「……っ、無理![漢字]佑[/漢字][ふりがな]ゆう[/ふりがな]!マジで無理!!」
リビングのソファの上、[漢字]愛[/漢字][ふりがな]あい[/ふりがな]はクッションを盾に震えていた。
教師として教壇に立つ時は、反抗期の生徒も黙らせる凛とした「[漢字]蓬城[/漢字][ふりがな]ほうじょう[/ふりがな]先生」だが、今の彼女は完全にパニック状態だ。
「そんなに?愛、相手はたかが数センチの虫だぞ。」
夫の佑は、仕事帰りのスーツの袖をまくり、手にはティッシュの束を装備して笑っている。彼もまた、愛と同じ教師。家ではこの通り、だいぶ緩い。
「数センチとか関係ないの!あのフォルム、あの光沢、あの予測不能な動き!あ、いた!今テレビの後ろに行った!」
愛が指差した先を、佑は冷静に見据える。
彼は迷いなかった。ガサゴソとテレビの裏を探ったかと思うと、一瞬の隙をついて「カサッ」と仕留める。手元のティッシュを丸め、早々にゴミ箱の奥深くへと葬り去った。
[斜体]__ミッション完了。[/斜体]
「よし、終わったぞ。」
そう声をかけようとして、佑は口を閉ざした。
ソファから飛び出してきた愛が、ものすごい勢いで自分の胸に飛び込んできたからだ。
「と、取った…?ほんと?もう、いない?」
「……お、おう。どうかな、まだどっかに潜んでるかもなぁ」
佑は咄嗟に嘘をついた。
しがみついている愛の体温が心地いいし、背中に回された腕の力が必死すぎて、なんだか可笑しくなってしまったのだ。
「やだ!離さないでよ、もう絶対無理、今日寝れない…」
半泣きで訴える愛。普段は「今日の夕飯、ジャンケンで負けた方が皿洗いね」なんて友達みたいに言い合っている仲だが、こういう時の彼女はとっても可愛い。
「愛さん、俺、今すごく頼りにされてる?」
「当たり前でしょ!佑、世界で一番かっこいいよ今!だからそのまま動かないで!」
「はは、世界一が安いな」
佑は愛の背中をポンポンと叩きながら、ニヤける顔を隠した。
実はもう、平和は取り戻されている。ゴミ箱の中だ。
けれど、腕の中の愛があまりに一生懸命にしがみついているので、もう少しだけ「頼り甲斐のある夫」のフリをしておくことにした。
「……ねぇ、佑」
「ん?」
「もしまた出たら、またこうやって守ってね」
「いいよ。その代わり、明日の朝飯は愛の担当な」
「……そんなの、お安い御用よ」
鼻声をだしながら、愛はさらにぎゅっと腕に力を込める。
その無防備な信頼が嬉しくて、佑は「実はもういない」という事実を、あと5分だけ延長することに決めた。
リビングのソファの上、[漢字]愛[/漢字][ふりがな]あい[/ふりがな]はクッションを盾に震えていた。
教師として教壇に立つ時は、反抗期の生徒も黙らせる凛とした「[漢字]蓬城[/漢字][ふりがな]ほうじょう[/ふりがな]先生」だが、今の彼女は完全にパニック状態だ。
「そんなに?愛、相手はたかが数センチの虫だぞ。」
夫の佑は、仕事帰りのスーツの袖をまくり、手にはティッシュの束を装備して笑っている。彼もまた、愛と同じ教師。家ではこの通り、だいぶ緩い。
「数センチとか関係ないの!あのフォルム、あの光沢、あの予測不能な動き!あ、いた!今テレビの後ろに行った!」
愛が指差した先を、佑は冷静に見据える。
彼は迷いなかった。ガサゴソとテレビの裏を探ったかと思うと、一瞬の隙をついて「カサッ」と仕留める。手元のティッシュを丸め、早々にゴミ箱の奥深くへと葬り去った。
[斜体]__ミッション完了。[/斜体]
「よし、終わったぞ。」
そう声をかけようとして、佑は口を閉ざした。
ソファから飛び出してきた愛が、ものすごい勢いで自分の胸に飛び込んできたからだ。
「と、取った…?ほんと?もう、いない?」
「……お、おう。どうかな、まだどっかに潜んでるかもなぁ」
佑は咄嗟に嘘をついた。
しがみついている愛の体温が心地いいし、背中に回された腕の力が必死すぎて、なんだか可笑しくなってしまったのだ。
「やだ!離さないでよ、もう絶対無理、今日寝れない…」
半泣きで訴える愛。普段は「今日の夕飯、ジャンケンで負けた方が皿洗いね」なんて友達みたいに言い合っている仲だが、こういう時の彼女はとっても可愛い。
「愛さん、俺、今すごく頼りにされてる?」
「当たり前でしょ!佑、世界で一番かっこいいよ今!だからそのまま動かないで!」
「はは、世界一が安いな」
佑は愛の背中をポンポンと叩きながら、ニヤける顔を隠した。
実はもう、平和は取り戻されている。ゴミ箱の中だ。
けれど、腕の中の愛があまりに一生懸命にしがみついているので、もう少しだけ「頼り甲斐のある夫」のフリをしておくことにした。
「……ねぇ、佑」
「ん?」
「もしまた出たら、またこうやって守ってね」
「いいよ。その代わり、明日の朝飯は愛の担当な」
「……そんなの、お安い御用よ」
鼻声をだしながら、愛はさらにぎゅっと腕に力を込める。
その無防備な信頼が嬉しくて、佑は「実はもういない」という事実を、あと5分だけ延長することに決めた。
- 1.恋人。(1)
- 2.恋人。(2)
- 3.倦怠期。(1)
- 4.倦怠期。(2)
- 5.嫉妬。(1)
- 6.【病弱男子と幼馴染】
- 7.「好き」と言うこと。
- 8.嫉妬。(2)
- 9.嫉妬。(3)
- 10.彼女の推し。
- 11.限界です。
- 12.離婚届、自分は変われる…?
- 13.【星の砕ける音、君の旅立ち プロフィール】まちゃJiroさん
- 14.焦り。(1)
- 15.焦り。(2)
- 16.体調不良。(プロフィール)
- 17.体調不良。(1)
- 18.体調不良。(2)
- 19.最近嬉しかったこと。
- 20.不安。
- 21.距離感バグな夫。
- 22.害虫駆除、退治完了。
- 23.雨音。
- 24.ミルクティー。
- 25.職員室。
- 26.旦那様の職権乱用。