「……ニナ、やりなさい。その目障りな[漢字]羽虫[/漢字][ふりがな]ラカス[/ふりがな]を排除しろ」
ペテンテの冷酷な命令が、要塞の指令室に響き渡る。
デスディチャを抱きしめるラカスの背後で、機械兵と化したニナの巨大な装甲腕が、鈍い金属音を立てて持ち上がった。その掌には、至近距離から内臓を焼き切るための魔導レーザーが充填されていく。
「ニナ、やめて! ラカスは……!」
コジャールが叫び、水の刃を投げようとした――その瞬間。
「――うるさいわね、このエルフ。さっきから命令、命令って……耳にタコができるわよ」
機械の関節が軋む音とともに、ニナの声がスピーカーから漏れた。
三年前よりも少しだけ低く、けれどあの日のままの、生意気で傲慢な「お嬢様」の口調。
「なっ……何をしている、ニナ! 標的は目の前の男だ!」
「標的なら、もう決まってるわよ。……アンタよ、ペテンテ!!」
ドォォォォォンッ!!
ニナの装甲腕が放ったのは、ラカスへの一撃ではなかった。
身体を180度反転させ、背後にいたペテンテの胸元へ、最大出力の魔導衝撃波を叩き込んだのだ。
「ぐ、はっ……!? 馬鹿な、[漢字]精神制御[/漢字][ふりがな]マインドコントロール[/ふりがな]は完璧だったはずだ!」
ペテンテが吹き飛ばされ、要塞の壁を突き破る。
ニナは、重厚な機械の足音を響かせながら、ラカスとデスディチャを庇うように一歩前に出た。
「完璧? 笑わせないで。アンタの作った[漢字]ガラクタ[/漢字][ふりがな]プログラム[/ふりがな]なんて、三日もあれば上書きしてやったわよ。……私が今日まで、どんな気持ちでアンタの顔色を伺いながら、この冷たい鉄の体で生きてきたと思ってるのよ!」
実はニナは、ペテンテに魔力を吸いとられた際、機械としてプログラムをされていたのだ。
ニナの機械の瞳が、怒りで真っ赤に発光する。
「デスディチャ! いつまで寝てるのよ、こののろま! アンタの名前をつけたのは誰だと思ってるの? 世界で唯一、私の名付け親なんだから、シャキッとしなさいよ!」
機械の指先が、優しく、けれど力強くデスディチャの紅い髪を撫でる。
その感触は、かつての温かい指先ではない。けれど、デスディチャの心には、冷たい鋼鉄を通じた「確かな絆」が伝わってきた。
「……ニ、ナ……? 生きて……たの……?」
「あったりまえでしょ! アンタが泣き虫なままだから、死ぬに死ねなかったのよ!」
ニナは背中のスラスターを全開にし、要塞の天井を突き破る勢いで跳躍した。
『[漢字]崩落の妖精[/漢字][ふりがな]ピクシー・フォール[/ふりがな]』
「――コジャール! ラカス! あの子を連れて逃げなさい! ここは私が、このエルフごと粉々にしてやるわ!」
空中から降り注ぐのは、ニナの魔力すべてを注ぎ込んだ、無数の誘導弾。
かつての「実験体No.1727」は、今、自らの意志で、自らの[漢字]創造主[/漢字][ふりがな]ペテンテ[/ふりがな]を焼き尽くす「復讐の妖精」へと覚醒した。
ペテンテの冷酷な命令が、要塞の指令室に響き渡る。
デスディチャを抱きしめるラカスの背後で、機械兵と化したニナの巨大な装甲腕が、鈍い金属音を立てて持ち上がった。その掌には、至近距離から内臓を焼き切るための魔導レーザーが充填されていく。
「ニナ、やめて! ラカスは……!」
コジャールが叫び、水の刃を投げようとした――その瞬間。
「――うるさいわね、このエルフ。さっきから命令、命令って……耳にタコができるわよ」
機械の関節が軋む音とともに、ニナの声がスピーカーから漏れた。
三年前よりも少しだけ低く、けれどあの日のままの、生意気で傲慢な「お嬢様」の口調。
「なっ……何をしている、ニナ! 標的は目の前の男だ!」
「標的なら、もう決まってるわよ。……アンタよ、ペテンテ!!」
ドォォォォォンッ!!
