[明朝体]〈第2章〉
「おっはよー。お、朔也。なんか今日早いね?羽奏と喋りたいから?」
「そんなんじゃねえし。たまたま早く起きれたんだよ!」
「へぇ・・。珍しい!」
今日も虹橋中学校の教室のすみで、恋バナが行われていた。
「てか、まだ諦めてないん?」
「うん。諦めるつもりはないから。」
「よかった。」
「なにが?」
御門は、いつになっても恋を諦めようとしない。そんな姿に、莉子は願いを叶えられるかもしれないと安心していた。その時、教室のドアが開き、またまたみんなの目を奪った。
「おはようございます・・・。」
羽奏だ。今日もいつもと同じように、華麗な姿で教室に入ってきた。そして、いつもと同じようにみんながじっと見つめる。しかし御門は、じっと見つめたまま動かなかった。
「朔也。何固まってんの?」
「え?いつもと違うから。」
いつもと違うと言う御門に莉子は、意味がわからなく、首を傾げて問いかけた。
「は?同じだけどどうしたの・・?」
「えっ?違うよ。いつもと違う。髪の色が違う。少し緑がかってる。いつも紺色なのに」
「紺色ー?朔也それほんと?」
莉子は、羽奏をじっと見つめたが、少し立ってもよくわかっていなかった。そこへ、陽向が来た。
「あー、確かに。言われてみれば違う気もする。でも、普通気が付かない。」
「いや、気づくし。」
「えーー、言われてもわからないんだけど。朔也、そんな細かいとこまで見てんの?きも」
「はーーー!?なんだよ。別に普通に気がつくって!」
そんな会話をしていると、荷物の整理をしていた羽奏がピタッと手を止めて、いきなり方向転換してきた。3人で目を合わせていると、羽奏はどんどんとこっちへ来た。そして、こんな事を言った。
「あの・・・。御門くん、髪の毛の色気付いたの?」
「えッ!?お、俺!?えっ、あっーっと・・えっとぉ」
「ほら御門!チャンス!」
莉子がこそっと声をかけ、御門の背中を思いっきり肘打ちした。すると、御門は顔をしっかりとさせた。
「あー。いつも紺色なのに、少し緑がかってるなって思った。ごめんね、きもいよね」
「えっ?ううん・・・。誰にも気づいてもらったことなかったから、嬉しい。ありがとう」
それだけ言うと、羽奏は自分の席に戻って、また荷物の整理を始めた。そんな場面に、御門は目を点にさせていたが、途中で首を振った。
「え! まって、俺。かっこええ男っぽくなかった?今!!」
「は?いや、そういう事言うからチャラ男って言われるんだよ。」
「あ、すみませーん・・」
御門は、すみませんと言いながらも、嬉しそうに笑った。
「おーい、授業始まるからみんな席つけー。」
「よろしくお願いしまーす」
「はい、じゃあ今日は1ヶ月後の修学旅行の、班決めをしなければいけない。どうやって決定するか、案があるやつはいるかー?」
虹橋中学校では、6月に修学旅行がある。でも、まだ話は何も進んでいないのだ。その時、羽奏がすっと手を上げた。
「じゃあ、如月。」
「はい。えっと、3日間くらい日にちをとって、その間に自由に一緒になりたい人を誘うというのはどうでしょうか・・?」
「なるほど。賛成の人は手を上げろー。」
先生が声がけをすると、羽奏の案にみんな手を上げ賛成していた。
「じゃあ、行動班と生活班があるが、生活班は男女別6人。行動班は男女混合6人でくんでくれ。くれぐれも仲間はずれといじめがないように。」
*中休み・・・*
2時間目の授業が終わると、早速莉子が陽向を誘って御門のところへ行った。
「ねえ!朔也。行動班、うちらで組まない?」
莉子は、陽向と御門の肩を掴んで、そう言った。
「うん。全然いいよ。俺はどうせ誰にも誘われないし・・。ただ・・」
「あー・・。言いたいこと分かるよ」
3人共ため息を付くと、教室の真ん中を見た。そこには、羽奏に周りの女子と男子がたかっている光景があった。
「如月・・・。一緒に組めたら夢だけどなー。」
