文字サイズ変更

不幸の温度

#11

#5水色の嘘(後編)

「……テルヌーラ。本当の名前を、教えてあげようか?」

 視界が真っ赤に染まる。耳の奥で、誰かが泣いているような、あるいは高笑いしているような轟音が響き渡る。

「……やめて。……言わないで。わたしは、デスディチャ。……不幸な、化け物……!」

 ドクンッ!
 心臓が爆ぜるような鼓動とともに、デスディチャの体温が50℃の壁を軽々と突き破った。60℃、80℃、100℃――。
 周囲の雪はもはや蒸発すら間に合わず、一瞬でプラズマ状の光に変わる。

「あ、あああああああ――ッ!!」

 咆哮。
 彼女の背後から、魔素で形成された「熱砂の双翼」が噴出した。腰まであった白髪は逆立ち、紅い瞳からは血のような魔力の残滓が溢れ出す。

「ひ、ひいいいっ! 熱い、熱すぎるよデスディチャ!」
「ラカス、下がれ! 今のあいつは歩く核爆弾よ!」

 ラカスを引きずるように後退させるニナ。ペテンテは魔導書を構え、苦渋に満ちた表情で叫ぶ。

「デスディチャ! 意識を保て! お前の[漢字]回路[/漢字][ふりがな]パス[/ふりがな]が焼き切れるぞ!」

 しかし、暴走したデスディチャの耳に、主の声は届かない。
 彼女は地面を蹴った。爆発的な推進力で、ターゲット――コジャールへと肉薄する。

「……燃え、ろ……!!」

『[漢字]焦土の咆哮[/漢字][ふりがな]プロミネンス・ハウル[/ふりがな]』

 彼女が虚空を殴りつけると、そこから巨大な火柱ではなく、「超高温の魔素の塊」が散弾のように放たれた。触れるものすべてを分子レベルで分解し、雪原を瞬時に黒い焦土へと変えていく。

「ふふっ……いいわ。その凶暴な輝き、嫌いじゃないわよ?」

 対するコジャールは、微塵も動じなかった。
 彼女が優雅に指先で円を描くと、大気中の水分が一点に収束し、巨大な水の防壁が展開される。

『[漢字]深淵の涙[/漢字][ふりがな]アビス・ティアーズ[/ふりがな]』

 ――ジュウウウウウウウウッ!!!

 凄まじい水蒸気が爆発し、視界を真っ白に染め上げる。
 普通なら、水は一瞬で干上がるはずだった。しかし、コジャールの水は、デスディチャの熱を吸い取るたびに「青い氷」へと相転移し、より強固な檻となって彼女を閉じ込めていく。

「さあ、もっと熱くなりなさい? あなたが燃え尽きるのが先か、私の[漢字]愛[/漢字][ふりがな]みず[/ふりがな]に溺れるのが先か……試してあげるわ」

 コジャールは不敵に微笑み、さらなる追撃の詠唱を始めた。

「――来たれ、静寂の支配者。全ての熱を奪い、偽りの安らぎを」

『[漢字]水鏡の檻[/漢字][ふりがな]オーシャン・プリズン[/ふりがな]』

 デスディチャの足元から、巨大な水の鎖が蛇のように這い上がり、その四肢を絡め取る。
 熱と水がぶつかり合い、爆鳴と悲鳴が雪原に木霊した。

作者メッセージ

ネタガナイジゴク

2026/02/13 20:06

♗◈夢見鳥◈♗
ID:≫ 65guhuu.CMb9.
コメント

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は♗◈夢見鳥◈♗さんに帰属します

TOP