい自信があるのに、自力で防壁を作っている妻が少しだけもどかしい。

「よし、じゃあ準備できたし『映画館ごっこ』始めるぞ。愛、そっちの城は解体」
「えー!せっかく作ったのに!」

ブーブー文句を言う合いの手を引き、佑はリビングの大きなソファへ誘った。

「ほら、座れ。映画館の特等席だぞ」

佑はソファの後方にどかっと座り、その足の間に愛を座らせた。愛の背中が、佑の胸板にすっぽりと収まる。そして、山積みにされていた布団の中から一番大きな一枚だけを選び、二人の肩からバサリとかけた。

「……あ、これ、前だけかければいいんだね」
愛がふふっと笑う。

「そうだよ。後は俺がいるだろ。お前が好きな『包まれる感じ』、俺がフルコースでやってやるよ」

佑は後ろから愛の細い肩を抱き寄せ、布団の中で彼女のお腹の辺りに腕を回して、ぎゅっと閉じ込めた。

「……あったかい。佑、布団よりずっといいかも」
「だろ?浮気すんなよ、布団なんかに」

佑は愛の項に鼻先を寄せ、彼女の髪から香るシャンプーの匂いを吸い込んだ。
部屋の明かりを落とし、プロジェクターが壁に映画を映し出す。

画面の中で物語が始まっても、佑の意識は腕の中にいる愛の体温に集中していた。時折、愛がリラックスして佑の胸に体重を預けてくるたびに、佑の独占欲は静かに満たされていく。

「愛、暇じゃなくなった?」
「うん。……最高に贅沢な時間」

雨音をBGMに、布団一枚と夫の体温に包まれて。
蓬城家のリビングは、世界で一番甘くて暖かい映画館になっていた。



作者メッセージ

久々ですね!!
400閲覧目指します!!
最新小説あまり伸びなくて悲しみ。

2026/06/14 23:44

mayu.418
ID:≫ 85OyLBeYTHE8E
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