北陸の記憶
《2023年12月10日》
まな「懐かしいわ。」
[水平線]
《2011年12月10日 金沢駅》
まな(当時5歳)「お母さん…お母さん…」
両親と北陸へ旅行に来ていた。まなは気付いたら金沢駅で両親とはぐれてしまった。
他の客は、まなを見てかわいそうに思うだけ。
駅員「お嬢ちゃんどうした?」
まな「ひっく…ぐすっ……お母さんとお父さんがいなくなっちゃったよ…」
駅員「迷子なったかぁ…ホームは寒いから中行こうな。」
まな「うん…」
事務室に連れて行かれた。
駅員「お嬢ちゃんごめんな…まだ迷子の連絡が来てないから、富山まで行ってもらえるか?」
まな「お父さんとお母さんいるの?」
駅員「わかんないな…行けばわかる。富山行くにはな、青い電車に乗るんだ」
まな「うん…わかった」
富山・糸魚川・直江津に向かう列車が頻繁にやってくる金沢駅は客で溢れるため、金沢駅ではまなの対応に時間を割く暇はないのだ。
419系や475系はまるで、まなを嘲笑うかのような顔をしている。低いモーター音は、いっそう、まなの不安を煽る。
まな「あ、あの…」
車掌「どうしたの?」
まな「この電車、富山行きますか?」
車掌「…迷子の子か?うん、富山行くよ」
413系は急行列車のような座り心地だ。
国鉄は民営化した。しかし北陸には相変わらず、古い車両がほとんどだ。
車掌「ご乗車ありがとうございます。この列車は、富山・滑川・魚津方面、普通列車/糸魚川行きです。3両編成です。」
[水平線]
放送「富山、富山です。ご乗車ありがとうございした。6番乗り場から、普通/糸魚川行きが・・・」
まなは富山に着いた。
まな「あ、あの…」
駅員「?」
まな「お父さんとお母さん…いませんか…?」
駅員「迷子?悪いけどそんなこと聞いてないから、うちじゃ面倒見れんよ」
高圧的な駅員だ。まなは泣きそうになった。
金沢に戻ろう。まなはホームに出る。
時刻は16時過ぎ、寒さと空腹でやられそうだ。
まな「これかな?」
遅れていた、特急北越9号の新潟行きだ。
車掌「お嬢ちゃん、切符ある?」
まな「これ…?」
車掌「あぁ…これ乗車券だから乗れないよ…」
まな「はい…」
まなは、糸魚川方面のホームに来た。つまり、金沢とは真反対に行ってしまう。
次に来たのは、直江津行きだ。金沢駅でも見かけた419系だ。
419系は、寝台特急581系から、無理やり普通列車に改した車両で、車内は異様に高い天井と、薄暗い照明である。
疲れていたのか元・寝台特急列車の座席の影響か、東富山を出ると寝てしまった。
[水平線]
《直江津駅》
車掌(武田)「お嬢ちゃん起きんか、終点だい」
まな「ん〜…金沢駅?」
武田「何言うとる、直江津だ直江津」
まな「えっ?」
乗り間違えた。北陸本線の終点、直江津駅に着いてしまった。
駅員(伊藤)「どうした?」
武田「金沢行くはずが直江津来たんやって、事務室で預かってくれ」
伊藤「あぁ…さっき連絡あった。さぁお嬢ちゃん行こうな、もうちょっとでお父さんとお母さん来るからな」
まな「うん!」
事務室は暖かい。外の記憶は8℃だ。
伊藤「腹減ってたんやな、たくさん食べな」
出された海鮮弁当を食べ、暖かいお茶を飲む。
伊藤「富山駅の駅員がな、金沢とは逆の列車に乗ったお嬢ちゃんを見つけてくれたから、みんなもうすぐで来るからな」
まな「あ、ありがとうございます」
武田「おったおった。寒いなぁ」
伊藤「今夜は冷えるぞ〜。そうだ、あれやるか」
武田「おっ、やるか。久しぶりに」
まなもホームに連れて行かれた。
駅員は七輪と炭と食べ物を持ってきた。
伊藤「さぁやるか。」
武田「だな。」
七輪にホタテやエビを乗せて焼く。意外な光景にまなは興味津々だ。今なら大問題だが、古き良き日本の光景だ。
武田「うまいか?」
まな「美味しい!! 」
武田「お〜、よかった。ここに熱燗付けたらもっとうまいんだけどなぁ」
伊藤「何言うとるw 終わったらな」
放送「特急北越11号、福井行きが参ります」
485系3000番代がやってきた。
母「まな!」
まな「お母さん!」
出てきた両親に、まなは抱きついた。
母「ごめんなさいね…怖かったでしょ…」
父「娘がいろいろとご迷惑をおかけしました…」
伊藤「とにかく見つかってよかったですわ。お嬢ちゃんもえらいなぁ、ちゃんと迷子になったこと伝えてきたから」
父「そうですか…ありがとうございます」
母「まな、駅員さんたちにありがとう言うのよ」
まな「うん。ありがとうございました」
伊藤「おぅ、元気でな」
武田「いつでも来なよ」
みんなで写真を撮った。
3人は、敦賀行きの快速列車に乗って帰る。
クリーム色とあずき色の475系は、まなの気分をより暖かくさせた。
[水平線]
《2024年12月10日》
まな(当時18歳)「…武田さん…!! 」
あの人は今、何をしているのだろう?どこにいるのだろう?
