午前2時の改札を抜けて
誰の記憶にも残らない足音を鳴らす
コンビニの白い光が目に刺さって
選んだのは 予定調和の冷めた缶コーヒー
鏡の中の自分は いつからこんなに
「それなり」の顔を覚えたんだろう
飲み込めない言葉を 煙草と一緒に吐き出して
嘘のつき方だけが 履歴書を埋めていく
汚れた靴の先には 何も映らない
ただ濡れた路面が 街の毒を反射して
都会の空は 灰色に濁って
星の見つけ方さえ 忘れてしまった
すり切れた良心と 巧妙な言い訳
それが僕らの 生きていくための鎧
「正しいこと」より「器用なこと」が
この街じゃ 唯一の正義だと笑う
人が押し込むこの箱で 誰かの肩がぶつかって
テンプレ通りに謝って スマホの画面に逃げ込んで
あの頃描いた 輝くはずの未来は
ビルの隙間に吹き抜けた 風に攫われた
守りたかったものほど 手を離して
手に入れたのは 虚しさを埋めるための紙束
誰かに期待するほど 若くはなくて
自分を愛せるほど 潔くもない
アスファルトに沈む 都会の澱に足を取られ
また明日も 誰かの代わりを演じにいく
ねえ 泥にまみれた手で 誰を抱きしめられる?
不純物だらけの心で 誰を愛せる?
「仕方ない」という呪文で 塗り潰した
僕の本当の声を 誰も知らない
都会の空は 灰色に濁って
空気の吸い方さえ 忘れてしまった
すり切れた「[漢字]愛してる[/漢字][ふりがな]嘘[/ふりがな]」と 裏の顔
それが僕らの 生きていくための鎧
「正しいこと」より「器用なこと」が
この街じゃ 唯一の正義だと笑って
夜が明ければ また仮面を被って
薄汚れた靴で 雑踏に消えていく
アスファルトの裏に 溜まった泥のような
僕らの心が どこへも行けないまま
また 都会が呼吸を始めようとした