ドクターN
《東帝大学病院》
石井「この度、我が東帝大病院に、外科研修生がやってきます。皆さんよろしくお願いしますよ」
全員「御意!!」
江坂「どーも〜。」
石井「誰だ君は」
急に入ってきたその女に、全員がざわつく。
江坂「呼ばれたから来ました。」
石井「呼ばれた?ふっ…w こんな素性のわかんない医者を、東帝大病院が雇うのか?」
橋口「私が呼びました」
全員「えーっ!?」
石井「橋口君、どういうことかな?病院長の私も知りませんでしたよ」
橋口「江坂理紗先生は、以前は本浜松メディカルセンターにいらっしゃいました」
本浜松メディカルセンター・・・
その名を聞いて、全員は納得した。
石井「江坂理紗…先生だっけ?ようこそ、東帝大学病院に。病院長の石井です」
江坂「よろしく。では失礼します。」
橋口「おいちょっと待て!なんだいきなり!」
全員「そうだ!」
[中央寄せ]これは、一匹狼の女医の話である。[/中央寄せ]
橋口「あんな女、なぜ私らが預かるんだ…」
佐藤(教授)「まったくです」
外科医局は、江坂を良く思わなかった。
それもそのはず、大学病院という組織は金と権力のためには患者の命などをこれっぽっちも思わず、江坂のような「患者主義」な医者は嫌われるからだ。
[水平線]
《外科医局室》
上原「東帝大学外科研修生、上原です。本日から1週間、よろしくお願いします」
橋口「はいよろしく。」
外科研修生は全部で7人、それぞれに担当医が振り分けられる。
中谷(外科講師)「江坂先生。江坂先生」
江坂「えっ?…起こすなよ~…」
中谷「研修生来てるんですから。ほら」
江坂「あんた誰?」
上原「東帝大学外科研修生、上原です」
江坂「……まぁ、わかった。」
佐藤「あちゃー…あの子よりによって大ハズレ」
橋口「こりゃ長くは持たないな。」
《院長室》
石井「この、江坂という女、いったい何者だ。」
秘書「読み上げます」
[江坂理紗](えさか りさ)
帝国医療大学卒業
↓
帝国医療病院
↓
僻地医療従事
↓
フリーランス勤務
神戸医療センター、本浜松メディカルセンター
秘書「以上です」
石井「まぁ…有名病院を多く出てるわけだが、しかしまぁ…なんだかよくわからんね…」
[水平線]
《1週間後 カンファレンス》
橋口「1例目は、19歳女性です。この患者は骨外性軟骨肉腫、約8cmの腫瘍です。ちなみに、特患です。」
佐藤「8cm…ここまで大きくなっているのなら、大腿部の切断しかありませんね」
石井「うむ。」
江坂「反対です。」
橋口「何?」
江坂「切断すれば歩行障害が残ります。これは、AO療法がベストです。」
石井「何を大それたことを…」
石井が立ち上がる。
石井「東帝大学病院の特患の手術を、こんなフリーの外科医に任せられると思ってるのか!」
全員「そうだ!」
橋口「実は!」
橋口「この患者は、執刀医に江坂先生を指名しました」
石井「……なんだよ。」
中谷「ですが、骨外性軟骨肉腫は、内科治療という選択肢もありますが?」
石井「内科…」
石井「たしかに、内科治療は傷がなく安心安全」
江坂「何いってんの!?こんなデカい腫瘍、薬で根治は無理よ!」
佐藤「院長に対してなんだその口の利き方は!」
石井「連れ出せ!」
江坂「御意〜、言われなくても出てくよ。」
橋口「……。」
[水平線]
江坂「さて病室行くよー」
上原「あっ、はい!」
上原は半ば強引に連れて行かれた。
橋口「待て。」
江坂「何?入りたいんだけど」
橋口「あの特患は当日の朝、別の病院から搬送されてくる。この部屋は今、別の患者がいる。」
