閲覧前に必ずご確認ください

※この物語は、少し心が「チクッ」とするような、重め・病み系の描写が含まれます。
※キャラクターが精神的に落ち込んでいくシーンがありますが、最終的にはハッピーエンドに向かいますので、最後まで見守っていただけると嬉しいです。
※「愛」を求める過程で、少し大人びた表現や、ピュアなだけではない描写が入る可能性があります。苦手な方はご注意ください。

「最後には、必ず幸せな光を見せます。」

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壊れたドールは、愛の温度を知りたい

#22

第22話:魔法の箱と、甘すぎる毒

「ねえねえ、プリクラ撮りましょう! 3人で!」

陽菜ちゃんに手を引かれて、ピンク色の派手なブースに押し込まれる。
狭い空間に、私と、陽菜ちゃんと、ちょっと居心地悪そうな颯太くん。

「……、……、……狭い。……、……、……変な顔になったら、消すから」

画面の指示に従って、不器用なピースを作る。
陽菜ちゃんは完璧な「ちゅるん顔」で、颯太くんは照れたようなぎこちない笑顔。
落書きタイムで、陽菜ちゃんが私たちの写真に『最強の3人組!』なんてデカデカと書き込んだ。

「……、……バカみたい。……でも、……悪くないかも」

出てきたシールをスマホのケースに挟む。
お母さんの写真なんて一枚も入っていない私のスマホに、初めて「誰かと笑っている私」が刻まれた。

その後、私たちは内装が全部真っ黒な「ゴシックカフェ」に入った。
運ばれてきたのは、真っ赤なソースがかかった黒いパンケーキ。

「これ、ルナさんっぽくて最高に映えますね!」
「……、……、……食べるのが、もったいないだけ」

一口食べると、暴力的なまでの甘さが口の中に広がった。
でも、不思議と嫌じゃない。
お母さんの前で食べる「栄養バランスの取れた食事」よりも、この毒みたいに甘いパンケーキの方が、ずっと私の血肉になっている気がした。

「あ、ルナさん。……口元、ソースついてる」

颯太くんが自然な手つきで、ティッシュを差し出す。
その瞬間、胸の奥がキュッとなって、私は慌てて自分で口を拭った。

「……、……、……わかってる。……、……見ないで」

笑い声と、甘い匂い。
原宿の街は、私たちがドールであることを許してくれる。
お母さんの影が届かないこの場所で、私は生まれて初めて「今、死んでもいいかも」って思えるくらい、心から笑っていた。

作者メッセージ

皆様、こんにちは。酸素ちゃんです🫧

第22話は、ルナちゃんの幸福度がマックスになる回でした。
プリクラを撮り、甘いものを食べ、好きな格好を褒められる。
そんな「普通の高校生」のような時間が、今の彼女にとっては奇跡のような魔法の時間です。

この魔法が解ける時、彼女は何を思うのか。
最高にハッピーな思い出が、ルナちゃんの心に強い「芯」を作っていく様子を見守ってください。

2026/05/31 07:12

蜜薬 @文字化け気味
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