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本作は全年齢対象の創作BLです。

攻めから受けへの一方的な(?)溺愛を含みますが、ヤンデレ、監禁、執着、共依存などの暗い要素は一切ありません。

終始ハッピーで平和な、光の属性の物語です。

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しっぽを振るのは、君の前だけ

#2

第2話:昨日のお礼は、ぶっきらぼうに。

昨日の夜は、遠足の前の日みたいに全然眠れなかった。
律君。律君。
頭の中でその名前を繰り返すたびに、胸の奥がくすぐったくなる。

「あ、律君……!」

教室の入り口。
朝の光を背負って現れた彼を見つけた瞬間、僕の視界がパッと明るくなった。
彼は手に、見覚えのある青い折りたたみ傘を持っている。

僕は席を蹴って、彼の元へと駆け寄った。

「律君、おはよう! 傘、持ってきてくれたんだ!」

「……おい、声がデカい。注目浴びるだろ」

律君は顔をしかめて、僕を少しだけ遠ざけるように一歩下がった。
相変わらずのツンの塊。でも、差し出された傘は、昨日僕が渡した時よりもずっと綺麗に、丁寧に畳まれている。

「ほら。これ、借りたやつ」

「わあ、ありがとう! 律君、わざわざ僕の教室まで来てくれたの?」

「……お前の教室が、俺の教室の隣だっただけだ。勘違いすんな」

律君はぷいっと横を向いた。
だけど、よく見ると白い耳の先端が、昨日の夕焼けみたいにほんのり赤くなっている。
……可愛い。
その不器用な優しさが、僕にはたまらなく愛おしく感じられた。

「あ、そうだ。律君!」

「……なんだよ」

「昨日、勝手に名札見て名前呼んじゃったけど……これからも『律君』って呼んでもいい?」

律君は一瞬、何かを言いかけようとして口をつぐんだ。
それから、深いため息をついて、僕の頭にポン、と――いや、どちらかと言えば「ボフッ」と乱暴に手を置いた。

「……好きにしろ。その代わり、廊下で大声で叫ぶのは禁止だ。わかったか、千尋」

「うん、わかった! ありがとう、律君!」

初めて、彼が僕の名前を呼んでくれた。
『千尋』。
突き放すような言い方だったけど、僕にはそれがどんな甘い言葉よりも素敵に響いたんだ。

作者メッセージ

酸素ちゃんです!
初めての連載、二話目もなんとか投稿できました。ドキドキです……!

ワンコ全開な千尋と、不器用な猫系男子の律。
書いていて私自身も二人の空気感に癒やされています。

「ここが好き!」などの感想をいただけたら、酸素が供給されたみたいに元気になります!
次回もよろしくお願いします。

2026/02/17 06:34

酸素ちゃん
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