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本作は全年齢対象の創作BLです。

攻めから受けへの一方的な(?)溺愛を含みますが、ヤンデレ、監禁、執着、共依存などの暗い要素は一切ありません。

終始ハッピーで平和な、光の属性の物語です。

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しっぽを振るのは、君の前だけ

#51

番外編:玄関先の大型犬

時計の針が、約束の時間を少しだけ過ぎている。
冷え切った冬の夜、律がバイトから帰ってくるのを、僕はマンションの玄関マットに座り込んで待っていた。

「……遅いなぁ。律くん、何かあったのかな」

広いリビングのソファで待てばいいのに、僕はどうしてもここを動けない。
一秒でも早く律くんの顔が見たい。一秒でも早く、その冷えた手を僕の体温で温めてあげたい。
暗い廊下を見つめていると、遠くでエレベーターが止まる音がした。

カツン、カツン。
規則正しい、少し疲れの混じった足音。間違いない、僕の、大好きな人の音だ。

カチャリ、と鍵が回る。
ドアが開いた瞬間、外の冷たい空気と一緒に、僕の「世界」が帰ってきた。

「……ただいま。って、うわっ!? 千尋、お前またこんなところで……」

驚いて丸眼鏡を少しずらした律くんが、呆れたように僕を見下ろす。
俺、と言いかけて「不潔」と毒を吐こうとした彼の唇が、寒さで少し震えていた。

「律くん! おかえりなさい! ずっと、ずっと待ってたんだよ!」

僕は立ち上がるのももどかしくて、座ったまま彼の腰にしがみついた。
大型犬が飼い主に飛びつくみたいに、ぶんぶんと、僕の心の中にある「しっぽ」が激しく揺れる。

「……、……重い。……どけよ、バカ。……、……、……風邪ひくだろ」

律くんは乱暴な言葉を投げつけるけど、その手は優しく僕の茶髪を撫でてくれた。
外気で冷え切った彼の指先が、僕の熱に触れて、少しずつ赤くなっていく。

「律くんがいないと、家の中が広すぎて寂しいんだもん。……ねえ、律くん。今日のご飯、律くんの好きなシチュー作ったよ」

見上げると、律くんの顔がみるみるうちに赤くなっていくのがわかった。
丸眼鏡の奥の瞳が泳いで、彼は必死に「ツン」を維持しようとしている。

「……、……、……勝手にしろ。……、……温め直してくるから。……、……お前は、さっさと風呂入れ」

そう言って僕の横を通り抜けようとする律くんの裾を、僕はギュッと掴んで離さない。
「律くん」と名前を呼ぶだけで、僕の全部が満たされていく。

「……、……ったく。……、……千尋は本当に、……俺がいないとダメなんだな」

律くんは溜息をつきながら、今度は逃げないように、僕の手をしっかりと握り返してくれた。
不器用で、口が悪くて、でも誰よりも温かい僕の律くん。

玄関の狭い空間に、二人の体温が混ざり合う。
外はどれだけ寒くても、ここには僕たちだけの、とびきり甘い時間が流れていた。
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作者メッセージ

皆様、こんにちは!酸素ちゃんです🫧🤍

読者様からの「犬が玄関で飼い主を待つような感じで」というリクエストにお応えして、千尋くんのワンコ全開なエピソードをお届けしました!

絶妙なバランスが、二人の等身大の恋をより魅力的にしてくれます。
玄関で待つ千尋くんと、照れながらもそれを受け入れる律くん。
二人の日常が、皆様の心に温かな光を灯せますように!🫧🤍
(『しっぽを振るのは君の前だけ』は完結しました!リクエストはストップでお願いします)

2026/04/29 11:17

蜜薬
ID:≫ .1qWrS8rlgVRw
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