浦ヶ丘製作所逆転物語【最終回】
橋本「そのコンペに勝った場合は?」
雨宮「すぐに量産体制に入るため、現在の人員ではとても間に合いません。そのためリストラした社員や引き抜かれた社員を呼び戻すこととなります。」
橋本「そうですか。では、負けたら?」
雨宮「その時は、山陽フィルムとの業務提携は解消され、イメージセンサーの市場は加賀トランスに奪われたます」
橋本「まさに天下分け目の戦いですね。その時、融資引き上げをせざるを得ませんね」
雨宮「ご心配には及びません。我々は、勝ちます。」
橋本「何の根拠がおありで?」
雨宮「私は村西会長とともにガレージから会社を築き上げてきたように、今度は佐藤社長とともにこの浦ヶ丘製作所を立て直してみせます。」
橋本「あなた方の考えは?」
取締役「この会社に残ります」
全員の経営陣は会社に残り、佐藤らに従う。
橋本「その間あなたたちの給料なんか出ませんよ?」
雨宮「もちろんです。」
橋本「……。」
橋本「なぜ、最初からそうしないんですか。もっと早くそうしてれば経営危機なんか起きなかったと思いますよ。初めてですよ…こんな応援したい会社ができたのは」
佐藤「…‼︎」
橋本「我々銀行員が見てるのは金だけじゃない。人です。コンペ、勝ってください」
[水平線]
御園「完成したか!」
追分「こちらがスペック表です。ここまでの製品を超えることは不可能だと思われます。」
御園「高い金を払った価値があったな…‼︎」
御園は、浦ヶ丘製作所から高給で社員たちを何人も引き抜いていた。両者ともに最後の切り札は、コンペで勝つことだ。
《浦ヶ丘製作所》
佐藤「…行ってくるか。」
雨宮「どちらへ?」
佐藤「JAPATAXの沖田社長のところへだ。」
雨宮「えっ?」
[水平線]
《山陽フィルム 公開コンペ》
司会者「これより、浦ヶ丘製作所・加賀トランスの合同公開コンペを行います。今回は先入観での判断を防ぐため、あえて社名は隠します。」
司会者は山陽フィルムの技術開発部長である。
A社とB社、そのどちらかが新型カメラのJET2に搭載されるイメージセンサーを決める。決め手は、動画撮影である。
司会者「まずは、A社の静止画から。」
巨大スクリーンに5枚の静止画が映し出される。
佐藤「……。」
御園「……。」
追分「…綺麗。」
礒谷「……どっちがうちだ…」
司会者「続いて、B社の静止画です。」
同じ写真である。やはり、A社の静止画と何の違いもない。
司会者「次は、動画です。今回はロウソク一本の明かりで検証をいたしました。」
礒谷「ロウソク一本だと…」
追分「……。」
A社の動画。モデルの女性がロウソクに火を灯す。
少しブレはあるが、これだけの巨大スクリーンでない限り、価値はじゅうぶんにある。
B社の動画も同じ映像である。
だが、決定的に明るく、モデルの顔や背景がはっきりと映っているのがわかる。
司会者「もうお分かりの通り、B社のほうが圧倒的に優れております。拡大画像を比べても一目瞭然です。」
江藤「発表してくれ」
司会者「はい。B社のカメラは」
[中央寄せ]緊張の一瞬[/中央寄せ]
司会者「浦ヶ丘製作所です」
佐藤「!」
礒谷「……よっしゃ‼︎」
江藤「素晴らしい」
御園「お待ちください!」
御園「確かに性能では浦ヶ丘製作所には負けました。ですがうちであれば、浦ヶ丘製作所の6割のコストで提供できます」
江藤「…いや、コストは6割低くても、浦ヶ丘製作所の性能は、10倍の価値がある」
御園「10倍…」
[水平線]
《JAPATAX 社長室》
御園「先日お伝えした、JAPATAXの新型スマートフォンのカメラに搭載するイメージセンサーの件、動きがあったと」
沖田「さすが御園社長だ、実に機敏ですねぇ。先日、役員会のほうで正式にGOが出ました。」
御園「…そうでしたか!ありがとうございます…‼︎」
沖田「君のところも大変だろうから、少しでもお役に立てればと思ってね」
御園「ありがとうございます…‼︎」
沖田「君と私の仲じゃないですか。佐藤さんのところには、私のほうから話をつけましたから。いやぁ助かる、浦ヶ丘の工場だけではとてもこの大量生産には追いつかないと言われてね」
御園「は…?」
沖田「いや君のところのね、空いている工場をぜひ浦ヶ丘に使わせてもらいたい。よろしくお願いします」
御園「いや、あの…それは…?」
沖田「ん?言ってなかったっけ?あぁ、すまないすまない、すいません。今回の我が社のスマホに搭載するイメージセンサーは、全て浦ヶ丘の物を採用することになりました。君のところの工場は立派ですから、生産スピードも大幅に上がります。佐藤社長もね、ほんと感謝してましたよ。もちろん、もちろんね、場所代くらいはお支払いするとね。」
御園は驚いた。沖田の顔がだんだん強ばっていく。
沖田「…あなたは、見誤ったんだよ。最後にあなたとお会いしたとき私とあなたの考えは540度違うと申し上げたが、あなたと私の仲だ、最後にもう一周分だけおまけをしてあげよう。あなたは、900度見誤ったんだ!ケンカを売る相手をね!」
