閲覧前に必ずご確認ください

※この物語は、少し心が「チクッ」とするような、重め・病み系の描写が含まれます。
※キャラクターが精神的に落ち込んでいくシーンがありますが、最終的にはハッピーエンドに向かいますので、最後まで見守っていただけると嬉しいです。
※「愛」を求める過程で、少し大人びた表現や、ピュアなだけではない描写が入る可能性があります。苦手な方はご注意ください。

「最後には、必ず幸せな光を見せます。」

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壊れたドールは、愛の温度を知りたい

#29

第29話:黒い翼、ふたたび

陽菜ちゃんの家で目覚めた朝、鏡に映る私は、ウサ耳パジャマを着たマヌケな姿だった。
でも、不思議と顔色は悪くない。

「……、……、……よし。……行くよ」
「ルナさん? どこへですか?」

首を傾げる陽菜ちゃんに、私はスマホの画面を見せた。
そこには、昨日お母さんに破られたものより、もっと尖っていて、もっと可愛くて、もっと「私」らしいドレスが載っていた。

駅で待っていた颯太くんは、私を見るなり「あ……」と声を漏らした。
ノーメイクで、陽菜ちゃんの服を借りた私を見て、彼は少しだけ耳を赤くして目を逸らす。

「……、……、……何。……変なら、今すぐ死んで」
「……いや、そうじゃなくて。……新鮮で、いいなって」

原宿のショップ。私は迷わず、一番黒くて、一番レースが繊細なドレスを選んだ。
試着室から出てくると、陽菜ちゃんが「キャーッ!」と歓声を上げる。
颯太くんは、ただ呆然と、でも愛おしそうに私を見つめていた。

「……、……ねえ」

私は、二人の前でゆっくりと髪を整えた。
もう、誰かに言われて着る服じゃない。
私の意志で選んだ、私のための黒。

「……、……颯太。……、……陽菜」

初めて、呼び捨てにした。
二人が驚いたように私を見る。

「……、……ありがとう。……、……あんたたちが、……バカみたいに真っ直ぐだったから。……私、……生きてていいんだって、……思えた」

俯きながら、消え入りそうな声で、でもハッキリと。
顔が熱くて、爆発しそう。絆創膏だらけの指でドレスの裾をギュッと握る。

「……、……、……だい、すき。……二人とも」

その瞬間、颯太くんが顔を真っ赤にしてフリーズし、陽菜ちゃんが私に飛びついてきた。
ドールの仮面が剥がれ落ちたあとに残ったのは、不器用で、涙もろくて、誰よりも愛を欲しがっていた、一人の女の子の素顔だった。

作者メッセージ

皆様、こんにちは。酸素ちゃんです🫧

第29話、ついにルナちゃんのデレが炸裂しました!
「だいすき」という言葉。それはお母さんから一度ももらえなかった言葉であり、ルナちゃんが一番口にするのが怖かった言葉です。
自分の足で「自分らしい服」を買い、自分の意志で「大切だ」と伝える。
彼女はもう、誰かに操られるドールではありません。

いよいよ次が最終回。
3人の物語が、どんな結末を迎えるのか。最後まで見届けてください。

2026/06/08 21:28

蜜薬 @低浮上ちゃん
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