閲覧前に必ずご確認ください

※この物語は、少し心が「チクッ」とするような、重め・病み系の描写が含まれます。
※キャラクターが精神的に落ち込んでいくシーンがありますが、最終的にはハッピーエンドに向かいますので、最後まで見守っていただけると嬉しいです。
※「愛」を求める過程で、少し大人びた表現や、ピュアなだけではない描写が入る可能性があります。苦手な方はご注意ください。

「最後には、必ず幸せな光を見せます。」

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壊れたドールは、愛の温度を知りたい

#18

第18話:ノイズ、跳ね除けて

「……ねえ、ちょっといい?」

昼休み、3人で中庭のベンチに座っていたら、クラスの「普通」を絵に描いたような女子グループに声をかけられた。
中心にいる子は、私の黒いフリルや、陽菜ちゃんのピンクのメイクを、値踏みするような目で見ている。

「ルナさんたちってさ、いつもそういう……浮いた格好してるけど、恥ずかしくないの? もっと普通の格好すればいいのに。颯太くんも、なんでこんな子たちと一緒にいるの? 損してるよ」

……始まった。
いつもの、聞き飽きたノイズ。
お母さんの声と重なって、胸の奥が冷たくなる。言い返そうとして、でも言葉が詰まって、私は自分の絆創膏だらけの腕を強く握りしめた。

「……、……損とか、……あんたに関係ない……」

震える声でそう呟くのが精一杯だった私の前に、スッと誰かが踏み出した。

「損なんてしてないよ。俺が一緒にいたいから、ここにいるんだ。ルナさんも陽菜さんも、自分の『好き』を大事にしてて、俺は二人ともすごくカッコいいと思ってるから」

颯太くんだった。
彼は怒るわけでもなく、ただ困ったように、でもハッキリと断言した。

「そうですよ! 普通なんて人それぞれだし、私たちが何を着るかは私たちが決めることですから。ルナさんのセンス、最高なんです!」

陽菜ちゃんも私の肩を抱き寄せて、ニコッと笑い返す。
二人の言葉に、女子グループは「……ふーん、勝手にすれば」と、つまらなそうに去っていった。

嵐が去った後のような静寂。
私は、二人に守られた形になったことが恥ずかしくて、顔が熱くなるのを感じた。

「……、……バカじゃないの。……、……あんなの、無視すればいいのに。……余計なこと、しないで」

毒を吐きながらも、握りしめていた腕の力は抜けていた。
独りで戦っていた時とは違う。
「普通」という凶器から私を庇ってくれる盾が、今は隣に二つもある。

「ごめんごめん。でも、本当のことだからさ」

颯太くんが笑う。
私はそっぽを向いて、昨日買った黒いリボンに触れた。
外の世界に溢れるトゲだらけの言葉も、この3人でいれば、ただの雑音に変えられるのかもしれない。

作者メッセージ

皆様、こんにちは。酸素ちゃんです🫧

第18話は、3人が「世間」という壁に直面する回でした。
ルナちゃんが独りで耐えてきた否定の言葉を、颯太くんと陽菜ちゃんが軽やかに、でも力強く跳ね除けてくれます。
「普通」という呪縛から解き放たれていくルナちゃんの表情の変化に、ぜひ注目してください。

2026/05/15 16:22

蜜薬 @文字化け気味
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