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恋愛短編集。【210閲覧感謝‼︎】

#23

雨音。

放課後、突然の土砂降りに見舞われた。
学校の昇降口。生徒たちが賑やかに帰っていく中、教師である[漢字]宮脇愛[/漢字][ふりがな]みやわきあい[/ふりがな]は一人、途方に暮れていた。

「あーあ、また予報外れたなぁ……」

そこへ、背後から聞き慣れた足音が近づいてくる。

「何、傘忘れたの?先生失格だな」

呆れたような、でも楽しそうな声。同じく教師である夫の[漢字]蓬城佑[/漢字][ふりがな]ほうじょうゆう[/ふりがな]だ。彼は大きな黒い傘を片手に、涼しい顔で隣に立った。

「うるさい。佑こそ、どうせ車でしょ?乗せてってよ」
「いいよ。でも駐車場まで距離あるぞ。走るか?」
「え、無理!この靴、お気にいりなんだから」

愛が拗ねると、佑は「しょうがないな」と笑って、持っていた傘を広げた。
「ほら、入れよ」

一歩踏み出し、一つの傘の下に収まる。
友達のような距離感で歩き出した二人だったが、雨脚が強まるにつれ、肩がぶつかるほど距離が縮まっていく。

「……ねぇ、ちょっと狭くない?」
「お前が濡れないようにしてやってんだろ。もっとこっち来い」

佑の手が愛の肩に回り、強引に自分の方へ引き寄せた。
いつもは「同僚」として適度な距離を保っている二人だが、雨の壁に仕切られた傘の中は、完全に二人だけの世界だ。

「佑、なんか今日……強引じゃない?」
「そうか?普通だろ」

愛が見上げると、佑は前を見据えたまま、少しだけ声を低くした。

「さっき、昇降口で3組の男子たちが『宮脇先生、今日一段と綺麗じゃね?』って話してんの聞こえたんだよ」
「えっ、そうなの?」
「……だから、あんまり外に見せたくなくなった。今は俺だけの妻でいろよ」

さらりと言ってのけた夫の言葉に、愛の心臓が跳ねる。
結婚して数年。友達みたいな感覚が心地よかったはずなのに、ふとした瞬間に見せられる「男」の顔に、いつまで経っても慣れることができない。

「……バカじゃないの。生徒相手に嫉妬?」
「悪いか。俺、お前のことに関しては結構独占欲強いから」

佑は足を止め、愛を包み込むように傘を傾けた。
雨音にかき消されそうなほど小さな声で、「帰ったら、覚悟しとけよ」と耳元で囁く。

真っ赤になった愛の顔を見て、佑は満足そうに口角を上げた。
「さ、帰るぞ。夕飯、何がいい?」
「……もう、心臓に悪いこと言わないでよ!」

二人の歩幅が重なる。
雨の日は嫌いだったはずなのに、愛はもう少しだけ、この傘の中にいる時間が続けばいいのにと願ってしまった。


作者メッセージ

ちょっと攻めましたw

2026/03/26 14:52

mayu.418
ID:≫ 85OyLBeYTHE8E
コメント

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短編集恋愛結婚夫婦カップルリクエスト◎

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