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本作は全年齢対象の創作BLです。

攻めから受けへの一方的な(?)溺愛を含みますが、ヤンデレ、監禁、執着、共依存などの暗い要素は一切ありません。

終始ハッピーで平和な、光の属性の物語です。

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しっぽを振るのは、君の前だけ

#1

第1話:雨上がりに、君を見つけた

ああ、今日はなんて最高の日なんだろう。

バケツをひっくり返したような土砂降りの中、僕はびしょ濡れで走っていた。お気に入りのスニーカーはもうぐちょぐちょで、一歩踏み出すたびに変な音がする。でも、そんなのどうでもいい。

だって、校舎の軒下で雨宿りをしていた「彼」を見つけてしまったから。

「……はぁ。最悪」

低くて、少し不機嫌そうな声。
彼は銀色の雨のカーテンを睨みつけるようにして、一人で立っていた。濡れたくないのか、それとも帰るのが面倒なのか。少しだけ尖らせた唇と、切れ味の鋭い瞳。

その瞬間、僕の心臓がトクンと跳ねた。
なんだろう、この感じ。まるで、雨の中に一匹だけ取り残された綺麗な黒猫を見つけた時のような、放っておけない気持ち。

「あの、君!」

僕は迷わず、彼の前に飛び出した。
バシャリ、と派手な音を立てて水飛沫を上げた僕を、彼は心底うっとうしそうに一瞥した。

「……なんだよ、お前。濡れてるぞ」

「僕は大丈夫! それより、君。傘忘れたんでしょ? これ、使いなよ!」

僕は手に持っていた折りたたみ傘を、半ば強引に彼の胸元に押し付けた。
彼は驚いたように目を見開いた。その瞳は雨空の色を反射して、世界で一番綺麗に見えたんだ。

「は? ……おい、待てよ。お前はどうすんだよ」

「僕は走るのが得意だから平気! 律君、また明日ね!」

「……律? なんで俺の名前を……」

あ、名札見ちゃったのは内緒。
僕はそれ以上言葉を交わさず、彼が何かを言い返す前に、再び雨の中へと駆け出した。

後ろから「おい! 待てって!」という声が聞こえた気がしたけど、振り返らない。
雨に打たれながら走る僕の顔は、きっとだらしなく緩みっぱなしだったと思う。

律君。
俺、って言った彼の声。
ぶっきらぼうで、冷たくて、でも傘を押し付けられた時にほんの少しだけ戸惑ったような、あの顔。

(明日、傘を返しに来てくれるかな。……また、話せるかな)

冷たいはずの雨が、今の僕にはちっとも冷たく感じられなかった。
むしろ、胸の奥がぽかぽかと温かい。

これが、僕と律君の、最初の一歩。
最高に「最悪な天気」がくれた、僕だけの宝物だ。

作者メッセージ

はじめまして、酸素ちゃんです。
初めて小説を書いてみました!

まっすぐでワンコな千尋と、ツンツンの塊な律。
歪みのない、ひたすらピュアで平和な二人の日常をお届けできればと思います。

初投稿で至らない点もあるかと思いますが、
二人の関係を温かく見守っていただけたら嬉しいです!

2026/02/16 16:09

酸素ちゃん
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