「あ、また」
午後の講堂、斜め前の席。
私の視線の先には、いつも彼がいる。
サッカー部のエースでもなければ、学年一の秀才でもない。
でも、彼が静かにノートを撮る横顔や、考え事をしてペンをくるりと回す指先が、どうしようもなく好きだった。
彼はモテる。
本人は無自覚みたいだけど、女子の視線が彼に集まっているのを、私は知っている。
だから、私みたいな地味なタイプが彼に話しかけるなんて、一生に一度の奇跡が起きない限り無理だと思っていた。
その「奇跡」は、放課後の図書室で起きた。
「……あ。それ、俺が探してた本」
背後から声をかけられて、心臓が跳ねた。
振り返ると、そこには本物の彼。
私が手に取っていたのは、少しマニアックなミステリー小説だった。
「ご、ごめん…!すぐ返すね」
「いや、いいんだ。……君、いつも俺のこと見てるよね」
心臓が止まるかと思った。
バレてた。しかも、あんなにストレートに。
顔が熱くて、今すぐ消えてしまいたい。
「あ、あの、それは……邪魔だったよね、ごめんなさい……!」
謝って逃げ出そうとした私の手首を、彼が軽く掴んだ。
見上げると、彼は少しだけ困ったように、でも優しく笑っていた。
「逆だよ」
「え……?」
「僕も、君のこと見てたから。目が合うのをずっと待ってたんだけど……君、すぐ逸らしちゃうからさ」
彼の手から、ほんのりミルクティーの香りがした。
窓から差し込む夕日が、彼の耳たぶを赤く染めている。
「……これ、読み終わったら貸して。そしたら、感想を話す口実ができるでしょ?」
私の視線は、もう逃げ場を失っていた。
でも、今度は自分から、彼の目を見つめ返してみる。
「……うん。絶対、貸すね」
この小説の甘い一ページが、今、捲られた音がした。
午後の講堂、斜め前の席。
私の視線の先には、いつも彼がいる。
サッカー部のエースでもなければ、学年一の秀才でもない。
でも、彼が静かにノートを撮る横顔や、考え事をしてペンをくるりと回す指先が、どうしようもなく好きだった。
彼はモテる。
本人は無自覚みたいだけど、女子の視線が彼に集まっているのを、私は知っている。
だから、私みたいな地味なタイプが彼に話しかけるなんて、一生に一度の奇跡が起きない限り無理だと思っていた。
その「奇跡」は、放課後の図書室で起きた。
「……あ。それ、俺が探してた本」
背後から声をかけられて、心臓が跳ねた。
振り返ると、そこには本物の彼。
私が手に取っていたのは、少しマニアックなミステリー小説だった。
「ご、ごめん…!すぐ返すね」
「いや、いいんだ。……君、いつも俺のこと見てるよね」
心臓が止まるかと思った。
バレてた。しかも、あんなにストレートに。
顔が熱くて、今すぐ消えてしまいたい。
「あ、あの、それは……邪魔だったよね、ごめんなさい……!」
謝って逃げ出そうとした私の手首を、彼が軽く掴んだ。
見上げると、彼は少しだけ困ったように、でも優しく笑っていた。
「逆だよ」
「え……?」
「僕も、君のこと見てたから。目が合うのをずっと待ってたんだけど……君、すぐ逸らしちゃうからさ」
彼の手から、ほんのりミルクティーの香りがした。
窓から差し込む夕日が、彼の耳たぶを赤く染めている。
「……これ、読み終わったら貸して。そしたら、感想を話す口実ができるでしょ?」
私の視線は、もう逃げ場を失っていた。
でも、今度は自分から、彼の目を見つめ返してみる。
「……うん。絶対、貸すね」
この小説の甘い一ページが、今、捲られた音がした。
- 1.恋人。(1)
- 2.恋人。(2)
- 3.倦怠期。(1)
- 4.倦怠期。(2)
- 5.嫉妬。(1)
- 6.【病弱男子と幼馴染】
- 7.「好き」と言うこと。
- 8.嫉妬。(2)
- 9.嫉妬。(3)
- 10.彼女の推し。
- 11.限界です。
- 12.離婚届、自分は変われる…?
- 13.【星の砕ける音、君の旅立ち プロフィール】まちゃJiroさん
- 14.焦り。(1)
- 15.焦り。(2)
- 16.体調不良。(プロフィール)
- 17.体調不良。(1)
- 18.体調不良。(2)
- 19.最近嬉しかったこと。
- 20.不安。
- 21.距離感バグな夫。
- 22.害虫駆除、退治完了。
- 23.雨音。
- 24.ミルクティー。
- 25.職員室。
- 26.旦那様の職権乱用。