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本作は全年齢対象の創作BLです。

攻めから受けへの一方的な(?)溺愛を含みますが、ヤンデレ、監禁、執着、共依存などの暗い要素は一切ありません。

終始ハッピーで平和な、光の属性の物語です。

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しっぽを振るのは、君の前だけ

#4

第4話:メロンパンと、大型犬の忠誠心。

「はぁ、はぁ……間に合った……!」

お昼休みのチャイムが鳴ると同時に、僕は教室を飛び出した。
目指すは一階の購買部。お目当ては、一日十個限定の『至高のメロンパン』だ。
昨日、律くんが「あそこのメロンパン、たまに食いたくなるんだよな」って、小声で呟いていたのを僕は聞き逃さなかった。

律くんの「たまに」は、僕にとっては「今すぐ」と同じ意味だ。

激しい争奪戦をくぐり抜け、なんとか最後の一つをゲットして、僕は律くんのいる教室へと急いだ。

「律くん、律くん! 見て見て、これ!」

教室の入り口。
いつもの席で、購買で買ったであろう味気ない白パンを口に運ぼうとしていた律くんが、僕を見て露骨に眉をひそめた。

「……またお前か。騒がしい、静かにしろ」

「えへへ、ごめん! それよりこれ、プレゼント! 律くん、これ食べたかったんでしょ?」

僕が勝ち取ったメロンパンを差し出すと、律くんの手がピタリと止まった。
一瞬だけ、その綺麗な瞳が揺れたのを僕は見た。……けど。

「……いらねーよ。誰がそんな甘ったるいもん食うか」

「えっ? でも、昨日食べたいって……」

「言ってねーよ。空耳だろ。だいたい、お前の施しなんて受けねーし。……さっさとどっか行け」

律くんは冷たく言い放って、手元の白パンを無造作に齧った。
相変わらず、鉄壁のガード。普通の人が聞いたら泣いちゃうくらいの拒絶だけど、僕は知っている。律くんが、さっきからチラチラと僕の手元の袋を気にしていることを。

「そっか……。律くん、今日はお昼これに決めてるって聞いたから、僕、全力で走ったんだけどな。……最後の一つだったんだよ?」

僕はわざとらしく、メロンパンの袋を抱えてシュンとしてみせた。
すると、律くんは「……っ」と息を呑んで、齧りかけのパンを握りしめた。

「……おい」

「……なに?」

「貸せ。……そんなに食ってほしいなら、食ってやるよ。捨てられるのが可哀想だからな」

律くんはひったくるようにしてパンを奪い取ると、乱暴に袋を破った。
そして、一口大きく齧りつく。

「……どう? 律くん」

「……別に普通。っていうか、甘すぎ。二度と買ってくるなよ、死ね」

そう言って律くんは、ぷいっと窓の方を向いてしまった。
でも。
律くんの白い耳の先が、真っ赤に染まっているのを僕は見逃さない。
本当は嬉しいのに、素直になれない猫さん。

(やっぱり、律くんは最高にかっこいいな!)

「律くん、大好きー!」

「うるせーよ! 近寄んな、バカ!!」

今日も律くんのツンは、世界で一番美しく輝いていた。
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作者メッセージ

酸素ちゃんです、4話目お届けします!

律くんの「ツン」は、メロンパンの甘さをもってしても崩せませんでした。
でも、耳を真っ赤にしながらパンを齧る律くんは、千尋にとって最高の光景だったはずです。

歪みのない、ただただ一生懸命な二人の日常。
次回も楽しんでいただけたら嬉しいです!

2026/02/18 06:45

酸素ちゃん
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