「……テルヌーラ。本当の名前を、教えてあげようか?」
視界が真っ赤に染まる。耳の奥で、誰かが泣いているような、あるいは高笑いしているような轟音が響き渡る。
「……やめて。……言わないで。わたしは、デスディチャ。……不幸な、化け物……!」
ドクンッ!
心臓が爆ぜるような鼓動とともに、デスディチャの体温が50℃の壁を軽々と突き破った。60℃、80℃、100℃――。
周囲の雪はもはや蒸発すら間に合わず、一瞬でプラズマ状の光に変わる。
「あ、あああああああ――ッ!!」
咆哮。
彼女の背後から、魔素で形成された「熱砂の双翼」が噴出した。腰まであった白髪は逆立ち、紅い瞳からは血のような魔力の残滓が溢れ出す。
「ひ、ひいいいっ! 熱い、熱すぎるよデスディチャ!」
「ラカス、下がれ! 今のあいつは歩く核爆弾よ!」
ラカスを引きずるように後退させるニナ。ペテンテは魔導書を構え、苦渋に満ちた表情で叫ぶ。
「デスディチャ! 意識を保て! お前の[漢字]回路[/漢字][ふりがな]パス[/ふりがな]が焼き切れるぞ!」
しかし、暴走したデスディチャの耳に、主の声は届かない。
彼女は地面を蹴った。爆発的な推進力で、ターゲット――コジャールへと肉薄する。
「……燃え、ろ……!!」
『[漢字]焦土の咆哮[/漢字][ふりがな]プロミネンス・ハウル[/ふりがな]』
彼女が虚空を殴りつけると、そこから巨大な火柱ではなく、「超高温の魔素の塊」が散弾のように放たれた。触れるものすべてを分子レベルで分解し、雪原を瞬時に黒い焦土へと変えていく。
「ふふっ……いいわ。その凶暴な輝き、嫌いじゃないわよ?」
対するコジャールは、微塵も動じなかった。
彼女が優雅に指先で円を描くと、大気中の水分が一点に収束し、巨大な水の防壁が展開される。
『[漢字]深淵の涙[/漢字][ふりがな]アビス・ティアーズ[/ふりがな]』
――ジュウウウウウウウウッ!!!
凄まじい水蒸気が爆発し、視界を真っ白に染め上げる。
普通なら、水は一瞬で干上がるはずだった。しかし、コジャールの水は、デスディチャの熱を吸い取るたびに「青い氷」へと相転移し、より強固な檻となって彼女を閉じ込めていく。
「さあ、もっと熱くなりなさい? あなたが燃え尽きるのが先か、私の[漢字]愛[/漢字][ふりがな]みず[/ふりがな]に溺れるのが先か……試してあげるわ」
コジャールは不敵に微笑み、さらなる追撃の詠唱を始めた。
「――来たれ、静寂の支配者。全ての熱を奪い、偽りの安らぎを」
『[漢字]水鏡の檻[/漢字][ふりがな]オーシャン・プリズン[/ふりがな]』
デスディチャの足元から、巨大な水の鎖が蛇のように這い上がり、その四肢を絡め取る。
熱と水がぶつかり合い、爆鳴と悲鳴が雪原に木霊した。
視界が真っ赤に染まる。耳の奥で、誰かが泣いているような、あるいは高笑いしているような轟音が響き渡る。
「……やめて。……言わないで。わたしは、デスディチャ。……不幸な、化け物……!」
ドクンッ!
心臓が爆ぜるような鼓動とともに、デスディチャの体温が50℃の壁を軽々と突き破った。60℃、80℃、100℃――。
周囲の雪はもはや蒸発すら間に合わず、一瞬でプラズマ状の光に変わる。
「あ、あああああああ――ッ!!」
咆哮。
彼女の背後から、魔素で形成された「熱砂の双翼」が噴出した。腰まであった白髪は逆立ち、紅い瞳からは血のような魔力の残滓が溢れ出す。
「ひ、ひいいいっ! 熱い、熱すぎるよデスディチャ!」
「ラカス、下がれ! 今のあいつは歩く核爆弾よ!」
ラカスを引きずるように後退させるニナ。ペテンテは魔導書を構え、苦渋に満ちた表情で叫ぶ。
「デスディチャ! 意識を保て! お前の[漢字]回路[/漢字][ふりがな]パス[/ふりがな]が焼き切れるぞ!」
しかし、暴走したデスディチャの耳に、主の声は届かない。
彼女は地面を蹴った。爆発的な推進力で、ターゲット――コジャールへと肉薄する。
「……燃え、ろ……!!」
『[漢字]焦土の咆哮[/漢字][ふりがな]プロミネンス・ハウル[/ふりがな]』
彼女が虚空を殴りつけると、そこから巨大な火柱ではなく、「超高温の魔素の塊」が散弾のように放たれた。触れるものすべてを分子レベルで分解し、雪原を瞬時に黒い焦土へと変えていく。
「ふふっ……いいわ。その凶暴な輝き、嫌いじゃないわよ?」
対するコジャールは、微塵も動じなかった。
彼女が優雅に指先で円を描くと、大気中の水分が一点に収束し、巨大な水の防壁が展開される。
『[漢字]深淵の涙[/漢字][ふりがな]アビス・ティアーズ[/ふりがな]』
――ジュウウウウウウウウッ!!!
凄まじい水蒸気が爆発し、視界を真っ白に染め上げる。
普通なら、水は一瞬で干上がるはずだった。しかし、コジャールの水は、デスディチャの熱を吸い取るたびに「青い氷」へと相転移し、より強固な檻となって彼女を閉じ込めていく。
「さあ、もっと熱くなりなさい? あなたが燃え尽きるのが先か、私の[漢字]愛[/漢字][ふりがな]みず[/ふりがな]に溺れるのが先か……試してあげるわ」
コジャールは不敵に微笑み、さらなる追撃の詠唱を始めた。
「――来たれ、静寂の支配者。全ての熱を奪い、偽りの安らぎを」
『[漢字]水鏡の檻[/漢字][ふりがな]オーシャン・プリズン[/ふりがな]』
デスディチャの足元から、巨大な水の鎖が蛇のように這い上がり、その四肢を絡め取る。
熱と水がぶつかり合い、爆鳴と悲鳴が雪原に木霊した。
- 1.#1熱砂の咆哮
- 2.#2無機質(前編)
- 3.#2無機質(後編)
- 4.#3遺跡(前編)
- 5.#3遺跡(中編)
- 6.#3遺跡(後編)
- 7.#4冰の中の「お姫様」(前編)
- 8.#4冰の中の「お姫様」(後編)
- 9.#5水色の嘘(前編)
- 10.#5水色の嘘(中編)
- 11.#5水色の嘘(後編)
- 12.#6凍てつく事実
- 13.#7毒の滴り(前編)
- 14.#7毒の滴り(中編)
- 15.#7毒の滴り(後編)
- 16.#8崩壊の聖域
- 17.#9再会
- 18.#10再起の咆哮(前編)
- 19.#10再起の咆哮(中編)
- 20.#10再起の咆哮(後編)
- 21.#11不完全生命体(前編)
- 22.#11不完全生命体(中編)
- 23.#11不完全生命体(後編)
- 24.#12血眼
- 25.#13道化師と強欲
- 26.#14冰の劣等生(前編)
- 27.#14冰の劣等生(中編)
- 28.#14冰の劣等生(後編)
- 29.#15強欲の残滓
- 30.エピローグ