雨宮「すぐに量産体制に入るため、現在の人員ではとても間に合いません。そのためリストラした社員や引き抜かれた社員を呼び戻すこととなります。」
橋本「そうですか。では、負けたら?」
雨宮「その時は、山陽フィルムとの業務提携は解消され、イメージセンサーの市場は加賀トランスに奪われたます」
橋本「まさに天下分け目の戦いですね。その時、融資引き上げをせざるを得ませんね」
雨宮「ご心配には及びません。我々は、勝ちます。」
橋本「何の根拠がおありで?」
雨宮「私は村西会長とともにガレージから会社を築き上げてきたように、今度は佐藤社長とともにこの浦ヶ丘製作所を立て直してみせます。」
橋本「あなた方の考えは?」
取締役「この会社に残ります」
全員の経営陣は会社に残り、佐藤らに従う。
橋本「その間あなたたちの給料なんか出ませんよ?」
雨宮「もちろんです。」
橋本「……。」
橋本「なぜ、最初からそうしないんですか。もっと早くそうしてれば経営危機なんか起きなかったと思いますよ。初めてですよ…こんな応援したい会社ができたのは」
佐藤「…‼︎」
橋本「我々銀行員が見てるのは金だけじゃない。人です。コンペ、勝ってください」
[水平線]
御園「完成したか!」
追分「こちらがスペック表です。ここまでの製品を超えることは不可能だと思われます。」
御園「高い金を払った価値があったな…‼︎」
御園は、浦ヶ丘製作所から高給で社員たちを何人も引き抜いていた。両者ともに最後の切り札は、コンペで勝つことだ。
《浦ヶ丘製作所》
佐藤「…行ってくるか。」
雨宮「どちらへ?」
佐藤「JAPATAXの沖田社長のところへだ。」
雨宮「えっ?」
[水平線]
《山陽フィルム 公開コンペ》
司会者「これより、浦ヶ丘製作所・加賀トランスの合同公開コンペを行います。今回は先入観での判断を防ぐため、あえて社名は隠します。」
司会者は山陽フィルムの技術開発部長である。
A社とB社、そのどちらかが新型カメラのJET2に搭載されるイメージセンサーを決める。決め手は、動画撮影である。
司会者「まずは、A社の静止画から。」
巨大スクリーンに5枚の静止画が映し出される。
佐藤「……。」
御園「……。」
追分「…綺麗。」
礒谷「……どっちがうちだ…」
司会者「続いて、B社の静止画です。」
同じ写真である。やはり、A社の静止画と何の違いもない。
司会者「次は、動画です。今回はロウソク一本の明かりで検証をいたしました。」
礒谷「ロウソク一本だと…」
追分「……。」
A社の動画。モデルの女性がロウソクに火を灯す。
少しブレはあるが、これだけの巨大スクリーンでない限り、価値はじゅうぶんにある。
B社の動画も同じ映像である。
だが、決定的に明るく、モデルの顔や背景がはっきりと映っているのがわかる。
司会者「もうお分かりの通り、B社のほうが圧倒的に優れております。拡大画像を比べても一目瞭然です。」
江藤「発表してくれ」
司会者「はい。B社のカメラは」
[中央寄せ]緊張の一瞬[/中央寄せ]
司会者「浦ヶ丘製作所です」
佐藤「!」
礒谷「……よっしゃ‼︎」
江藤「素晴らしい」
御園「お待ちください!」
御園「確かに性能では浦ヶ丘製作所には負けました。ですがうちであれば、浦ヶ丘製作所の6割のコストで提供できます」
江藤「…いや、コストは6割低くても、浦ヶ丘製作所の性能は、10倍の価値がある」
御園「10倍…」
[水平線]
《JAPATAX 社長室》
御園「先日お伝えした、JAPATAXの新型スマートフォンのカメラに搭載するイメージセンサーの件、動きがあったと」
沖田「さすが御園社長だ、実に機敏ですねぇ。先日、役員会のほうで正式にGOが出ました。」
御園「…そうでしたか!ありがとうございます…‼︎」
沖田「君のところも大変だろうから、少しでもお役に立てればと思ってね」
御園「ありがとうございます…‼︎」
沖田「君と私の仲じゃないですか。佐藤さんのところには、私のほうから話をつけましたから。いやぁ助かる、浦ヶ丘の工場だけではとてもこの大量生産には追いつかないと言われてね」
御園「は…?」
沖田「いや君のところのね、空いている工場をぜひ浦ヶ丘に使わせてもらいたい。よろしくお願いします」
御園「いや、あの…それは…?」
沖田「ん?言ってなかったっけ?あぁ、すまないすまない、すいません。今回の我が社のスマホに搭載するイメージセンサーは、全て浦ヶ丘の物を採用することになりました。君のところの工場は立派ですから、生産スピードも大幅に上がります。佐藤社長もね、ほんと感謝してましたよ。もちろん、もちろんね、場所代くらいはお支払いするとね。」
御園は驚いた。沖田の顔がだんだん強ばっていく。
沖田「…あなたは、見誤ったんだよ。最後にあなたとお会いしたとき私とあなたの考えは540度違うと申し上げたが、あなたと私の仲だ、最後にもう一周分だけおまけをしてあげよう。あなたは、900度見誤ったんだ!ケンカを売る相手をね!」
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