まなは、会いたくなった。13年前、まなに親しくしてくれた記憶は覚えている。
まな「私、明日は直江津行ってくる!!」
母「明日…!?」
[水平線]
《直江津駅》
この13年で、北越本線はだいぶ変わった。
北陸新幹線が開業し延伸し、直江津から敦賀はJRとは別の会社に移管されてしまった。残りの敦賀から米原も、じきに消えるだろう。
まな「あの、すみません 」
駅員「はい、どうされました?」
まな「実は私、この人を探してるんです。」
駅員「…武田か…!? こいつは武田だ」
まな「はい、武田さんをご存じなんですか!?」
駅員「覚えてるよ、13年前に武田と、1人の女の子を世話した覚えがある」
まな「実はそれ、私なんです」
駅員「君か!?」
まな「じゃああなたは…」
駅員「伊藤だよ!! ほら、一緒にホームで飯食ったの覚えてるか?」
まな「もちろん!! それで、武田さんはどこに?」
伊藤「あいつならこの近くに住んでるから、行くぞ」
2人は、直江津市内に車で出た。
武田「はい。伊藤じゃないか、その人は?」
伊藤「迷子だったあの子だよ、覚えてるだろ?」
武田「…あぁ!! 君だったか、さぁ中入りな」
こうして3人は、再び13年前の記憶を開けた。
伊藤「もう61になったな。お嬢ちゃんは?」
まな「今年で18です」
武田「もう18かぁ、こんなに小さかったお嬢ちゃんが、よぅ大きくなったなぁ」
武田「そうだ、あれやるか」
伊藤「だな、久しぶりにお嬢ちゃんが来たし。」
武田は、バーベキューコンロと炭を出した。
冷蔵庫からホタテやエビを持ってくる。
まな「懐かしいですね」
3人はあの頃と同じように、少し食材の増えたバーベキューを楽しんだ。
まな「懐かしいわ。」
[水平線]
《2011年12月10日 金沢駅》
まな(当時5歳)「お母さん…お母さん…」
両親と北陸へ旅行に来ていた。まなは気付いたら金沢駅で両親とはぐれてしまった。
他の客は、まなを見てかわいそうに思うだけ。
駅員「お嬢ちゃんどうした?」
まな「ひっく…ぐすっ……お母さんとお父さんがいなくなっちゃったよ…」
駅員「迷子なったかぁ…ホームは寒いから中行こうな。」
まな「うん…」
事務室に連れて行かれた。
駅員「お嬢ちゃんごめんな…まだ迷子の連絡が来てないから、富山まで行ってもらえるか?」
まな「お父さんとお母さんいるの?」
駅員「わかんないな…行けばわかる。富山行くにはな、青い電車に乗るんだ」
まな「うん…わかった」
富山・糸魚川・直江津に向かう列車が頻繁にやってくる金沢駅は客で溢れるため、金沢駅ではまなの対応に時間を割く暇はないのだ。
419系や475系はまるで、まなを嘲笑うかのような顔をしている。低いモーター音は、いっそう、まなの不安を煽る。
まな「あ、あの…」
車掌「どうしたの?」
まな「この電車、富山行きますか?」
車掌「…迷子の子か?うん、富山行くよ」
413系は急行列車のような座り心地だ。
国鉄は民営化した。しかし北陸には相変わらず、古い車両がほとんどだ。
車掌「ご乗車ありがとうございます。この列車は、富山・滑川・魚津方面、普通列車/糸魚川行きです。3両編成です。」
[水平線]
放送「富山、富山です。ご乗車ありがとうございした。6番乗り場から、普通/糸魚川行きが・・・」
まなは富山に着いた。
まな「あ、あの…」
駅員「?」
まな「お父さんとお母さん…いませんか…?」
駅員「迷子?悪いけどそんなこと聞いてないから、うちじゃ面倒見れんよ」
高圧的な駅員だ。まなは泣きそうになった。
金沢に戻ろう。まなはホームに出る。
時刻は16時過ぎ、寒さと空腹でやられそうだ。
まな「これかな?」
遅れていた、特急北越9号の新潟行きだ。
車掌「お嬢ちゃん、切符ある?」
まな「これ…?」
車掌「あぁ…これ乗車券だから乗れないよ…」
まな「はい…」
まなは、糸魚川方面のホームに来た。つまり、金沢とは真反対に行ってしまう。
次に来たのは、直江津行きだ。金沢駅でも見かけた419系だ。
419系は、寝台特急581系から、無理やり普通列車に改した車両で、車内は異様に高い天井と、薄暗い照明である。
疲れていたのか元・寝台特急列車の座席の影響か、東富山を出ると寝てしまった。
