閲覧前に必ずご確認ください

※この物語は、少し心が「チクッ」とするような、重め・病み系の描写が含まれます。
※キャラクターが精神的に落ち込んでいくシーンがありますが、最終的にはハッピーエンドに向かいますので、最後まで見守っていただけると嬉しいです。
※「愛」を求める過程で、少し大人びた表現や、ピュアなだけではない描写が入る可能性があります。苦手な方はご注意ください。

「最後には、必ず幸せな光を見せます。」

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壊れたドールは、愛の温度を知りたい

#12

第12話:愛の代償、五千円の孤独

「……、……ねえ、お母さん」

夕食の片付けをする母親の背中に、私は震える声で呼びかけた。
いつもなら部屋に閉じこもるはずなのに、今日だけはどうしても、自分の中に溜まった泥を吐き出さずにはいられなかった。

「私の……私のどこが嫌い? 何を直せば、昔みたいに笑ってくれるの? 勉強も頑張るから、この服もやめるから……、……っ」

視界が歪んで、熱い塊が頬を伝い落ちる。
地雷系の、完璧に塗り固めたはずのメイクが剥がれていく。
私はただ、お母さんの「いい子」に戻りたかった。否定されるたびに削られていく心が、もう限界だったんだ。

母親は手を止め、ゆっくりと私を振り返った。
けれど、その瞳に宿っていたのは怒りでも悲しみでもなく、ただの「面倒くささ」だった。

「……、……、……また始まった。あなたって本当に、そういうところが重いのよ」

母親は溜息をつくと、無造作に置かれたバッグから財布を取り出し、千円札を数枚、テーブルに放り投げた。

「これで好きなものでも食べて、どこかで遊んできなさい。……今日はもう、顔を見せないで」

カサリ、と乾いた音を立てて机に散らばった五千円。
私の愛されたいという叫びは、たった数枚の紙切れで買い叩かれた。

「……、……、……、……あは」

涙が止まらないのに、乾いた笑いが漏れる。
私が欲しかったのは、お金じゃない。
「大丈夫だよ」という一言や、頭を撫でてくれる手のひらだったのに。

私はそのお金をひったくるように掴むと、玄関を飛び出した。
行き先なんてどこにもない。
腕の絆創膏を爪で強く立てると、鈍い痛みだけが、私の虚しさを少しだけ麻痺させてくれた。

作者メッセージ

皆様、こんにちは。酸素ちゃんです。

第12話は、ルナちゃんの勇気と、それが無残に打ち砕かれるお話でした。
「どこが嫌い?」という問いかけは、ルナちゃんにとって最大のSOSでしたが、母親にとっては「面倒なノイズ」でしかありませんでした。

お金を渡して追い払うという行為は、暴力よりも深く、ルナちゃんの心を傷つけます。
夜の街へ飛び出した彼女の行く先に、どうか少しでも温かな光がありますように。

2026/04/28 06:41

蜜薬 @文字化け気味
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