孤城のアリス
#1
第一章 序話 エルザ・アリスとリシュル
どこもかしこも洗練されたアンティークの家具、どこか可愛らしい花の刺繍が施されたテーブルクロス。
これは、どこからも隔離された天空の城、アリス城の中にある、エルザ・アリスの部屋だった。
「エルザ様、床掃除終わりました。ただいま着替えてきますね」
「ありがとう、リシュル。着替えたら、紅茶を用意してもらえませんか?」
「もちろんです!」
エルザ・アリス、ウェーブがかかった腰辺りまでに伸びた金髪が特徴的で、バラ色の頬をした少女だ。そのエルザに仕えるのが、くるんとした短めの黒髪に、すらっとした背丈のリシュルだった。
このアリス城では、マザー・アリスを母としたたくさんの少女たちが住んでおり、それらに仕えるメイドや、料理人、農家や娯楽となる本を書く執筆家など、たくさんの人物が暮らしている。
その中で、自由に暮らし、豊かで想像力溢れる少女になることを目指していた。
[斜体]カチャカチャカチャ[/斜体]
茶器の揺れる音がしている。その音に気が付いたエルザは、顔をひそめた。
「リシュル、豊かで想像力溢れる少女を目指すのなら、最低限のマナーがないとなのです。メイドのあなたもなのですよ」
「あっ。すみません。気をつけます」
リシュルが顔を伏せると、エルザは顔をパッと明るくして言った。
「気に病む必要はありません。これから直していけばよいのですから」
「はい」
その言葉で顔を明るくしたリシュルは、カップに紅茶をそそいだ。湯気がもわぁっと立ち込めるとともに、華やかな香りも立ち込めてきた。
「いい香りですね。これはなんの紅茶でしょうか?」
「アールグレイだそうです。この香りは、ベルガモットという柑橘類によってつけられているんです」
エルザは、驚いた顔で言った。
「詳しいんですね」
「はい。いつどこでだれに教わったのかとかは全く覚えていないのですがなんとなく頭の中に入っていました」
「でも知識が全くの無駄になるなんてことないのですから、いいと思いますよ」
「そうですね!」
エルザは、ウサギの絵が描かれた可愛らしいカップを手に取り、アールグレイを口に運んだ。その美しい所作に、リシュルはうっかり見惚れてしまった。
(こんなに美しい所作があるんですね……。私はこんな人のメイドということを誇りにしないと)
その視線に気が付いたエルザは、そっとリシュルの方を見た。
「リシュル、どうかしましたか?」
「いえ、なんでもございません」
だが、エルザは、リシュルを心配そうに見上げた。そこで、エルザは手をぽんっと打って言った。
「ねえ、せっかくですから、リシュルも紅茶、飲みませんか?」
「っ!? ですが、私はメイドで……」
「主の私が言っているのですから。ほら、席について」
リシュルは、エルザに座らされ、紅茶を出された。」
(メイドの私がこんなことやっていいはずがないのに……。けど、エルザ様が誘ってくださったんだから……)
リシュルは、一口、紅茶を口に含んだ。
「!? 美味しいですね! 初めて飲みました、紅茶」
「そうだったんですね。せっかくの機会ですから、もっと飲んでくださいね」
こうして、エルザとリシュルは、束の間のひと時を楽しんだ。
これは、どこからも隔離された天空の城、アリス城の中にある、エルザ・アリスの部屋だった。
「エルザ様、床掃除終わりました。ただいま着替えてきますね」
「ありがとう、リシュル。着替えたら、紅茶を用意してもらえませんか?」
「もちろんです!」
エルザ・アリス、ウェーブがかかった腰辺りまでに伸びた金髪が特徴的で、バラ色の頬をした少女だ。そのエルザに仕えるのが、くるんとした短めの黒髪に、すらっとした背丈のリシュルだった。
このアリス城では、マザー・アリスを母としたたくさんの少女たちが住んでおり、それらに仕えるメイドや、料理人、農家や娯楽となる本を書く執筆家など、たくさんの人物が暮らしている。
その中で、自由に暮らし、豊かで想像力溢れる少女になることを目指していた。
[斜体]カチャカチャカチャ[/斜体]
茶器の揺れる音がしている。その音に気が付いたエルザは、顔をひそめた。
「リシュル、豊かで想像力溢れる少女を目指すのなら、最低限のマナーがないとなのです。メイドのあなたもなのですよ」
「あっ。すみません。気をつけます」
リシュルが顔を伏せると、エルザは顔をパッと明るくして言った。
「気に病む必要はありません。これから直していけばよいのですから」
「はい」
その言葉で顔を明るくしたリシュルは、カップに紅茶をそそいだ。湯気がもわぁっと立ち込めるとともに、華やかな香りも立ち込めてきた。
「いい香りですね。これはなんの紅茶でしょうか?」
「アールグレイだそうです。この香りは、ベルガモットという柑橘類によってつけられているんです」
エルザは、驚いた顔で言った。
「詳しいんですね」
「はい。いつどこでだれに教わったのかとかは全く覚えていないのですがなんとなく頭の中に入っていました」
「でも知識が全くの無駄になるなんてことないのですから、いいと思いますよ」
「そうですね!」
エルザは、ウサギの絵が描かれた可愛らしいカップを手に取り、アールグレイを口に運んだ。その美しい所作に、リシュルはうっかり見惚れてしまった。
(こんなに美しい所作があるんですね……。私はこんな人のメイドということを誇りにしないと)
その視線に気が付いたエルザは、そっとリシュルの方を見た。
「リシュル、どうかしましたか?」
「いえ、なんでもございません」
だが、エルザは、リシュルを心配そうに見上げた。そこで、エルザは手をぽんっと打って言った。
「ねえ、せっかくですから、リシュルも紅茶、飲みませんか?」
「っ!? ですが、私はメイドで……」
「主の私が言っているのですから。ほら、席について」
リシュルは、エルザに座らされ、紅茶を出された。」
(メイドの私がこんなことやっていいはずがないのに……。けど、エルザ様が誘ってくださったんだから……)
リシュルは、一口、紅茶を口に含んだ。
「!? 美味しいですね! 初めて飲みました、紅茶」
「そうだったんですね。せっかくの機会ですから、もっと飲んでくださいね」
こうして、エルザとリシュルは、束の間のひと時を楽しんだ。