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本作は全年齢対象の創作BLです。
攻めから受けへの一方的な(?)溺愛を含みますが、ヤンデレ、監禁、執着、共依存などの暗い要素は一切ありません。
終始ハッピーで平和な、光の属性の物語です。
「はぁ、はぁ……間に合った……!」
お昼休みのチャイムが鳴ると同時に、僕は教室を飛び出した。
目指すは一階の購買部。お目当ては、一日十個限定の『至高のメロンパン』だ。
昨日、律くんが「あそこのメロンパン、たまに食いたくなるんだよな」って、小声で呟いていたのを僕は聞き逃さなかった。
律くんの「たまに」は、僕にとっては「今すぐ」と同じ意味だ。
激しい争奪戦をくぐり抜け、なんとか最後の一つをゲットして、僕は律くんのいる教室へと急いだ。
「律くん、律くん! 見て見て、これ!」
教室の入り口。
いつもの席で、購買で買ったであろう味気ない白パンを口に運ぼうとしていた律くんが、僕を見て露骨に眉をひそめた。
「……またお前か。騒がしい、静かにしろ」
「えへへ、ごめん! それよりこれ、プレゼント! 律くん、これ食べたかったんでしょ?」
僕が勝ち取ったメロンパンを差し出すと、律くんの手がピタリと止まった。
一瞬だけ、その綺麗な瞳が揺れたのを僕は見た。……けど。
「……いらねーよ。誰がそんな甘ったるいもん食うか」
「えっ? でも、昨日食べたいって……」
「言ってねーよ。空耳だろ。だいたい、お前の施しなんて受けねーし。……さっさとどっか行け」
律くんは冷たく言い放って、手元の白パンを無造作に齧った。
相変わらず、鉄壁のガード。普通の人が聞いたら泣いちゃうくらいの拒絶だけど、僕は知っている。律くんが、さっきからチラチラと僕の手元の袋を気にしていることを。
「そっか……。律くん、今日はお昼これに決めてるって聞いたから、僕、全力で走ったんだけどな。……最後の一つだったんだよ?」
僕はわざとらしく、メロンパンの袋を抱えてシュンとしてみせた。
すると、律くんは「……っ」と息を呑んで、齧りかけのパンを握りしめた。
「……おい」
「……なに?」
「貸せ。……そんなに食ってほしいなら、食ってやるよ。捨てられるのが可哀想だからな」
律くんはひったくるようにしてパンを奪い取ると、乱暴に袋を破った。
そして、一口大きく齧りつく。
「……どう? 律くん」
「……別に普通。っていうか、甘すぎ。二度と買ってくるなよ、死ね」
そう言って律くんは、ぷいっと窓の方を向いてしまった。
でも。
律くんの白い耳の先が、真っ赤に染まっているのを僕は見逃さない。
本当は嬉しいのに、素直になれない猫さん。
(やっぱり、律くんは最高にかっこいいな!)
「律くん、大好きー!」
「うるせーよ! 近寄んな、バカ!!」
今日も律くんのツンは、世界で一番美しく輝いていた。
お昼休みのチャイムが鳴ると同時に、僕は教室を飛び出した。
目指すは一階の購買部。お目当ては、一日十個限定の『至高のメロンパン』だ。
昨日、律くんが「あそこのメロンパン、たまに食いたくなるんだよな」って、小声で呟いていたのを僕は聞き逃さなかった。
律くんの「たまに」は、僕にとっては「今すぐ」と同じ意味だ。
激しい争奪戦をくぐり抜け、なんとか最後の一つをゲットして、僕は律くんのいる教室へと急いだ。
「律くん、律くん! 見て見て、これ!」
教室の入り口。
いつもの席で、購買で買ったであろう味気ない白パンを口に運ぼうとしていた律くんが、僕を見て露骨に眉をひそめた。
「……またお前か。騒がしい、静かにしろ」
「えへへ、ごめん! それよりこれ、プレゼント! 律くん、これ食べたかったんでしょ?」
僕が勝ち取ったメロンパンを差し出すと、律くんの手がピタリと止まった。
一瞬だけ、その綺麗な瞳が揺れたのを僕は見た。……けど。
「……いらねーよ。誰がそんな甘ったるいもん食うか」
「えっ? でも、昨日食べたいって……」
「言ってねーよ。空耳だろ。だいたい、お前の施しなんて受けねーし。……さっさとどっか行け」
律くんは冷たく言い放って、手元の白パンを無造作に齧った。
相変わらず、鉄壁のガード。普通の人が聞いたら泣いちゃうくらいの拒絶だけど、僕は知っている。律くんが、さっきからチラチラと僕の手元の袋を気にしていることを。
「そっか……。律くん、今日はお昼これに決めてるって聞いたから、僕、全力で走ったんだけどな。……最後の一つだったんだよ?」
僕はわざとらしく、メロンパンの袋を抱えてシュンとしてみせた。
すると、律くんは「……っ」と息を呑んで、齧りかけのパンを握りしめた。
「……おい」
「……なに?」
「貸せ。……そんなに食ってほしいなら、食ってやるよ。捨てられるのが可哀想だからな」
律くんはひったくるようにしてパンを奪い取ると、乱暴に袋を破った。
そして、一口大きく齧りつく。
「……どう? 律くん」
「……別に普通。っていうか、甘すぎ。二度と買ってくるなよ、死ね」
そう言って律くんは、ぷいっと窓の方を向いてしまった。
でも。
律くんの白い耳の先が、真っ赤に染まっているのを僕は見逃さない。
本当は嬉しいのに、素直になれない猫さん。
(やっぱり、律くんは最高にかっこいいな!)
「律くん、大好きー!」
「うるせーよ! 近寄んな、バカ!!」
今日も律くんのツンは、世界で一番美しく輝いていた。
- 1.第1話:雨上がりに、君を見つけた
- 2.第2話:昨日のお礼は、ぶっきらぼうに。
- 3.第3話:没収された「大好き」の行方
- 4.第4話:メロンパンと、大型犬の忠誠心。
- 5.第5話:赤点回避の、スパルタ教育。
- 6.第6話:合格点と、ご褒美の甘い罠。
- 7.第7話:封印された二文字
- 8.第8話:嵐を呼ぶ、ひまわりのようなあいつ
- 9.第9話:バカにしないで、ちゃんと聞いて。
- 10.第10話:一週間、……お試しだぞ。
- 11.第11話:お試し1日目、心臓がもたない。
- 12.第12話:失くしてなかった、宝物。
- 13.第13話:眼鏡の奥の、本当の熱。
- 14.第14話:雨の音と、重なる鼓動。
- 15.第15話:朝の光と、お花の抱っこ。
- 16.第16話:朝食後の、0センチメートル。
- 17.第17話:泣き出しそうな君を、包み込む。
- 18.第18話:最強の姉、現る。
- 19.第19話:五本の指、重なる温度。
- 20.第20話:一週間なんて、待てない。
- 21.第21話:本当の恋人、1日目。
- 22.第22話:瞳に映る、一番好きな人。
- 23.第23話:0.5秒の、誓い。
- 24.第24話:姉の勘は、世界一。
- 25.第25話:不器用な、お返し。
- 26.第26話:フードの中の、秘密。
- 27.第27話:レンズ越しより、近い距離。
- 28.第28話:最強の刺客、現る。
- 29.第29話:ちいさな情報屋。
- 30.第30話:無防備な、もぐもぐタイム。
- 31.第31話:不器用な逆襲。
- 32.第32話:敗者の特権。
- 33.第33話:二度目の宣戦布告。