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敵か味方か 第二章【序章】

あの後、大沢はカシワ自動車での地位を大きく落とし、子会社である金融会社へ出向となった。

カシワ自動車では、唐木田の直属の上司である林野が乗務取締役に昇進した。

《湘南工場》

水野「まさか手柄は林野のものになるとはね…」
唐木田「あれは手柄でも何でもありません。私はあの告発を、カシワ自動車を守るために準備したんです。」

林野は、自分の命令で唐木田に調べさせたと根回しを図り、あたかも自分の手柄にしてみせた。
だが唐木田は特に思わない。信じていた林野のことが信用できなくなり、このままなら湘南工場でサラリーマン人生を終えてもいいとすら思う。

唐木田「ところで、例の試作品の進度は?」
水野「あぁ、ちょうどテストが終わって、結果を待っているところだよ」

唐木田「みんな、必死で頑張ってましたからね」
水野「この新型鉄道エンジンの完成を見るのが、私の夢でね。これが見れたら、きっぱり引退できるよ」

水野は今年いっぱいで定年だ。関連会社への再就職を打診されたが、体力的な限界を案じて引退するようだ。

1週間後、唐木田は林野から呼ばれた。

《カシワ自動車》

林野「どうだい調子は?」
唐木田「えぇ。ただいま湘南工場では、鉄道車両用の新型水素エンジンを開発している最中です」

林野「ほう。」
唐木田「浜松トランシスが船舶用新型エンジンを開発したのをきっかけに、ウチでも主力工場として、培ってきた技術を発揮させるべく、社員全員で取り組んでいる次第です」

林野「そうか、それは面白いなぁ」

林野は以前と比べ、余裕のある態度であった。

林野「突然だが、カシワ自動車の主力工場はいくつあるか知ってるよな?」

唐突な質問で一瞬きょとんとした。

唐木田「湘南、府中、高崎、我孫子、木更津の5つです」
林野「そうだ。実は主力工場を3つにまとめようと思ってるんだ」

唐木田「えっ?」
林野「湘南を府中にまとめて、高崎を我孫子にまとめるつもりだ。」

林野「最近どうも湘南と高崎が思うように振るわなくてね」
唐木田「ちょっと待ってください…そしたら社員たちはどうなるんですか?」

林野「1つの工場につき3分の2はリストラする。もちろん再就職先はこちらで提案はするから心配するな」
唐木田「そんないきなり…」

唐木田「せめて、新型エンジンが量産体制に入るまで待っていただけませんか?府中工場だって…」
林野「無理だ、できん。」

唐木田「林野さん…‼︎」

林野「林野…“常務”だ」

林野は完全に、唐木田を切り捨てるつもりだ。

2026/01/08 13:00

上諏訪
ID:≫ 6.BBA13mnEY26
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