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恋愛短編集。【210閲覧感謝‼︎】

#22

害虫駆除、退治完了。

「……っ、無理![漢字]佑[/漢字][ふりがな]ゆう[/ふりがな]!マジで無理!!」

リビングのソファの上、[漢字]愛[/漢字][ふりがな]あい[/ふりがな]はクッションを盾に震えていた。
教師として教壇に立つ時は、反抗期の生徒も黙らせる凛とした「[漢字]蓬城[/漢字][ふりがな]ほうじょう[/ふりがな]先生」だが、今の彼女は完全にパニック状態だ。

「そんなに?愛、相手はたかが数センチの虫だぞ。」

夫の佑は、仕事帰りのスーツの袖をまくり、手にはティッシュの束を装備して笑っている。彼もまた、愛と同じ教師。家ではこの通り、だいぶ緩い。

「数センチとか関係ないの!あのフォルム、あの光沢、あの予測不能な動き!あ、いた!今テレビの後ろに行った!」

愛が指差した先を、佑は冷静に見据える。
彼は迷いなかった。ガサゴソとテレビの裏を探ったかと思うと、一瞬の隙をついて「カサッ」と仕留める。手元のティッシュを丸め、早々にゴミ箱の奥深くへと葬り去った。

[斜体]__ミッション完了。[/斜体]

「よし、終わったぞ。」

そう声をかけようとして、佑は口を閉ざした。
ソファから飛び出してきた愛が、ものすごい勢いで自分の胸に飛び込んできたからだ。

「と、取った…?ほんと?もう、いない?」
「……お、おう。どうかな、まだどっかに潜んでるかもなぁ」

佑は咄嗟に嘘をついた。
しがみついている愛の体温が心地いいし、背中に回された腕の力が必死すぎて、なんだか可笑しくなってしまったのだ。

「やだ!離さないでよ、もう絶対無理、今日寝れない…」

半泣きで訴える愛。普段は「今日の夕飯、ジャンケンで負けた方が皿洗いね」なんて友達みたいに言い合っている仲だが、こういう時の彼女はとっても可愛い。

「愛さん、俺、今すごく頼りにされてる?」
「当たり前でしょ!佑、世界で一番かっこいいよ今!だからそのまま動かないで!」
「はは、世界一が安いな」

佑は愛の背中をポンポンと叩きながら、ニヤける顔を隠した。
実はもう、平和は取り戻されている。ゴミ箱の中だ。
けれど、腕の中の愛があまりに一生懸命にしがみついているので、もう少しだけ「頼り甲斐のある夫」のフリをしておくことにした。

「……ねぇ、佑」
「ん?」
「もしまた出たら、またこうやって守ってね」
「いいよ。その代わり、明日の朝飯は愛の担当な」
「……そんなの、お安い御用よ」

鼻声をだしながら、愛はさらにぎゅっと腕に力を込める。
その無防備な信頼が嬉しくて、佑は「実はもういない」という事実を、あと5分だけ延長することに決めた。

作者メッセージ

coming soon…

2026/03/24 13:57

mayu.418
ID:≫ 85OyLBeYTHE8E
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短編集恋愛結婚夫婦カップルリクエスト◎

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