文字サイズ変更

古い記録

俺は暇を持て余していた。だからよくネットでブログやら記事やらを見て時間を潰していた。その時見つけだブログの題名の「(無題)」というものに惹かれ、そのページを開く。2年前の物だ。ブログの内容はこういうものだった。

俺は電車出勤の自分で言うのもなんだがホワイト企業務めだ。毎日定時に始まり定時に帰り、残業も滅多にない。だから乗る電車は変わらない。

ある日帰宅していると駅のホームで高校時代の先輩にあった。あの人には昔から良くしてもらっていたから人の顔を覚えるのが苦手な俺でもすぐにわかった。

先輩は「おー!𓏸𓏸(本名)じゃーん!変わってねぇな!」と言って近づいてきた。俺も嬉しかったもので、先輩の方へ歩いた。

その後は近くの居酒屋に入り、身の回りの事をお互いに話した。俺が粗方話した後、先輩も身の回りの事を話した後、こんな噂話を教えてくれた。

「さっきお前はいつも同じ電車に乗ってるって言ったな?その電車にはよ、同じ服装、同じ車両、同じ席、同じ新聞を読んでる中年っとぽい男性が座ってる」

というものだ。俺はそんな事もあるだろうと思いながらも、少し興味が湧き、次の日から探し始めた。探し始めてから4日後、3両目の端の方の席にその人は居た。3日間連続で同じ服装、席、新聞だった。俺は少し鼓動が激しくなりながらも、その日も出勤した。

次の日、俺は混雑に紛れてその男性の前に立った。バレない程度に新聞を覗いてみると、5年前の新聞というのが分かった。俺は変だと思いつつも、今更変だと感じるのが変だという結論を出し、そのまま出勤した。

だがその日は珍しく残業になってしまい、帰るのが遅れた。家に帰りたかったので急いで電車に乗った。電車によった後、呼吸が荒くなった。走ったからというのもあるがそれよりもだ。あの中年男性があそこに座っていた。俺はここが3両目な事を確認した後、急いで隣の車両へ移った。とにかく今はあそこに居たくなかったからだ。

だが俺は急に気になってしまい、あの人を尾行することにした。ストーカー行為なのは分かっているが、ソレでも俺は自分の好奇心には勝てなかった。

中年男性は終電で駅に着くと電車を降りて、歩き始めた。どうやら駅から10分ほどの古びた一軒家に住んでいるらしい。俺は帰ろうと思ったが、違和感を感じ、もう少し居ることにした。

違和感に気づいたのは3分後だ。あの男性が帰って来てから3分経つが、一向に灯りがつかない。その異質な状況に俺は恐怖し、また走って帰った。

その一週間後、俺は有給をとり、あの家にまた行こうとしていた。俺は俺の好奇心には勝てないようだ。

家に着くとカーテンが空いていた。俺は申し訳なさを感じつつも、窓から中を覗いた。中には古びたテーブルの上に新聞と筆記用具がのってる茶の間が見えた。

新聞の内容はもう少しで見えそうだが見えなかった。その時の俺はアドレナリンが出ていたのか、全てがどうでも良く感じており、庭に侵入し、新聞を見た。

5年前の新聞だ。内容は

「𓏸𓏸市にて火事。母親と息子が死亡」

というもので、どうやらその日の夜に火事が起こり、母親と息子が焼死体で見つかったが、残業で帰るのが遅くなった父親だけが生き残ったというものらしい。

そして筆記用具をよく見てみると、何本もの鉛筆の芯が折れた跡があり、相当の力で書いたとされた殴り書きされた紙があった。その紙は新聞やネット記事を印刷したもので、「一家心中」「突然襲った不幸」などの文章が消されていた。

何となくあの男が何者なのかを理解してきた。そういえばここはこの新聞に書いてある𓏸𓏸市だ。きっとこの辺りで妻と息子を失ったのだろう。そして、その事実が受け入れられないのだろう。と。

その時、玄関から音がした。あの男が帰ってきたのだろう。タイミングが悪い奴だ。俺は急いで玄関の反対側の道に出て、逃走した。どうやらバレていないらしい。追ってくる気配は無い。



俺はもう関わらない事にした。あの男は普通に可哀想な奴だ。変な目で見る人が1人でも減るといいなと思い、3両目にも行かないようにした。

だが最後に、このブログに書くことにした。変な奴がいても、もしかしたら悲しい過去があったのかもしれないと伝えたかったからだ。



ブログはこれで終わっていた。なんでこんなものがあるのかと不思議に思ったが、それ以上に俺は違和感があった。一家心中になぜ父親は入っていないのか。俺はこの𓏸𓏸市に行くことにした。

ブログにあった電車は分かる。定時に間に合うような時間に走っている電車を𓏸𓏸市にある駅を片っ端から調べればいい。

だがそんな苦労はする必要はなかった。まず初めに乗った電車の3両目に、あの男性がいた。中年で、端の席で新聞を読んでる奴は3両目にはあいつ以外いなかった。

一応次の日も確認したが、やはり居た。コイツで間違いない。俺もあのブログを書いた人同様に、尾行させてもらう。罪悪感はあるが、させてもらう。

俺はそのまま尾行し、奴の家を突き止めた。確かに、古びた家で、ブログに乗っていた家と特徴は一致する。

2025/06/22 18:31

るらぬん・るらぁぬん
ID:≫ 35gpg5V2GAUAg
コメント

クリップボードにコピーしました

この小説につけられたタグ

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権はるらぬん・るらぁぬんさんに帰属します

TOP