江坂「そう、わかった。」
2人は特別室から引き返した。
江坂「…?」
上原「あの…?」
江坂「あの人、見たことある。」
上原「東山さん…」
江坂「そうそう東山、なんかずいぶん怖いJR東海の人だよね」
上原「はい。あの方は、私の同級生なんです」
江坂「そうなんだ。挨拶してきたら?」
上原「はい!」
上原は患者に近づいた。
上原「久しぶりです、東山さん」
まな「上原さん…!! 久しぶりね。今日は健康診断で来たのよ」
2人は少し話した。
[水平線]
《手術当日》
江坂「中谷先生、助手たちは?」
中谷「それが…医局員全員に断られた。」
江坂「えっ!?」
すると、5人の男たちが入ってくる。
江坂「なんだ助手いるたくさんじゃん」
佐藤「私が執刀医だ。」
江坂「何言ってんの?」
佐藤「院長命令だ。」
上原「患者さん入ります」
ドアが開いた。
佐藤「これは…!!」
石井「な…なぜ!」
東山まなが、麻酔をかけて運ばれた。
石井「東山まなが患者だと…」
江坂「やっぱりね。中谷先生は第一助手。あんたはそこで見学」
中谷・上原「はい!」
江坂「これより、東山まなさんの…」
石井「待ちなさい!」
石井「患者が大物の人間だとわかったからには、君は指1本触れるな!撤退しろ!」
秘書「院長!この同意書が病室に!執刀医を、江坂にしろと…」
院長「…どうなんだ君たちは。」
佐藤「君が一人で執刀しなさい!いいか、責任は全て君にある。」
石井「それに、指名したのは患者だからな。」
5人は全員出ていった。
石井「江坂!撤退しろ!」
江坂「このまま撤退したら、この患者は3カ月以内に死ぬんだよ!」
石井「たわけ!手術ミスで殺すよりは遥かにマシだろっ!そして上原、お前もこの手術を手伝ったら、医者にさせないことも可能なんだぞ。」
上原「そんな…!!」
江坂「ほんとムカつく。私、失敗しないので」
石井「何…!!」
麻酔科医「どうすんの執刀医?」
江坂「麻酔科医とそこ、助手やって」
麻酔科医「はぁっ!? 無理に決まってるじゃん!」
江坂「やるしかないの!」
また、ドアが開いた。
石井「橋口!?どういうことだ!」
中谷「私も、助手に付きます」
橋口と中谷が来た。
江坂「よし、2人は液体窒素を準備」
石井「液体窒素だと?」
橋口「患者の許可は貰っています」
石井「わかった、液体窒素の準備を。」
石井「ちゃんと説明しなさい」
江坂「まず、腫瘍を液体窒素に直接当てる。これだと骨外に浸潤があっても大丈夫。浸した大腿骨は再建して元に戻す。」
橋口「…わかった。やるしかない」
中谷「はい!!」
江坂「メス」
右膝を開き、大腿骨をむき出しにする。
江坂「麻酔科医、タイマーを20分にセットして」
麻酔科医「わかった」
《20分後》
江坂「よし、あとは再建させるだけ」
橋口「モノポーラ」
石井「なんだあの女医は…」
麻酔科医「バイタル正常」
江坂「終了。お疲れ様」
全員「お疲れ様」
[水平線]
《病室》
まな「ここは…」
上原「東山さん、おはようございます」
まな「上原さん…」
江坂「手術は成功です。」
まな「さすが、噂通りですね江坂先生は」
江坂「どうも。けど、どうして当日まで隠してたんですか?」
まな「私が入院してると知られれば、絶対に面倒なことになっていました、それと…」
江坂「それと…?」
まなは封筒を江坂に渡した。
まな「こういうこと、やりにくくなるでしょ?」
江坂「こういうものは…ありがとうございます」
上原「東山さん…さすがに」
まな「内緒よ」
