混沌世界
#1
オワリノハジマリ
よく考えてみれば、その日は朝からずっとおかしかった気がする。
雲一つ無いのにも関わらず、ずっと空が薄暗かった。
そう言えば、[漢字]鳩[/漢字][ふりがな]はと[/ふりがな]や[漢字]鴉[/漢字][ふりがな]からす[/ふりがな]が一羽もいなかった。
そして"あんな事"が起こった。
あの日を例えるとすればそう、
[明朝体]"オワリノハジマリ"[/明朝体]
―――――――――――――――――――――――
「行ってきまーす。」
俺はそう母さんに声をかけてから家を出る。
俺、[漢字]市川創示[/漢字][ふりがな]いちかわそうし[/ふりがな]は朝から友人である[漢字]志村玲[/漢字][ふりがな]しむられい[/ふりがな]と会う約束をしていた。
(まだ間に合うな…。)
スマホで現在の時間を確認しながら自転車に乗り、玲の[漢字]下[/漢字][ふりがな]もと[/ふりがな]へ向かう。
(ちっ…信号赤かよ…。)
俺は心の中で舌打ちをする。
別に間に合わないという訳では無いが、このままのペースでいけば恐らく時間ギリギリになってしまうだろう。
(車は…いないな。)
そう左右を確認して車がいないことを確認し、信号を無視して再びペダルを漕ぎ出す。
「うわっ!」
その[漢字]刹那[/漢字][ふりがな]せつな[/ふりがな]、俺は突如浮遊感に襲われる。
体が宙に投げ出されたのだった。
(跳ねられた!?)
そう考えたが、車はいなかったし、今現在もいない。
「痛っ…。」
俺は激しい勢いで地面に打ち付けられた。
肘を擦り剥いたのか、焼ける様な痛みを感じる。
落下してから気付いたのだが、字面はまだ激しく上下に揺れ続けていた。
[漢字]暫[/漢字][ふりがな]しばら[/ふりがな]くすると揺れは止まった。
スマホからJアラートが鳴っている。
「地震…だったのか?」
俺はそう呟き立ち上がろうとする。
その時、俺の視界に何かが映った。
「何だ…あれ?」
俺は擦り剥いた所を押さえながら立ち上がる。
何か人間に似た生物が立っていたのだ。
「コスプレか?」
そう思い、目を凝らしたがコスプレにしてはリアル過ぎるし、そもそも身長があり得ないほど高い。
恐らく2メートルは優に超えているだろうと思われる程だった。
するとその生物はこちらを向く。
その顔は牛の様であり、角が生えている。
それに加え、鼻に金色のリングの様な物まで付けており、上裸であった。
「ンモオオオオオ!」
その生物は角をこちらに向けて突撃して来る。
「う、うわああぁ!」
俺は反射的に避ける。
だがその生物は止まることなく、後ろにあった壁に角をめり込ませた。
その生物の角がめり込んだ場所はしっかりと穴が空いていた。
「ンモオオオオ!」
先程と同じ様に俺に角を向け、再び突撃して来る。
先程よりもスピードが増していた。
これは避けれない。
俺はそう悟っだが、どうにか震える足を動かして避けようと思った。
だが、足が[漢字]竦[/漢字][ふりがな]すく[/ふりがな]んで動けない。
おまけに腰も抜けてしまった。
「ンモオオオオオオ!」
その生物は勢いを落とす事なく俺に近づいて来る。
(死ぬ…。)
俺はそう覚悟を決め目を瞑る。
その時だった。
「[漢字]壱ノ印[/漢字][ふりがな]いちのいん[/ふりがな]・[漢字]焔玉[/漢字][ふりがな]ほむらだま[/ふりがな]」
そんな声が聞こえ目を開けると、牛の様な化け物は突然俺の目の前で爆散した。
