「……暑い。溶けそう」
夏休みの中盤。部活動の指導で登校した私は、冷房の効きがいい甘い職員室で、一人愚痴をこぼした。
生徒たちはグラウンドで声を張り上げ、他の先生たちも遠征や出張で不在。
広い部屋に、タイピングの音だけが響く。
「はい、差し入れ」
不意に、冷たいペットボトルが私の頬に押し当てられた。
驚いて振り向くと、そこにはTシャツにゆったりしたズボンという、ラフな格好の彼。
教員の「蓬城先生」ではなく、私の「夫」の顔をした彼がいた。
「あれ、午後から出張じゃなかったの?」
「早く終わらせた。一人で残業してるだろうなって思って」
彼は自分のデスクを通り過ぎ、私の椅子のすぐ後ろに立った。
窓の外からは、遠くで吹奏楽部が練習をする楽器の音が聞こえてくる。
「……誰か来ちゃうよ」
「鍵、閉めてきた。数分なら大丈夫だろ」
大人の余裕を崩さないまま、彼は私の肩に手を置く。
開いた窓から吹き込む熱い風が、二人の距離をさらに縮める。
彼は私の耳元に唇を寄せ、低い声で囁いた。
「今夜、海までドライブしない?助手席の予約、空いてそう?」
学校では絶対見せない、少しだけ茶目っ気のある誘い方。
私はわざと困った顔をして、「……残業が終われば、検討します」と答える。
「じゃあ、手伝ってあげる。その代わり、家に帰ったら甘えさせてよ」
彼は私の手からペンを取り上げ、代わりに冷えた麦茶を握らせた。
氷がカラン、と音を立てる。
「……愛、顔赤いぞ。暑さのせいか?それとも、俺のせい?」
不敵に笑う彼の瞳に抗えない。
夏の陽光に照らされた無人の職員室で、私たちは短いキスを交わした。
外の蝉の声が、私たちの秘密をかき消すように、一層激しく鳴り響いた。
夏休みの中盤。部活動の指導で登校した私は、冷房の効きがいい甘い職員室で、一人愚痴をこぼした。
生徒たちはグラウンドで声を張り上げ、他の先生たちも遠征や出張で不在。
広い部屋に、タイピングの音だけが響く。
「はい、差し入れ」
不意に、冷たいペットボトルが私の頬に押し当てられた。
驚いて振り向くと、そこにはTシャツにゆったりしたズボンという、ラフな格好の彼。
教員の「蓬城先生」ではなく、私の「夫」の顔をした彼がいた。
「あれ、午後から出張じゃなかったの?」
「早く終わらせた。一人で残業してるだろうなって思って」
彼は自分のデスクを通り過ぎ、私の椅子のすぐ後ろに立った。
窓の外からは、遠くで吹奏楽部が練習をする楽器の音が聞こえてくる。
「……誰か来ちゃうよ」
「鍵、閉めてきた。数分なら大丈夫だろ」
大人の余裕を崩さないまま、彼は私の肩に手を置く。
開いた窓から吹き込む熱い風が、二人の距離をさらに縮める。
彼は私の耳元に唇を寄せ、低い声で囁いた。
「今夜、海までドライブしない?助手席の予約、空いてそう?」
学校では絶対見せない、少しだけ茶目っ気のある誘い方。
私はわざと困った顔をして、「……残業が終われば、検討します」と答える。
「じゃあ、手伝ってあげる。その代わり、家に帰ったら甘えさせてよ」
彼は私の手からペンを取り上げ、代わりに冷えた麦茶を握らせた。
氷がカラン、と音を立てる。
「……愛、顔赤いぞ。暑さのせいか?それとも、俺のせい?」
不敵に笑う彼の瞳に抗えない。
夏の陽光に照らされた無人の職員室で、私たちは短いキスを交わした。
外の蝉の声が、私たちの秘密をかき消すように、一層激しく鳴り響いた。
- 1.恋人。(1)
- 2.恋人。(2)
- 3.倦怠期。(1)
- 4.倦怠期。(2)
- 5.嫉妬。(1)
- 6.【病弱男子と幼馴染】
- 7.「好き」と言うこと。
- 8.嫉妬。(2)
- 9.嫉妬。(3)
- 10.彼女の推し。
- 11.限界です。
- 12.離婚届、自分は変われる…?
- 13.【星の砕ける音、君の旅立ち プロフィール】まちゃJiroさん
- 14.焦り。(1)
- 15.焦り。(2)
- 16.体調不良。(プロフィール)
- 17.体調不良。(1)
- 18.体調不良。(2)
- 19.最近嬉しかったこと。
- 20.不安。
- 21.距離感バグな夫。
- 22.害虫駆除、退治完了。
- 23.雨音。
- 24.ミルクティー。
- 25.職員室。
- 26.旦那様の職権乱用。
- 27.蝉の声。
- 28.映画館ごっこ。(1)