羽奏は、みんなに一緒の班にしようと誘われている。そんな羽奏は誰でもいいよと笑顔で答えるのだ。御門は、そんな光景を見て忽然とするだけだ。
「・・・。無理だ。あんなの」
「えー?あんた、たまには勇気出して誘いに行きなさいよ。」
「そうそう。見てて面白いから。もっと楽しませてよね。」
シュンとしている御門に、莉子と陽向は前向きな声を掛ける。しかし、御門は結局諦めてしまった。
「あ!ごめん。私、うさぎ小屋のお掃除当番あるから、昼休みね。」
その時、周りに囲まれている羽奏が当番を理由に教室を出ていこうとしていた。しかし、周りの子がそれを止めようとしていた。
「あ、まって羽奏ちゃん。掃除当番なんて、羽奏ちゃんには似合わない。可愛そうよ。だから、代わりに誰かがやってあげるの。羽奏ちゃんはここにいるのがお仕事なの!誰かやってくれる人!」
「でも・・。」
「いいのいいの。」
一人の女の子が変なことを言い出したが、掃除当番を変わってくれる人なんて、誰ひとりいなかった。それはそうだ、みんな羽奏と喋りたいと思っている。教室が静まり返ると、一人
の男子がもっとわけのわからないことを言い出した。
「じゃあ、教室の隅にいる・・・。そうだ。暇そうだし、御門行ってきて。用ないでしょ」
「えっ・・。俺は・・!ていうか、教室の隅って、陽向とか莉子もいるけど?」
「御門はいつも誰かに迷惑かけてるんだから、少しくらい働いたほうがいいって。」
「・・・・。わかったよ・・。」
「・・・朔也・・。なにか言い返したらいいんじゃないの?それでいいの・・?」
莉子はそう言ったが、朔也は軽く頷いて教室を出ていった。
「じゃあ、羽奏ちゃん!掃除当番は気にしなくていいから、班、一緒にし・・」
「ねえ、そうはいかないでしょ?どうしてやらせるの・・?」
何事もなかったかのように話し始めた女子に、羽奏はひどく怖い顔をした。
「えっ?だって、羽奏ちゃんはいつも御門のこと手伝ってんだから、御門にやらせちゃえばいいじゃん・・。恩返しみた・・」
「それっていじめだよね?私はやりたいからやってるだけであって、御門くん、やりたいなんて言ってた?無理やりだよね。」
「それは・・・。」
女子が黙り込み、周りの空気が重くなった頃、羽奏は急にドアを開けて教室を出て行った。周りの男女は、その場で固まっていた。莉子と陽向は、お互い顔を合わせた。
「御門くん!」
教室を出て行った羽奏は、廊下を歩いていた御門を追いかけて、声をかけた。
「えっ・・。あれ、如月?どうしたの?班決めは・・。」
「班決めなんてどうでもいいよ!ごめんね、やらせちゃって・・・。私の仕事なのに・・・。」
息切れした羽奏は、御門に頭を下げて謝った。御門は、少し緊張気味で声を掛ける。
「えっ・・?なんだ、そんなことか。いいよ別に。よくあることだし。俺が、何も言わないから悪いんだ・・」
「そんなことないよ。ほんとにごめん・・。あ!私がやるから御門くんは帰っていいよ」
「ううん。俺もやるよ。どうせここまで来たんだから。」
「えっ?いいっていいって!」
「いや、やるから、ほら。早くやろう。」
そんな言葉に、羽奏は申し訳無さそうにしていたが、少しありがたそうにおじぎをすると、2人で掃除用具を取り出した。掃除が始まってから少し経つと、羽奏は話しだした。
「ここにいる、真っ白いうさぎ。可愛いよね。」
「え・・。あー、うん。そうだね。」
しかし、2つの言葉だけで会話は終わってしまった。何か話さなければ。御門はそんな事を考えていたが、今度は羽奏が違う話をした。
「ねえ、御門くんと、莉子ちゃんと、陽向くんはさ。仲良しなの?」
「え・・。陽向は、最近ちょっと仲良くなった。莉子は、なんていうか・・お助け役!」
「へぇー・・。いいね。仲良しって」
羽奏は、ほうきを持っていた手を止めて、下を向いた。
「え?どういうこと。如月は仲良しなんて、いくらでもいるじゃん。」
