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初めて書いたのであたたかい目で読んでくださると嬉しいです。
モノクロの夢の中で
#1
第1章 喫茶店の夢路
「んっ」
突然頭痛に襲われて私は目を開けた
あたりを見渡すと、ここが現実じゃないことにすぐ気がついた
きっと私は夢を見ているんだ
いつ、どこで寝たのかは覚えていないが、これが夢じゃないはずがない
あたりは白黒で、昔一度だけ見た白黒の写真を連想させた
夢ならもう少し楽しげな世界が良かったな、と考えながらあたりを見渡すと、
遠くに何かがあることに気がついた
思ったより遠かったがようやく辿り着いた
「喫茶店?」
あまりにも馴染みのない建物に驚いたが、外は寒いので入ることにした
喫茶店の中は暖かくて、外とは大違いだった
先客が何人かいるようだが、全員見たことない顔だった
夢の中で出会う人物は以前どこかで会ったことがある人だと、
どこかで聞いたような気がするが、あいにく店にいる3人の顔に見覚えはなかった
先客の正体を知りたくなったが、ひとまず席につくことにした
先客の彼女たちに話しかけるべきか悩んでいたが、その必要はなくなった
『こんばんは!』
「!?」
入口付近に座っていた客が私に手を振って話かけてきたのだ
「えっと、どこかでお会いしまいましたっけ?」
『ん?』
『見ない顔だね』
『そこ座っていいよ!』
「へ?」
『君のこと知りたいな!』
『さて!』
『僕オモテっていうんだ!』
『君は、きっとこのカフェに来るのは初めてだよね?』
「あっ、はい」
『そんな堅苦しくしないでよー!』
初対面なのにここまで馴れ馴れしく話しかけてこられると、
私が忘れたのではないかと心配になる
もしくは、この世界では誰彼かまわず話しかけるのが普通なのでは?
どうせ夢なのだからもっと楽しむべきだと、
自分自身を説得して彼女に調子を合わせることにした
「えっと、私この世界に来たばかりで色々と…」
『あっ、そうだったの』
『んじゃもっと見て回るべきだと思うよ!』
『ここにはカフェ以外にも色々あるんだよ!』
「そうなんですか?私が来た時には何も…」
ふと窓の外を見ると、確かに色々な建物が見える
まあ夢だしそんなものか、と勝手に納得し、オモテの言う通り少し見て回ることにした
入口から出ようとしたが、よくよく思い出すと
喫茶店の中もろくに見ていなかったと思い、他の先客とも話すことにした
「こんばんは」
[太字]『…』[/太字]
「あの…」
[太字]『あれ?』[/太字]
[太字]『あなたの顔は見たことありませんね』[/太字]
「私この世界に来たばかりで、あまりよくわかってないんです」
「だからみなさんと話そうと思って…」
[太字]『え?』[/太字]
[太字]『…わかりましたよ、そこに座ってください』[/太字]
ひとまず席に座るが、相手は本を読んでいてこちらには興味などないようだ
みんながみんなオモテのようにフレンドリーではない、
と今更知ることになったがとりあえず話しかけてみることにした
「あの、お名前はなんていうんですか?」
[太字]『…普通自分から名乗るのが礼儀というものでは?』[/太字]
確かに彼女の言う通りだ、先に自分の名前を言おう
しかし…
「あれ?」
どうしても自分の名前を思い出せない
自分の大切な名前が、まるで最初からなかったかのように記憶から消えてしまった
[太字]『…ウラ』[/太字]
「はい?」
[太字]『私の名前ですよ』[/太字]
「ウラさん」
失礼かもしれないが、あまりにも名前らしくない言葉が出てきたので驚いてしまった
もしかしたら本名ではないのでは?
みんな名前を忘れてしまっていて、自分で新しく付け直したとしたら筋が通る
なら自分も新しい名前をつけるべきか?
一方ウラさんはまた本に視線を戻し、黙ってしまった
でもおかげで少し考える時間ができそうだ
よく考えればこの夢は初めからおかしい
夢の世界なのに寒いとか、暖かいとか、そういうものが存在する
それにここの住人たちも、
出会ったことないはずなのにどこか安心する
これは普通の夢ではないのか?
でも逆に普通じゃない夢とはなんだ?
色々と思考をめぐらせてみるが余計わからなくなるばかりでさっぱりだ
[太字]『もしもし?』[/太字]
「あっ」
突然、ウラさんに呼びかけられて思考がストップしてしまった
[太字]『他の人と話したらどうですか?』[/太字]
「そうですよね!また後で!」
[太字]『…』[/太字]
確か[漢字]喫茶店[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]にはもう1人いたはずだ
店内を見渡すと、反対側の端に誰か座っている
「こんにちは」
[太字][斜体]「誰ですか?」[/斜体][/太字]
「今、[漢字]喫茶店[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]の人たちに話して回ってるんです」
[太字][斜体]「私と話がしたい?」[/斜体][/太字]
「そうなんです」
[太字][斜体]「まあ、せっかくここに来て何もしないのももったいないですからね」[/斜体][/太字]
[太字][斜体]「お話ししましょう!」[/斜体][/太字]
[太字][斜体]「私アオっていうんですよ」[/斜体][/太字]
「素敵なお名前ですね」
[太字][斜体]「そうですかね?」[/斜体][/太字]
アオはあからさまに嬉しそうな顔をして[漢字]謙遜[/漢字][ふりがな]けんそん[/ふりがな]した
[太字][斜体]「そういえば」[/斜体][/太字]
[太字][斜体]「入口のあの子見ました?」[/斜体][/太字]
「え?」
[太字][斜体]「カフェに入りたいらしいけど、お金ないらしいですよ」[/斜体][/太字]
入口の方を見ると、降りしきる雪の中に誰か立っていた
[太字][斜体]「私もなにかしてあげたいけど…」[/斜体][/太字]
「…」
[太字][斜体]「そうだ、君の名前聞いてなかった」[/斜体][/太字]
「あっ、私…」
[太字][斜体]「名前覚えてないの?」[/斜体][/太字]
「なんでわかったんですか?」
[太字][斜体]「たまにいますよね」[/斜体][/太字]
[太字][斜体]「でも私はずっとアオだし」[/斜体][/太字]
「新しく考えようかなと思ってるんですけど」
[太字][斜体]「ないならいいんじゃないですか?」[/斜体][/太字]
「え?」
[太字][斜体]「あっ、ほら!考えるのめんどくさいじゃん?」[/斜体][/太字]
「アオさんがそういうならいいのかもしれないですかね」
[太字][斜体]「でしょ?」[/斜体][/太字]
[太字][斜体]「そうだ、他の人と話さなくていいんですか?」[/斜体][/太字]
「あっ」
[太字][斜体]「[漢字]喫茶店[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]以外にも色々ありますしね」[/斜体][/太字]
「そうですね」