声のした方を見てみると、そこには一人の男性が浮いていた。
「へ…?」
俺は情報が追い付かず、思わず間抜けな声を上げてしまう。
その男性は誰かと電話をしており、電話を終え暫くすると、俺の方へ降りて来た。
「大丈夫か?」
男性はそう言い、俺に手を差し伸べる。
「え…?あ、はい。」
俺はそう反応し、差し伸べられた手を掴んで立ち上がる。
20代前半だろうか。
肌は少し黒く、チャラそうな感じがする。
「突然だけど、着いて来てくれないか?」
男性は俺にそう言う。
本当に突然過ぎる。
「着いて来てってどこに…」
俺がそう聞こうとすると突然、指で印の様な物を結び、自身の左に差していた刀を抜いた。
何か不味いこと言ってしまっだろうか。
目が殺気立っている。
「あの…」
俺が謝る前に男性は動き出していた。
「[漢字]弐ノ印[/漢字][ふりがな]にのいん[/ふりがな]・[漢字]飛炎[/漢字][ふりがな]ひえん[/ふりがな]」
男性は刀に炎を[漢字]纏[/漢字][ふりがな]まと[/ふりがな]わせ、俺を斬りつけた…と思ったのだが、男性は俺の後ろに移動し、刀を振り上げる。
「ゴエエエエエ!」
俺の後ろでは先程の牛の様な化け物が燃えていた。
それが先程の個体なのか、別の個体なのかは分からない。
恐らく俺を守ってくれたのだろう。
「あ、ありがとうございます!」
俺は守ってくれた事に感謝する。
「いいって事よ。だが、まぁここは危険だ。それは分かるな?」
そう男性は俺に聞く。
俺は黙ったまま首を縦に振る。
「だから安全な場所に避難しようと思う。着いて来てくれるか?」
俺はそう問いかけられ「はい。」と答えてしまった。
だがまぁ、良い人であることは間違いないし、男性の言う通りここは危険だ。
それに、先程の炎の事や、浮いていた事も気になる。
「なら行くぞ。」
そう男性は言い、俺の事を軽々と持ち上げ、再び宙へ浮く。
「え?うわぁ!」
俺は急な事に驚き、暴れてしまう。
「ちょ、暴れるな!落っこちるぞ!」
そう言われたが、怖い物は怖い。
結局そのまま俺は暴れ続けたのだった。
雲一つ無いのにも関わらず、ずっと空が薄暗かった。
そう言えば、[漢字]鳩[/漢字][ふりがな]はと[/ふりがな]や[漢字]鴉[/漢字][ふりがな]からす[/ふりがな]が一羽もいなかった。
そして"あんな事"が起こった。
あの日を例えるとすればそう、
[明朝体]"オワリノハジマリ"[/明朝体]
―――――――――――――――――――――――
「行ってきまーす。」
俺はそう母さんに声をかけてから家を出る。
俺、[漢字]市川創示[/漢字][ふりがな]いちかわそうし[/ふりがな]は朝から友人である[漢字]志村玲[/漢字][ふりがな]しむられい[/ふりがな]と会う約束をしていた。
(まだ間に合うな…。)
スマホで現在の時間を確認しながら自転車に乗り、玲の[漢字]下[/漢字][ふりがな]もと[/ふりがな]へ向かう。
(ちっ…信号赤かよ…。)
俺は心の中で舌打ちをする。
別に間に合わないという訳では無いが、このままのペースでいけば恐らく時間ギリギリになってしまうだろう。
(車は…いないな。)
そう左右を確認して車がいないことを確認し、信号を無視して再びペダルを漕ぎ出す。
「うわっ!」
その[漢字]刹那[/漢字][ふりがな]せつな[/ふりがな]、俺は突如浮遊感に襲われる。
体が宙に投げ出されたのだった。
(跳ねられた!?)