ニナの装甲腕が放ったのは、ラカスへの一撃ではなかった。
身体を180度反転させ、背後にいたペテンテの胸元へ、最大出力の魔導衝撃波を叩き込んだのだ。
「ぐ、はっ……!? 馬鹿な、[漢字]精神制御[/漢字][ふりがな]マインドコントロール[/ふりがな]は完璧だったはずだ!」
ペテンテが吹き飛ばされ、要塞の壁を突き破る。
ニナは、重厚な機械の足音を響かせながら、ラカスとデスディチャを庇うように一歩前に出た。
「完璧? 笑わせないで。アンタの作った[漢字]ガラクタ[/漢字][ふりがな]プログラム[/ふりがな]なんて、三日もあれば上書きしてやったわよ。……私が今日まで、どんな気持ちでアンタの顔色を伺いながら、この冷たい鉄の体で生きてきたと思ってるのよ!」
実はニナは、ペテンテに魔力を吸いとられた際、機械としてプログラムをされていたのだ。
ニナの機械の瞳が、怒りで真っ赤に発光する。
「デスディチャ! いつまで寝てるのよ、こののろま! アンタの名前をつけたのは誰だと思ってるの? 世界で唯一、私の名付け親なんだから、シャキッとしなさいよ!」
機械の指先が、優しく、けれど力強くデスディチャの紅い髪を撫でる。
その感触は、かつての温かい指先ではない。けれど、デスディチャの心には、冷たい鋼鉄を通じた「確かな絆」が伝わってきた。
「……ニ、ナ……? 生きて……たの……?」
「あったりまえでしょ! アンタが泣き虫なままだから、死ぬに死ねなかったのよ!」
ニナは背中のスラスターを全開にし、要塞の天井を突き破る勢いで跳躍した。
『[漢字]崩落の妖精[/漢字][ふりがな]ピクシー・フォール[/ふりがな]』
「――コジャール! ラカス! あの子を連れて逃げなさい! ここは私が、このエルフごと粉々にしてやるわ!」
空中から降り注ぐのは、ニナの魔力すべてを注ぎ込んだ、無数の誘導弾。
かつての「実験体No.1727」は、今、自らの意志で、自らの[漢字]創造主[/漢字][ふりがな]ペテンテ[/ふりがな]を焼き尽くす「復讐の妖精」へと覚醒した。
- 1.#1熱砂の咆哮
- 2.#2無機質(前編)
- 3.#2無機質(後編)
- 4.#3遺跡(前編)
- 5.#3遺跡(中編)
- 6.#3遺跡(後編)
- 7.#4冰の中の「お姫様」(前編)
- 8.#4冰の中の「お姫様」(後編)
- 9.#5水色の嘘(前編)
- 10.#5水色の嘘(中編)
- 11.#5水色の嘘(後編)
- 12.#6凍てつく事実
- 13.#7毒の滴り(前編)
- 14.#7毒の滴り(中編)
- 15.#7毒の滴り(後編)
- 16.#8崩壊の聖域
- 17.#9再会
- 18.#10再起の咆哮(前編)
- 19.#10再起の咆哮(中編)
- 20.#10再起の咆哮(後編)
- 21.#11不完全生命体(前編)
- 22.#11不完全生命体(中編)
- 23.#11不完全生命体(後編)
- 24.#12血眼
- 25.#13道化師と強欲
- 26.#14冰の劣等生(前編)
- 27.#14冰の劣等生(中編)
- 28.#14冰の劣等生(後編)
- 29.#15強欲の残滓
- 30.エピローグ