[水平線]
《直江津駅》
車掌(武田)「お嬢ちゃん起きんか、終点だい」
まな「ん〜…金沢駅?」
武田「何言うとる、直江津だ直江津」
まな「えっ?」
乗り間違えた。北陸本線の終点、直江津駅に着いてしまった。
駅員(伊藤)「どうした?」
武田「金沢行くはずが直江津来たんやって、事務室で預かってくれ」
伊藤「あぁ…さっき連絡あった。さぁお嬢ちゃん行こうな、もうちょっとでお父さんとお母さん来るからな」
まな「うん!」
事務室は暖かい。外の記憶は8℃だ。
伊藤「腹減ってたんやな、たくさん食べな」
出された海鮮弁当を食べ、暖かいお茶を飲む。
伊藤「富山駅の駅員がな、金沢とは逆の列車に乗ったお嬢ちゃんを見つけてくれたから、みんなもうすぐで来るからな」
まな「あ、ありがとうございます」
武田「おったおった。寒いなぁ」
伊藤「今夜は冷えるぞ〜。そうだ、あれやるか」
武田「おっ、やるか。久しぶりに」
まなもホームに連れて行かれた。
駅員は七輪と炭と食べ物を持ってきた。
伊藤「さぁやるか。」
武田「だな。」
七輪にホタテやエビを乗せて焼く。意外な光景にまなは興味津々だ。今なら大問題だが、古き良き日本の光景だ。
武田「うまいか?」
まな「美味しい!! 」
武田「お〜、よかった。ここに熱燗付けたらもっとうまいんだけどなぁ」
伊藤「何言うとるw 終わったらな」
放送「特急北越11号、福井行きが参ります」
485系3000番代がやってきた。
母「まな!」
まな「お母さん!」
出てきた両親に、まなは抱きついた。
母「ごめんなさいね…怖かったでしょ…」
父「娘がいろいろとご迷惑をおかけしました…」
伊藤「とにかく見つかってよかったですわ。お嬢ちゃんもえらいなぁ、ちゃんと迷子になったこと伝えてきたから」
父「そうですか…ありがとうございます」
母「まな、駅員さんたちにありがとう言うのよ」
まな「うん。ありがとうございました」
伊藤「おぅ、元気でな」
武田「いつでも来なよ」
みんなで写真を撮った。
3人は、敦賀行きの快速列車に乗って帰る。
クリーム色とあずき色の475系は、まなの気分をより暖かくさせた。
[水平線]
《2024年12月10日》
まな(当時18歳)「…武田さん…!! 」
あの人は今、何をしているのだろう?どこにいるのだろう?
まなは、会いたくなった。13年前、まなに親しくしてくれた記憶は覚えている。
まな「私、明日は直江津行ってくる!!」
母「明日…!?」
[水平線]
《直江津駅》
この13年で、北越本線はだいぶ変わった。
北陸新幹線が開業し延伸し、直江津から敦賀はJRとは別の会社に移管されてしまった。残りの敦賀から米原も、じきに消えるだろう。
まな「あの、すみません 」
駅員「はい、どうされました?」
まな「実は私、この人を探してるんです。」
駅員「…武田か…!? こいつは武田だ」
まな「はい、武田さんをご存じなんですか!?」
駅員「覚えてるよ、13年前に武田と、1人の女の子を世話した覚えがある」
まな「実はそれ、私なんです」
駅員「君か!?」
まな「じゃああなたは…」
駅員「伊藤だよ!! ほら、一緒にホームで飯食ったの覚えてるか?」
まな「もちろん!! それで、武田さんはどこに?」
伊藤「あいつならこの近くに住んでるから、行くぞ」
2人は、直江津市内に車で出た。
武田「はい。伊藤じゃないか、その人は?」
伊藤「迷子だったあの子だよ、覚えてるだろ?」
武田「…あぁ!! 君だったか、さぁ中入りな」
こうして3人は、再び13年前の記憶を開けた。
伊藤「もう61になったな。お嬢ちゃんは?」
まな「今年で18です」
武田「もう18かぁ、こんなに小さかったお嬢ちゃんが、よぅ大きくなったなぁ」
武田「そうだ、あれやるか」
伊藤「だな、久しぶりにお嬢ちゃんが来たし。」
武田は、バーベキューコンロと炭を出した。
冷蔵庫からホタテやエビを持ってくる。
まな「懐かしいですね」
3人はあの頃と同じように、少し食材の増えたバーベキューを楽しんだ。
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