「・・・・いないよ。あれは、ただの偽りの友達だもん。あ!それよりも。御門くんたちはさ、教室の隅っこでお話してたけど、みんなが私のこと誘ってるの見て、どう思った?」少し変わった質問に、御門は困って黙り込んでしまった。それに感づいた羽奏は、なぜか笑いだした。
「別にいいんだよ?適当で。だって、3人は私のことを誘いに来なかったから、不思議だなって思っただけだよ。人間はさ、ああやって、他の友達を犠牲にしてまで自分の意見を押し通すくせがあるよね。私は、嫌なんだ。でも、3人は違うなって・・。よくわからないかも。意味わからないこと言って、ごめん。」
キーンコーンカーンコーン
なんだか重たい空気が漂ったとき、中休み終了のチャイムが鳴った。チャイムを聞いた羽奏は、掃除用具を棚の中にしまった。しゃがみ込むと、うさぎの背中を優しくなでて言った。
「うさぎって、どうしてこんなに可愛いのかな。・・・3人共、見たことないタイプの人たち。面白いね。そろそろ、終わりの時間だ。ありがとう、手伝ってくれて。」
「え・・あ、えっと」
そう言うと、羽奏は立ち上がって帰ろうとした。そんな羽奏の姿を見た御門は、いきなり羽奏の手首を掴んだ。
「如月!ちょっとまって。」
その声に、羽奏は御門の方を向いた。
「御門くん?どうしたの?」
「あー・・。えっと・・。あの!修学旅行の、行動班・・。俺等と、組まない・・?ほんとに、嫌だったらいいんだ・・。」
御門が、少し照れくさそうに右を向くと、羽奏はさっきまで薄暗く、悲しそうだった顔が一気にぱっと明るくなった。
「え!?いいのっ?」
「え、あ、うん・・!もちろん。逆にいいの?俺なんかがいるけど。それに、如月が誘われてた女子たちは・・」
「御門くんがいるからなに?楽しそうな班でしょ。それと、あの人達は、もう断ろうと思ってた。友達を犠牲にするなんて、最低でしょ?そんな人とはなりたくないよ。」
御門は、大きく頷くと、2人でうさぎ小屋を去っていった。
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「おっはよー。お、朔也。なんか今日早いね?羽奏と喋りたいから?」
「そんなんじゃねえし。たまたま早く起きれたんだよ!」
「へぇ・・。珍しい!」
今日も虹橋中学校の教室のすみで、恋バナが行われていた。
「てか、まだ諦めてないん?」
「うん。諦めるつもりはないから。」
「よかった。」
「なにが?」
御門は、いつになっても恋を諦めようとしない。そんな姿に、莉子は願いを叶えられるかもしれないと安心していた。その時、教室のドアが開き、またまたみんなの目を奪った。
「おはようございます・・・。」
羽奏だ。今日もいつもと同じように、華麗な姿で教室に入ってきた。そして、いつもと同じようにみんながじっと見つめる。しかし御門は、じっと見つめたまま動かなかった。
「朔也。何固まってんの?」
「え?いつもと違うから。」
いつもと違うと言う御門に莉子は、意味がわからなく、首を傾げて問いかけた。
「は?同じだけどどうしたの・・?」
「えっ?違うよ。いつもと違う。髪の色が違う。少し緑がかってる。いつも紺色なのに」
「紺色ー?朔也それほんと?」
莉子は、羽奏をじっと見つめたが、少し立ってもよくわかっていなかった。そこへ、陽向が来た。
「あー、確かに。言われてみれば違う気もする。でも、普通気が付かない。」
「いや、気づくし。」
「えーー、言われてもわからないんだけど。朔也、そんな細かいとこまで見てんの?きも」
「はーーー!?なんだよ。別に普通に気がつくって!」
そんな会話をしていると、荷物の整理をしていた羽奏がピタッと手を止めて、いきなり方向転換してきた。3人で目を合わせていると、羽奏はどんどんとこっちへ来た。そして、こんな事を言った。
「あの・・・。御門くん、髪の毛の色気付いたの?」
「えッ!?お、俺!?えっ、あっーっと・・えっとぉ」
「ほら御門!チャンス!」
莉子がこそっと声をかけ、御門の背中を思いっきり肘打ちした。すると、御門は顔をしっかりとさせた。
