閲覧前に必ずご確認ください

※この物語は、少し心が「チクッ」とするような、重め・病み系の描写が含まれます。
※キャラクターが精神的に落ち込んでいくシーンがありますが、最終的にはハッピーエンドに向かいますので、最後まで見守っていただけると嬉しいです。
※「愛」を求める過程で、少し大人びた表現や、ピュアなだけではない描写が入る可能性があります。苦手な方はご注意ください。

「最後には、必ず幸せな光を見せます。」

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壊れたドールは、愛の温度を知りたい

#17

第17話:ポケットの中の、消えない居場所

アイスを食べ終えて、駅の改札前。
「バイバイ」って言おうとしたその時、陽菜ちゃんが名残惜しそうにスマホを差し出してきた。

「ねえ、ルナさん、颯太くん! 3人のグループ作りませんか? 撮った写真も送りたいし、また遊びたいし!」

グループ。その響きに、胸の奥が少しだけざわつく。
特定の誰かじゃなくて、「場所」ができる。
私がいてもいい場所。

「……、……、……勝手にすれば。……通知うるさかったら、……通知オフにするし」

私はそう言いながらも、自分のスマホのロックを解除していた。
ピコン、と小気味いい音がして、画面に【地雷と量産とバニラ】という、陽菜ちゃんらしい適当で明るいグループ名が表示される。

「バニラって……俺のこと?」
「あはは、颯太くんバニラアイス食べてたから! ぴったりでしょ?」

二人のやり取りを横目に、私は新しくできたその場所をじっと見つめる。
颯太くんが、今日撮った3人の写真を送ってきた。
真ん中で、慣れないリボンをつけて、少しだけ不機嫌そうに(でも、泣いてはいない)私が写っている。

「……じゃあね。……、……また、明日」

今度は私から、小さく手を振った。
背を向けて歩き出す。一人になった途端、いつもの夜の冷気が肌を刺すけれど、ポケットの中のスマホが微かに震えるたび、そこだけが熱を持っているみたいに温かかった。

家に帰れば、またあの静かな、息の詰まる時間が待っている。
でも、今の私には、指先一つで逃げ込める「外の世界」がある。

暗い自室に入り、明かりもつけずにベッドに沈み込む。
画面を覗くと、陽菜ちゃんからの「今日お疲れ様!」というスタンプと、それに続く颯太くんの「おやすみ」という文字。

「……、……、……死ねばいいのに、みんな」

毒づいた言葉とは裏腹に、私はその画面を消すことができなかった。
呪いのような五千円で買ったリボンと、消えない通知。
私の「ドール」としての生活に、少しずつ、でも確実に、誰かの体温が混ざり始めていた。

作者メッセージ

皆様、こんにちは。酸素ちゃんです🫧

第17話は、3人のグループトーク結成回でした。
物理的な距離だけでなく、デジタルでも繋がることで、ルナちゃんの孤独が少しずつ癒やされていきます。
「死ねばいいのに」という彼女なりの照れ隠しが、以前よりもどこか柔らかく響くのは、彼女がこの場所を大切に思い始めている証拠かもしれません。

ポケットの中にある小さな光。それが、これからの彼女をどう支えていくのでしょうか。

2026/05/12 18:47

蜜薬 @文字化け気味
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