そう考えたが、車はいなかったし、今現在もいない。
「痛っ…。」
俺は激しい勢いで地面に打ち付けられた。
肘を擦り剥いたのか、焼ける様な痛みを感じる。
落下してから気付いたのだが、字面はまだ激しく上下に揺れ続けていた。
[漢字]暫[/漢字][ふりがな]しばら[/ふりがな]くすると揺れは止まった。
スマホからJアラートが鳴っている。
「地震…だったのか?」
俺はそう呟き立ち上がろうとする。
その時、俺の視界に何かが映った。
「何だ…あれ?」
俺は擦り剥いた所を押さえながら立ち上がる。
何か人間に似た生物が立っていたのだ。
「コスプレか?」
そう思い、目を凝らしたがコスプレにしてはリアル過ぎるし、そもそも身長があり得ないほど高い。
恐らく2メートルは優に超えているだろうと思われる程だった。
するとその生物はこちらを向く。
その顔は牛の様であり、角が生えている。
それに加え、鼻に金色のリングの様な物まで付けており、上裸であった。
「ンモオオオオオ!」
その生物は角をこちらに向けて突撃して来る。
「う、うわああぁ!」
俺は反射的に避ける。
だがその生物は止まることなく、後ろにあった壁に角をめり込ませた。
その生物の角がめり込んだ場所はしっかりと穴が空いていた。
「ンモオオオオ!」
先程と同じ様に俺に角を向け、再び突撃して来る。
先程よりもスピードが増していた。
これは避けれない。
俺はそう悟っだが、どうにか震える足を動かして避けようと思った。
だが、足が[漢字]竦[/漢字][ふりがな]すく[/ふりがな]んで動けない。
おまけに腰も抜けてしまった。
「ンモオオオオオオ!」
その生物は勢いを落とす事なく俺に近づいて来る。
(死ぬ…。)
俺はそう覚悟を決め目を瞑る。
その時だった。
「[漢字]壱ノ印[/漢字][ふりがな]いちのいん[/ふりがな]・[漢字]焔玉[/漢字][ふりがな]ほむらだま[/ふりがな]」
そんな声が聞こえ目を開けると、牛の様な化け物は突然俺の目の前で爆散した。
声のした方を見てみると、そこには一人の男性が浮いていた。
「へ…?」
俺は情報が追い付かず、思わず間抜けな声を上げてしまう。
その男性は誰かと電話をしており、電話を終え暫くすると、俺の方へ降りて来た。
「大丈夫か?」
男性はそう言い、俺に手を差し伸べる。
「え…?あ、はい。」
俺はそう反応し、差し伸べられた手を掴んで立ち上がる。
20代前半だろうか。
肌は少し黒く、チャラそうな感じがする。
「突然だけど、着いて来てくれないか?」
男性は俺にそう言う。
本当に突然過ぎる。
「着いて来てってどこに…」
俺がそう聞こうとすると突然、指で印の様な物を結び、自身の左に差していた刀を抜いた。
何か不味いこと言ってしまっだろうか。
目が殺気立っている。
「あの…」
俺が謝る前に男性は動き出していた。
「[漢字]弐ノ印[/漢字][ふりがな]にのいん[/ふりがな]・[漢字]飛炎[/漢字][ふりがな]ひえん[/ふりがな]」
男性は刀に炎を[漢字]纏[/漢字][ふりがな]まと[/ふりがな]わせ、俺を斬りつけた…と思ったのだが、男性は俺の後ろに移動し、刀を振り上げる。
「ゴエエエエエ!」
俺の後ろでは先程の牛の様な化け物が燃えていた。
それが先程の個体なのか、別の個体なのかは分からない。
恐らく俺を守ってくれたのだろう。
「あ、ありがとうございます!」
俺は守ってくれた事に感謝する。
「いいって事よ。だが、まぁここは危険だ。それは分かるな?」
そう男性は俺に聞く。
俺は黙ったまま首を縦に振る。
「だから安全な場所に避難しようと思う。着いて来てくれるか?」
俺はそう問いかけられ「はい。」と答えてしまった。
だがまぁ、良い人であることは間違いないし、男性の言う通りここは危険だ。
それに、先程の炎の事や、浮いていた事も気になる。
「なら行くぞ。」
そう男性は言い、俺の事を軽々と持ち上げ、再び宙へ浮く。
「え?うわぁ!」
俺は急な事に驚き、暴れてしまう。
「ちょ、暴れるな!落っこちるぞ!」
そう言われたが、怖い物は怖い。
結局そのまま俺は暴れ続けたのだった。