石井「この度、我が東帝大病院に、外科研修生がやってきます。皆さんよろしくお願いしますよ」
全員「御意!!」
江坂「どーも〜。」
石井「誰だ君は」
急に入ってきたその女に、全員がざわつく。
江坂「呼ばれたから来ました。」
石井「呼ばれた?ふっ…w こんな素性のわかんない医者を、東帝大病院が雇うのか?」
橋口「私が呼びました」
全員「えーっ!?」
石井「橋口君、どういうことかな?病院長の私も知りませんでしたよ」
橋口「江坂理紗先生は、以前は本浜松メディカルセンターにいらっしゃいました」
本浜松メディカルセンター・・・
その名を聞いて、全員は納得した。
石井「江坂理紗…先生だっけ?ようこそ、東帝大学病院に。病院長の石井です」
江坂「よろしく。では失礼します。」
橋口「おいちょっと待て!なんだいきなり!」
全員「そうだ!」
[中央寄せ]これは、一匹狼の女医の話である。[/中央寄せ]
橋口「あんな女、なぜ私らが預かるんだ…」
佐藤(教授)「まったくです」
外科医局は、江坂を良く思わなかった。
それもそのはず、大学病院という組織は金と権力のためには患者の命などをこれっぽっちも思わず、江坂のような「患者主義」な医者は嫌われるからだ。
[水平線]
《外科医局室》
上原「東帝大学外科研修生、上原です。本日から1週間、よろしくお願いします」
橋口「はいよろしく。」
外科研修生は全部で7人、それぞれに担当医が振り分けられる。
中谷(外科講師)「江坂先生。江坂先生」
江坂「えっ?…起こすなよ~…」
中谷「研修生来てるんですから。ほら」
江坂「あんた誰?」
上原「東帝大学外科研修生、上原です」
江坂「……まぁ、わかった。」
佐藤「あちゃー…あの子よりによって大ハズレ」
橋口「こりゃ長くは持たないな。」
《院長室》
石井「この、江坂という女、いったい何者だ。」
秘書「読み上げます」
[江坂理紗](えさか りさ)
帝国医療大学卒業
↓
帝国医療病院
↓
僻地医療従事
↓
フリーランス勤務
神戸医療センター、本浜松メディカルセンター
秘書「以上です」
石井「まぁ…有名病院を多く出てるわけだが、しかしまぁ…なんだかよくわからんね…」
[水平線]
《1週間後 カンファレンス》
橋口「1例目は、19歳女性です。この患者は骨外性軟骨肉腫、約8cmの腫瘍です。ちなみに、特患です。」
佐藤「8cm…ここまで大きくなっているのなら、大腿部の切断しかありませんね」
石井「うむ。」
江坂「反対です。」
橋口「何?」
江坂「切断すれば歩行障害が残ります。これは、AO療法がベストです。」
石井「何を大それたことを…」
石井が立ち上がる。
石井「東帝大学病院の特患の手術を、こんなフリーの外科医に任せられると思ってるのか!」
全員「そうだ!」
橋口「実は!」
橋口「この患者は、執刀医に江坂先生を指名しました」
石井「……なんだよ。」
中谷「ですが、骨外性軟骨肉腫は、内科治療という選択肢もありますが?」
石井「内科…」
石井「たしかに、内科治療は傷がなく安心安全」
江坂「何いってんの!?こんなデカい腫瘍、薬で根治は無理よ!」
佐藤「院長に対してなんだその口の利き方は!」
石井「連れ出せ!」
江坂「御意〜、言われなくても出てくよ。」
橋口「……。」
[水平線]
江坂「さて病室行くよー」
上原「あっ、はい!」
上原は半ば強引に連れて行かれた。
橋口「待て。」
江坂「何?入りたいんだけど」
橋口「あの特患は当日の朝、別の病院から搬送されてくる。この部屋は今、別の患者がいる。」
江坂「そう、わかった。」
2人は特別室から引き返した。
