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本作は全年齢対象の創作BLです。
攻めから受けへの一方的な(?)溺愛を含みますが、ヤンデレ、監禁、執着、共依存などの暗い要素は一切ありません。
終始ハッピーで平和な、光の属性の物語です。
千尋に「律くんの匂いがする」なんて言われてから、授業の内容なんて一つも頭に入ってこなかった。
ノートの端っこに意味のない線を引いては消して、また引いて。
「……、……、……バカ千尋。……変態」
小声で毒を吐いてみるけれど、自分の顔が熱いのは誤魔化せない。
放課後、誰もいない教室。窓の外では、少しずつ春の気配を孕んだ風が吹いている。
僕たちは、進路希望調査の紙を前にして、並んで座っていた。
「律くん、進路……どうするの?」
「……、……別に。……適当。……、……、……お前は」
「僕はね、律くんと同じところがいいな」
千尋はさらりと、とんでもないことを言う。
椅子を少しだけ僕の方に寄せて、覗き込むように笑う。
「……ッ、……お前、……バカだろ。……成績、……全然違うのに」
「だって、離れたくないんだもん。……卒業しても、ずっと一緒にいたいって言ったら、律くんは怒る?」
千尋の瞳が、いつもより真剣で、真っ直ぐに僕を射抜く。
「ずっと」なんて、子供みたいな約束だ。
でも、その言葉が今の僕には、どんな宝石よりも綺麗に見えてしまった。
「……、……怒る。……不潔だし。……、……、……しつこいし」
僕はそう言って、わざとそっぽを向いた。
けれど、机の下で、千尋の指先が僕の手にそっと触れる。
振り払うこともできたはずなのに、僕はその熱を拒めなかった。
「……、……でも、……離れるなんて、……言ってねーだろ」
蚊の鳴くような声。
それでも千尋には届いたみたいで、「あはは、そうだね」と嬉しそうな声が返ってきた。
50話で待っている「最高の結末」まで、あと少し。
僕たちはまだ、その未来の大きさを知らないまま、ただ繋がれた体温だけを信じていた。
ノートの端っこに意味のない線を引いては消して、また引いて。
「……、……、……バカ千尋。……変態」
小声で毒を吐いてみるけれど、自分の顔が熱いのは誤魔化せない。
放課後、誰もいない教室。窓の外では、少しずつ春の気配を孕んだ風が吹いている。
僕たちは、進路希望調査の紙を前にして、並んで座っていた。
「律くん、進路……どうするの?」
「……、……別に。……適当。……、……、……お前は」
「僕はね、律くんと同じところがいいな」
千尋はさらりと、とんでもないことを言う。
椅子を少しだけ僕の方に寄せて、覗き込むように笑う。
「……ッ、……お前、……バカだろ。……成績、……全然違うのに」
「だって、離れたくないんだもん。……卒業しても、ずっと一緒にいたいって言ったら、律くんは怒る?」
千尋の瞳が、いつもより真剣で、真っ直ぐに僕を射抜く。
「ずっと」なんて、子供みたいな約束だ。
でも、その言葉が今の僕には、どんな宝石よりも綺麗に見えてしまった。
「……、……怒る。……不潔だし。……、……、……しつこいし」
僕はそう言って、わざとそっぽを向いた。
けれど、机の下で、千尋の指先が僕の手にそっと触れる。
振り払うこともできたはずなのに、僕はその熱を拒めなかった。
「……、……でも、……離れるなんて、……言ってねーだろ」
蚊の鳴くような声。
それでも千尋には届いたみたいで、「あはは、そうだね」と嬉しそうな声が返ってきた。
50話で待っている「最高の結末」まで、あと少し。
僕たちはまだ、その未来の大きさを知らないまま、ただ繋がれた体温だけを信じていた。
- 1.第1話:雨上がりに、君を見つけた
- 2.第2話:昨日のお礼は、ぶっきらぼうに。
- 3.第3話:没収された「大好き」の行方
- 4.第4話:メロンパンと、大型犬の忠誠心。
- 5.第5話:赤点回避の、スパルタ教育。
- 6.第6話:合格点と、ご褒美の甘い罠。
- 7.第7話:封印された二文字
- 8.第8話:嵐を呼ぶ、ひまわりのようなあいつ
- 9.第9話:バカにしないで、ちゃんと聞いて。
- 10.第10話:一週間、……お試しだぞ。
- 11.第11話:お試し1日目、心臓がもたない。
- 12.第12話:失くしてなかった、宝物。
- 13.第13話:眼鏡の奥の、本当の熱。
- 14.第14話:雨の音と、重なる鼓動。
- 15.第15話:朝の光と、お花の抱っこ。
- 16.第16話:朝食後の、0センチメートル。
- 17.第17話:泣き出しそうな君を、包み込む。
- 18.第18話:最強の姉、現る。
- 19.第19話:五本の指、重なる温度。
- 20.第20話:一週間なんて、待てない。
- 21.第21話:本当の恋人、1日目。
- 22.第22話:瞳に映る、一番好きな人。
- 23.第23話:0.5秒の、誓い。
- 24.第24話:姉の勘は、世界一。
- 25.第25話:不器用な、お返し。
- 26.第26話:フードの中の、秘密。
- 27.第27話:レンズ越しより、近い距離。
- 28.第28話:最強の刺客、現る。
- 29.第29話:ちいさな情報屋。
- 30.第30話:無防備な、もぐもぐタイム。
- 31.第31話:不器用な逆襲。
- 32.第32話:敗者の特権。
- 33.第33話:二度目の宣戦布告。
- 34.第34話:攻守交代の、お手本。
- 35.第35話:隠せない、本音の場所。
- 36.第36話:ぼやける視界と、熱い耳
- 37.第37話:不意打ちの「よしよし」
- 38.第38話:熱が引かない放課後
- 39.第39話:マフラー越しの温度
- 40.第40話:マフラー越しの本音
- 41.第41話:返したくない、温度
- 42.第42話:不確かな未来と、確かな体温
- 43.第43話:誰にも渡さない
- 44.第44話:指先のシミュレーション
- 45.第45話:左手の約束
- 46.第46話:銀色の重み、僕らの印
- 47.第47話:卒業の足音、消えない光
- 48.第48話:サヨナラは、はじまりの合図
- 49.第49話:左手の証明、朝の温度
- 50.第50話(最終回):しっぽを振るのは、君の前だけ
- 51.番外編:玄関先の大型犬