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恋愛短編集。【210閲覧感謝‼︎】

#25

職員室。

職員室の空気は、いつも少しだけ尖っている。
試験前日の放課後。山積みのプリントと格闘する私に、隣の席の「[漢字]蓬城[/漢字][ふりがな]ほうじょう[/ふりがな]先生」が声をかけてきた。

「[漢字]宮脇[/漢字][ふりがな]みやわき[/ふりがな]先生、その資料の確認、俺がやりましょうか?」

数学科の彼は、学年主任も信頼を寄せるベテランだ。眼鏡の奥の瞳は常に冷静である。
私は「ありがとうございます、助かります」と、事務的な笑顔で応える。

誰も知らない。
このあと、学校を出て一歩路地裏に入れば、彼が私を引き寄せて「今日、夕飯何にする?」と聞いてくることを。

帰宅して、お互いに「教師」の仮面を脱ぎ捨てる。
彼はネクタイを緩め、私は髪を解いて、お気に入りの少し揺れるピアスを着ける。
学校では絶対に見せない、私だけの姿。

「……今日、体育館の裏で3年の男子に告白されてたろ」

キッチンでワインを注ぐ彼の声が、少しだけ低い。
「あ、見てたの?断ったよ。生徒だし」
「知ってる。当たり前だ。でも、あいつを見るお前の目が優しすぎた」

彼はグラスを置き、私の背後から腕を回した。
大人の余裕たっぷりに振る舞っている彼だけど、時折見せるこの独占欲が、たまらなく愛おしい。

「嫉妬?先生、落ち着いてくださいよ」
「……家では『先生』って呼ぶな。……[漢字]愛[/漢字][ふりがな]あい[/ふりがな]」

耳元で呼ばれる名前に、体温が上がる。
昼間の「蓬城先生」とは違う、熱を含んだ大きな手が私の頬を包み込む。

「明日は1時間目から授業だね」
「ああ。だから、夜更かしはほどほどに……なんて、言わせたくないよ」

明日の朝、また「他人」の顔をして、同じ校門をくぐるのだろう。



作者メッセージ

190閲覧ありがとうございます。
コメントしてくださると嬉しいです。

2026/04/12 07:00

mayu.418
ID:≫ 85OyLBeYTHE8E
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短編集恋愛結婚夫婦カップルリクエスト◎

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