閲覧前に必ずご確認ください

※この物語は、少し心が「チクッ」とするような、重め・病み系の描写が含まれます。
※キャラクターが精神的に落ち込んでいくシーンがありますが、最終的にはハッピーエンドに向かいますので、最後まで見守っていただけると嬉しいです。
※「愛」を求める過程で、少し大人びた表現や、ピュアなだけではない描写が入る可能性があります。苦手な方はご注意ください。

「最後には、必ず幸せな光を見せます。」

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壊れたドールは、愛の温度を知りたい

#25

第25話:午前2時の境界線

お母さんの寝息が聞こえるのを確認して、私はそっと部屋の窓を開けた。
引きちぎられたワンピースの代わりに、予備の、少し色褪せた黒いパーカーを羽織る。
メイクなんてしてない。涙でボロボロになった、酷い顔のまま。

「……、……、……ここには、もういられない」

足音を殺して家を抜け出し、深夜の駅へ向かった。
向かう先は、SNSで見かける「あそこ」。
派手な格好をした子たちが集まって、寂しさを紛らわせているあの広場。
そこに行けば、私みたいな「壊れたドール」でも、誰にも何も言われずに溶け込める気がした。

冷たい夜風が、洗いたての頬を刺す。
電車を乗り継ぎ、辿り着いた眠らない街。
ネオンの光が眩しくて、クラクラする。
広場には、スマホをいじる子や、笑い声を上げるグループがいた。でも、みんなの目はどこか虚ろで、私の知っている「陽菜ちゃんの明るさ」や「颯太くんの温かさ」とは、決定的に何かが違っていた。

「ねえ、君。一人? どっか行かない?」

見知らぬ男に声をかけられ、私は反射的に一歩下がった。
ここなら自由になれると思ったのに。お母さんから逃げられると思ったのに。
襲ってきたのは、家の中にいる時よりもずっと鋭い、凍えるような孤独だった。

私は震える手で、ポケットの中のスマホを握りしめた。
画面が光る。
ロック画面には、昨日撮った、3人のプリクラ。

『ルナさん、どこにいるの? ずっと待ってるから。何かあったなら、俺を頼ってよ』

数分前に届いていた、颯太くんからのメッセージ。
あんなに酷いことを言って突き放したのに。
お母さんに全部壊された私のことを、まだ「ルナさん」って呼んでくれる人がいる。

「……、……、……、……たすけて」

私はその場にしゃがみ込み、初めて自分から、颯太くんに現在地を送信した。
この街の冷たい光に飲み込まれる前に。
お母さんの人形に戻ってしまう前に。

作者メッセージ

皆様、こんにちは。酸素ちゃんです🫧

第25話、ルナちゃんは衝動的に家を飛び出し、夜の街へと足を踏み入れました。
そこは一見、彼女のような子の居場所に見えますが、本当の孤独を埋めてくれる場所ではないことに彼女は気づきます。
どん底の淵で、彼女が最後に頼ったのは、やはりあの「バニラ」のような温かい光でした。

物語はいよいよ、残り5話。
颯太くんは彼女を見つけ出せるのでしょうか。

2026/06/07 06:22

蜜薬 @文字化け気味
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