「あー。いつも紺色なのに、少し緑がかってるなって思った。ごめんね、きもいよね」
「えっ?ううん・・・。誰にも気づいてもらったことなかったから、嬉しい。ありがとう」
それだけ言うと、羽奏は自分の席に戻って、また荷物の整理を始めた。そんな場面に、御門は目を点にさせていたが、途中で首を振った。
「え! まって、俺。かっこええ男っぽくなかった?今!!」
「は?いや、そういう事言うからチャラ男って言われるんだよ。」
「あ、すみませーん・・」
御門は、すみませんと言いながらも、嬉しそうに笑った。
「おーい、授業始まるからみんな席つけー。」
「よろしくお願いしまーす」
「はい、じゃあ今日は1ヶ月後の修学旅行の、班決めをしなければいけない。どうやって決定するか、案があるやつはいるかー?」
虹橋中学校では、6月に修学旅行がある。でも、まだ話は何も進んでいないのだ。その時、羽奏がすっと手を上げた。
「じゃあ、如月。」
「はい。えっと、3日間くらい日にちをとって、その間に自由に一緒になりたい人を誘うというのはどうでしょうか・・?」
「なるほど。賛成の人は手を上げろー。」
先生が声がけをすると、羽奏の案にみんな手を上げ賛成していた。
「じゃあ、行動班と生活班があるが、生活班は男女別6人。行動班は男女混合6人でくんでくれ。くれぐれも仲間はずれといじめがないように。」
*中休み・・・*
2時間目の授業が終わると、早速莉子が陽向を誘って御門のところへ行った。
「ねえ!朔也。行動班、うちらで組まない?」
莉子は、陽向と御門の肩を掴んで、そう言った。
「うん。全然いいよ。俺はどうせ誰にも誘われないし・・。ただ・・」
「あー・・。言いたいこと分かるよ」
3人共ため息を付くと、教室の真ん中を見た。そこには、羽奏に周りの女子と男子がたかっている光景があった。
「如月・・・。一緒に組めたら夢だけどなー。」
羽奏は、みんなに一緒の班にしようと誘われている。そんな羽奏は誰でもいいよと笑顔で答えるのだ。御門は、そんな光景を見て忽然とするだけだ。
「・・・。無理だ。あんなの」
「えー?あんた、たまには勇気出して誘いに行きなさいよ。」
「そうそう。見てて面白いから。もっと楽しませてよね。」
シュンとしている御門に、莉子と陽向は前向きな声を掛ける。しかし、御門は結局諦めてしまった。
「あ!ごめん。私、うさぎ小屋のお掃除当番あるから、昼休みね。」
その時、周りに囲まれている羽奏が当番を理由に教室を出ていこうとしていた。しかし、周りの子がそれを止めようとしていた。
「あ、まって羽奏ちゃん。掃除当番なんて、羽奏ちゃんには似合わない。可愛そうよ。だから、代わりに誰かがやってあげるの。羽奏ちゃんはここにいるのがお仕事なの!誰かやってくれる人!」
「でも・・。」
「いいのいいの。」
一人の女の子が変なことを言い出したが、掃除当番を変わってくれる人なんて、誰ひとりいなかった。それはそうだ、みんな羽奏と喋りたいと思っている。教室が静まり返ると、一人
の男子がもっとわけのわからないことを言い出した。
「じゃあ、教室の隅にいる・・・。そうだ。暇そうだし、御門行ってきて。用ないでしょ」
「えっ・・。俺は・・!ていうか、教室の隅って、陽向とか莉子もいるけど?」
「御門はいつも誰かに迷惑かけてるんだから、少しくらい働いたほうがいいって。」
「・・・・。わかったよ・・。」
「・・・朔也・・。なにか言い返したらいいんじゃないの?それでいいの・・?」
莉子はそう言ったが、朔也は軽く頷いて教室を出ていった。
「じゃあ、羽奏ちゃん!掃除当番は気にしなくていいから、班、一緒にし・・」
「ねえ、そうはいかないでしょ?どうしてやらせるの・・?」
何事もなかったかのように話し始めた女子に、羽奏はひどく怖い顔をした。
「えっ?だって、羽奏ちゃんはいつも御門のこと手伝ってんだから、御門にやらせちゃえばいいじゃん・・。恩返しみた・・」
