閲覧前に必ずご確認ください

※この物語は、少し心が「チクッ」とするような、重め・病み系の描写が含まれます。
※キャラクターが精神的に落ち込んでいくシーンがありますが、最終的にはハッピーエンドに向かいますので、最後まで見守っていただけると嬉しいです。
※「愛」を求める過程で、少し大人びた表現や、ピュアなだけではない描写が入る可能性があります。苦手な方はご注意ください。

「最後には、必ず幸せな光を見せます。」

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壊れたドールは、愛の温度を知りたい

#30

第30話(最終回):モノクロームの夜明け、カラフルな私

あれから、世界が劇的に変わったわけじゃない。
お母さんとは今も、つかず離れずの微妙な距離感だ。お母さんは相変わらず私の服を見て眉をひそめるけれど、私はもう、それを見て「ごめんなさい」とは言わない。

「……、……、……行ってきます。……、……夕飯、いらないから」

そう言い残して、お気に入りの黒い厚底ブーツを鳴らして外に出る。
玄関の鏡に映る私は、誰のものでもない、私だけの「正解」を纏っている。

駅前の広場。遠くからでもすぐにわかる、ピンク色の髪と、優しいバニラ色のパーカー。
二人が私を見つけて、大きく手を振った。

「ルナさん! こっちですっ!」
「ルナ、おはよう。……今日も、そのリボン似合ってるね」

二人の元へ駆け寄る。
以前の私なら、ここで毒を吐いて終わっていたかもしれない。でも、今の私は、少しだけ違う。

「……、……、……おはよ。……、……、……ねえ、……、……アイス、食べに行こ。……私が、……奢ってあげる」

驚いた顔をする二人に、私は生まれて初めて、仮面じゃない本当の笑顔を見せた。

かつての私は、誰かに愛されるために自分を殺し、動かないドールでいようとした。
でも今は、自分の意志で歩き、自分の言葉で毒を吐き、自分の心で誰かを大切にしたいと思える。
体中の傷跡はまだ消えないけれど、それは私が戦ってきた証だ。

私の人生は、真っ黒でも真っ白でもない。
陽菜ちゃんのピンクや、颯太くんの温かな光が混ざり合った、不器用で、でも最高に愛おしいグラデーション。

「……、……、……ねえ、二人とも。……、……大好きなんて、……一回しか言わないから。……、……、……絶対、……忘れないでよね」

「あはは! ルナさん、それ昨日も言ってましたよ!」
「……まあ、何回聞いてもいいけどね」

呆れ顔の二人の間に割って入る。
ポケットの中のスマホには、3人で撮った数えきれないほどの写真。
私はもう、一人じゃない。
モノクロだった世界に、鮮やかな色が溢れ出していく。

私は、ドールを卒業した。
今日から始まるのは、不器用な一人の女の子の、どこまでも自由な物語だ。

(完)

作者メッセージ

皆様、最後までお読みいただきありがとうございました。酸素ちゃんです🫧

全30話これにて完結です。
自分を愛せなかったルナちゃんが、陽菜ちゃんと颯太くんという二人の光に出会い、自分自身を肯定できるようになるまでを描きました。
完璧なハッピーエンドではないかもしれません。でも、彼女が自分の足で歩き出したこの一歩は、どんな魔法よりも輝いていると信じています。

ルナ、陽菜、颯太。3人の未来に、たくさんの「好き」が溢れますように!

2026/06/14 20:45

蜜薬 @低浮上ちゃん
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