江坂「…?」
上原「あの…?」
江坂「あの人、見たことある。」
上原「東山さん…」
江坂「そうそう東山、なんかずいぶん怖いJR東海の人だよね」
上原「はい。あの方は、私の同級生なんです」
江坂「そうなんだ。挨拶してきたら?」
上原「はい!」
上原は患者に近づいた。
上原「久しぶりです、東山さん」
まな「上原さん…!! 久しぶりね。今日は健康診断で来たのよ」
2人は少し話した。
[水平線]
《手術当日》
江坂「中谷先生、助手たちは?」
中谷「それが…医局員全員に断られた。」
江坂「えっ!?」
すると、5人の男たちが入ってくる。
江坂「なんだ助手いるたくさんじゃん」
佐藤「私が執刀医だ。」
江坂「何言ってんの?」
佐藤「院長命令だ。」
上原「患者さん入ります」
ドアが開いた。
佐藤「これは…!!」
石井「な…なぜ!」
東山まなが、麻酔をかけて運ばれた。
石井「東山まなが患者だと…」
江坂「やっぱりね。中谷先生は第一助手。あんたはそこで見学」
中谷・上原「はい!」
江坂「これより、東山まなさんの…」
石井「待ちなさい!」
石井「患者が大物の人間だとわかったからには、君は指1本触れるな!撤退しろ!」
秘書「院長!この同意書が病室に!執刀医を、江坂にしろと…」
院長「…どうなんだ君たちは。」
佐藤「君が一人で執刀しなさい!いいか、責任は全て君にある。」
石井「それに、指名したのは患者だからな。」
5人は全員出ていった。
石井「江坂!撤退しろ!」
江坂「このまま撤退したら、この患者は3カ月以内に死ぬんだよ!」
石井「たわけ!手術ミスで殺すよりは遥かにマシだろっ!そして上原、お前もこの手術を手伝ったら、医者にさせないことも可能なんだぞ。」
上原「そんな…!!」
江坂「ほんとムカつく。私、失敗しないので」
石井「何…!!」
麻酔科医「どうすんの執刀医?」
江坂「麻酔科医とそこ、助手やって」
麻酔科医「はぁっ!? 無理に決まってるじゃん!」
江坂「やるしかないの!」
また、ドアが開いた。
石井「橋口!?どういうことだ!」
中谷「私も、助手に付きます」
橋口と中谷が来た。
江坂「よし、2人は液体窒素を準備」
石井「液体窒素だと?」
橋口「患者の許可は貰っています」
石井「わかった、液体窒素の準備を。」
石井「ちゃんと説明しなさい」
江坂「まず、腫瘍を液体窒素に直接当てる。これだと骨外に浸潤があっても大丈夫。浸した大腿骨は再建して元に戻す。」
橋口「…わかった。やるしかない」
中谷「はい!!」
江坂「メス」
右膝を開き、大腿骨をむき出しにする。
江坂「麻酔科医、タイマーを20分にセットして」
麻酔科医「わかった」
《20分後》
江坂「よし、あとは再建させるだけ」
橋口「モノポーラ」
石井「なんだあの女医は…」
麻酔科医「バイタル正常」
江坂「終了。お疲れ様」
全員「お疲れ様」
[水平線]
《病室》
まな「ここは…」
上原「東山さん、おはようございます」
まな「上原さん…」
江坂「手術は成功です。」
まな「さすが、噂通りですね江坂先生は」
江坂「どうも。けど、どうして当日まで隠してたんですか?」
まな「私が入院してると知られれば、絶対に面倒なことになっていました、それと…」
江坂「それと…?」
まなは封筒を江坂に渡した。
まな「こういうこと、やりにくくなるでしょ?」
江坂「こういうものは…ありがとうございます」
上原「東山さん…さすがに」
まな「内緒よ」
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