「それっていじめだよね?私はやりたいからやってるだけであって、御門くん、やりたいなんて言ってた?無理やりだよね。」
「それは・・・。」
女子が黙り込み、周りの空気が重くなった頃、羽奏は急にドアを開けて教室を出て行った。周りの男女は、その場で固まっていた。莉子と陽向は、お互い顔を合わせた。
「御門くん!」
教室を出て行った羽奏は、廊下を歩いていた御門を追いかけて、声をかけた。
「えっ・・。あれ、如月?どうしたの?班決めは・・。」
「班決めなんてどうでもいいよ!ごめんね、やらせちゃって・・・。私の仕事なのに・・・。」
息切れした羽奏は、御門に頭を下げて謝った。御門は、少し緊張気味で声を掛ける。
「えっ・・?なんだ、そんなことか。いいよ別に。よくあることだし。俺が、何も言わないから悪いんだ・・」
「そんなことないよ。ほんとにごめん・・。あ!私がやるから御門くんは帰っていいよ」
「ううん。俺もやるよ。どうせここまで来たんだから。」
「えっ?いいっていいって!」
「いや、やるから、ほら。早くやろう。」
そんな言葉に、羽奏は申し訳無さそうにしていたが、少しありがたそうにおじぎをすると、2人で掃除用具を取り出した。掃除が始まってから少し経つと、羽奏は話しだした。
「ここにいる、真っ白いうさぎ。可愛いよね。」
「え・・。あー、うん。そうだね。」
しかし、2つの言葉だけで会話は終わってしまった。何か話さなければ。御門はそんな事を考えていたが、今度は羽奏が違う話をした。
「ねえ、御門くんと、莉子ちゃんと、陽向くんはさ。仲良しなの?」
「え・・。陽向は、最近ちょっと仲良くなった。莉子は、なんていうか・・お助け役!」
「へぇー・・。いいね。仲良しって」
羽奏は、ほうきを持っていた手を止めて、下を向いた。
「え?どういうこと。如月は仲良しなんて、いくらでもいるじゃん。」
「・・・・いないよ。あれは、ただの偽りの友達だもん。あ!それよりも。御門くんたちはさ、教室の隅っこでお話してたけど、みんなが私のこと誘ってるの見て、どう思った?」少し変わった質問に、御門は困って黙り込んでしまった。それに感づいた羽奏は、なぜか笑いだした。
「別にいいんだよ?適当で。だって、3人は私のことを誘いに来なかったから、不思議だなって思っただけだよ。人間はさ、ああやって、他の友達を犠牲にしてまで自分の意見を押し通すくせがあるよね。私は、嫌なんだ。でも、3人は違うなって・・。よくわからないかも。意味わからないこと言って、ごめん。」
キーンコーンカーンコーン
なんだか重たい空気が漂ったとき、中休み終了のチャイムが鳴った。チャイムを聞いた羽奏は、掃除用具を棚の中にしまった。しゃがみ込むと、うさぎの背中を優しくなでて言った。
「うさぎって、どうしてこんなに可愛いのかな。・・・3人共、見たことないタイプの人たち。面白いね。そろそろ、終わりの時間だ。ありがとう、手伝ってくれて。」
「え・・あ、えっと」
そう言うと、羽奏は立ち上がって帰ろうとした。そんな羽奏の姿を見た御門は、いきなり羽奏の手首を掴んだ。
「如月!ちょっとまって。」
その声に、羽奏は御門の方を向いた。
「御門くん?どうしたの?」
「あー・・。えっと・・。あの!修学旅行の、行動班・・。俺等と、組まない・・?ほんとに、嫌だったらいいんだ・・。」
御門が、少し照れくさそうに右を向くと、羽奏はさっきまで薄暗く、悲しそうだった顔が一気にぱっと明るくなった。
「え!?いいのっ?」
「え、あ、うん・・!もちろん。逆にいいの?俺なんかがいるけど。それに、如月が誘われてた女子たちは・・」
「御門くんがいるからなに?楽しそうな班でしょ。それと、あの人達は、もう断ろうと思ってた。友達を犠牲にするなんて、最低でしょ?そんな人とはなりたくないよ。」
御門は、大きく頷くと、2人でうさぎ小屋を去っていった。
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